黒猫荘
(mobile版)
[006号] [008号]
[入居者リスト]
MAY茶房「ミステリ談話室」
オーナー:MAY
本に関する談話室です。
← 197〜200件 →
[HomePage]
▼ 投稿する
1067. 2002年04月28日 16時36分01秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『「Y」の悲劇』 有栖川有栖・篠田真由美・二階堂黎人・法月綸太郎各氏 読了
エラリィ・クィーンの名作『Yの悲劇』をネタにして、上記4名が書き
下ろしたミステリ短編を一冊の本にした企画アンソロジーです。
本家クィーンがもし生きていたとしたら、いったいどの短編がクィー
ン企画のアンソロジーに選ばれるのでしょうか(笑)?
個人的に断然のイチオシは有栖川さんの「あるYの悲劇」。
他の3人の作品もそれぞれ力作だと正直そう思うんですが、「あるYの
悲劇」に関しては、有栖川さんの「現実の世界に通用しうる本格ミステ
リ(ネタ)を作り上げる」という『創作姿勢』(と私が勝手に思い込ん
でいるだけですが)が存分に発揮された短編だとして、かなり私好みで
す(笑)。
この作品って、ネタの面白さもさることながら、本格ミステリの味わい
をかもし出す「アクロバティックな要素」が現実社会の刑事事件でも存
立しうることを示唆した傑作短編だと思っています。
『じゃあ法月さんの「イコールYの悲劇」はどうなの?』と聞かれそう
ですが、こちらは犯人の行動にちょっと無理を感じたのと、アクロバテ
ィック要素が地味だと思われたので、有栖川短編と較べると私としては
やはりこちらに軍配をあげることは出来ませんでした(汗)。
アクロバティック要素のないロジックミステリはあるでしょうし、それ
もまた「本格ミステリ」だと思ってはいますが、んでもアクロバティッ
ク要素が地味なものよりは派手なほうが、私にはより「本格ミステリ」
らしさを感じます。ただ、派手すぎるのも困りますので、そのあたりの
兼ね合いはもう個人の嗜好によるものなんでしょうね(笑)。
そいでは!!
1066. 2002年04月26日 17時54分00秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『エトロフ発緊急電』 佐々木譲氏 読了
とっぴな設定でビックリ仰天の『ベルリン飛行指令』からはじまる、
太平洋戦争三部作の二作目になります。
うーん。島荘さんの「天使の名前」を直前に読んだのは、例え偶然だ
ったにしてもちょっといい順番じゃなかったように思いました(泣)。
一作目の『ベルリン〜』と微妙にリンクしていて、びっくりしたと同
時にかなり嬉しかったです。
というのも『ベルリン〜』の感想で、確か私は
「もっと国内の動きについても書き込んでほしかった」
というようなことを書いたように記憶している(今は職場なので当時
のデータを確認出来ないのです(汗))のですが、それがこの作品で
かなうとは思ってもいませんでしたから(笑)。
前作はおいといて、今回の話でいえばもう手堅いというかツボ押さえ
てるというか、気持ちが沸々と沸き立たずにはいられません(笑)。
ある意味、男が夢見る・夢見たいと思う王道的(高い能力を持つ主人
公の活躍・追いつ追われつスリルいっぱいの構成)、現実的(実際の
歴史を素材に活用)、悲哀的(個々のキャラが持つ暗い過去)な一大
ロマンが展開されている作品だと思います。
『ベルリン〜』『エトロフ〜』と読んで思ったこと。
主要人物のほとんどが、純粋な日本人でないことにこのシリーズのひ
とつの「キーワード」となるようなものがあるかもしれない。
3作目『ストックホルムの密使』では全然関係なかったりして(爆)。
もしそうだったらどうしよう(汗笑)?
そいでは!!
1065. 2002年04月24日 12時38分49秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『七つの仮面』 横溝正史氏 読了
全作、金田一耕助ものの短編集です。
何だか今年は横溝正史生誕百年ということで、ネット界で徐々に盛り
上がりつつありますが、そのタイミングとあわせたかのように、横溝
作品数作の積読順番がまわってきています。
これも何かの「縁」なのでしょうか? ←んなわけないって(汗)!!
はっとした驚きはありませんでしたが、それぞれの作品に謎と推理が
展開されていて、名探偵金田一の活躍が楽しめます。最後におさめら
れた「薔薇の別荘」なんかは、何と「密室もの」でございました。
私のお気に入りは「雌蛭」。トリックの大胆さがいい味だしてます。
それに珍しい金田一の○○○姿もおがめますし(笑)。
全体的には後味の悪い作品がほとんどで、私は何だかとっても嬉しく
なっちゃいました(笑)。 ←軽い「女王様」タイプ(爆)?
そいでは!!
1064. 2002年04月23日 14時22分45秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『島田荘司読本』 島田荘司氏他 読了
島荘ファンための完全読本とまではいかず、かといって未読者のため
の島荘ガイドブックというには、ミステリ作家面が希薄なようにも思
えるし・・・。
やはり島田荘司の『今(ただし刊行時点)』を表した企画なんだと思
いました。 ←ちなみに講談社文庫版による感想です(汗)。
・「天使の名前」−特別書き下ろし小説
二つの素材がありますが、融合してるようには感じず並んでいる
といった印象。それでもぐいぐい引き込まれて読んでしまったの
はなぜ(笑)?
これが島荘さんの文章力のなせる技なんだろうと思った後に、
「あ。それともノンフィクションの面白さかも?」と思いつきま
したが、自分なりの回答はでておりません(苦笑)。
・「ノンフィクション篇」−全著作ガイド
こんなに車に関する著作があるとは知りませんでした(汗)。
・「儒教社会と探偵小説」−評論
陪審制と三審制からみた名探偵の質の違いについては、とても
面白い視点だと思いました。
こんな着想を思いつくところが本当に凄いなぁ。いやマジで。
他は特に感想なし。
「レオナからの三通の手紙」も内容的には島荘さんの取材報告みたい
なものではないでしょうか(爆)?
島荘作品未読のミステリファンがもし本書を読むならば、まずは全著
作リスト「フィクション篇」にあがっている作品を順番に読み、『飛
鳥のガラスの靴』あたりまで読了してから、本書の他の部分を読むと
いった方法を、私は特にお勧めしたいです(笑)。
そいでは!!
[NAGAYA v3.13/N90201]