黒猫荘
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THE TELL-TALE HUT
オーナー:庵本譚
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21. 2004年10月20日 06時44分00秒
投稿:庵本譚
ウィリアム・モールの「皮膚の罠」は第三期の目玉でどうよ?
と昨日のネタを引き摺っている庵主です。
家に帰ったら、さりげなくネット古書店でのお買い物が
届いていました。エースブック版のナポレオン・ソロが9冊。
猛烈に欲しかったのは未訳の第17巻
「The Hollow Crown Affair」だったのですが、
それ以外の8冊も原書では未所持なので、カバー写真を
眺めているだけで楽しくなってきます。うふふ。うふふふふふ。
なかなか17巻単独では市場に出てこないので、まとめ買いして
しまいました。9冊で都合4千円也のお買い物。
私としては節目の本なので、これぐらいは涼しく感じます。
で、第17巻は、こんなお話。
かつて新兵器「粒子加速ライフル」の実験中に事故により
この世から消し飛んだと思われていたアンクルの研究所長
ジョゼフ・キングが、実はスラッシュに寝返り、
組織内部での地歩を築き上げていた事が判明します。
その情報を持ち込んだのは、スラッシュのサンフランシスコ支部長
ウォード・ボールドウィン。白昼堂々、デル・フロリア服飾店の
正面玄関からウェバリー局長の面会を求めるという開き直りっぷりが
プリティーです。
「あの掟破りの若造をなんとかしてくれんか?」
かくしてソロとクリアキンは、スラッシュの内紛の
真っ只中に飛び込んでいくのでありました。
敵の敵は味方?それとも、やっぱり敵?
スラッシュとアンクルが手を結ぶというのは、小説版の
最高傑作「人類抹殺計画」に通じるものがありそうです。
さすがマクダニエル、ツボを心得てるというべきでしょう。
昨日読み終わったのは海渡英祐「事件は場所を選ばない」。
光風社ノベルズ版ではなくて徳間文庫版です。
ノベルス版で各編に添えられた作者口上は、文庫では部分的に
解説で紹介されている程度なので、オリジナルにこだわる人は
ノベルス版で持っているにこしたことはないでしょう。
テレビ業界にガチガチで血まみれの不可能犯罪を持ち込んだ
「殺人もあるでよ」(うわあ、この題名のセンスがなんとも)が
本格愛好家の秘孔を突いてきます。同じく、超能力ブーム(!)
を背景にオカルト+不可能犯罪に挑戦した「悪霊の家」も
「何故」と「どうやって」のコンビネーションが絶妙です。
後は、星新一作品を思わせる「不可解な心中」、こってりとした
夫と妻に捧げる犯罪「甘い罠」「禁断の時」「夏の終わり」、
推理コント風の「くさい仲」といったラインナップ。
読者サービス(?)の男女の性愛シーンが、時代を感じさせますが、
いずれも騙しやツイストにこだわったプロの仕事というべきで
ありましょう。それなりに楽しめました。
20. 2004年10月19日 23時40分48秒
投稿:庵本譚
庵主です
森下様、いらっしゃいませ。
御高名はかねがね。
でもって、さすがに濃いところを突いてこられますねえ。
第二期「LAST ONE 叢書」
ルレタビーユとルコックは完全に不意打ちでありました。
そうかあ、ルレタビーユって結構翻訳されていたんですね。
「第5、第6のルレタビーユは倒された。だが、第7のルレタビーユが
きっと現われるに違いない」てなもんですか。
チャーリー・チャンは成る程。思わず大納得。
ジプシー・ローズ・リーの著作が2作しかなくて1作だけ翻訳されている、
というパターンは他にも結構あるのかもしれません。
デレク・スミスの「パディントン・フェアにようこそ」
なんかも候補にしたのですが、とりあえず第一期ではパスしました。
マイク・ハマーもアルレーも苦手ゾーンで、勉強になりました。
一箇所だけ突っ込ませて頂ければ、ピブル警視は第3作の「THE SEALS」も
未訳の筈なので、ディキンスンであれば「キングとジョーカー」続編の
「Skeleton-in-Waiting 」の方が嵌まると思います。
それとも、もしや森下様のアンテナには「THE SEALS」翻訳の
報が届いているのでしょうか?
だとすれば「これは凄いことですよ、これは」であります。
今後ともよろしくお願いいたします。
19. 2004年10月19日 22時33分47秒
投稿:森下祐行
はじめまして。52号室の森下です。
連日のディープなネタの書き込み、
楽しませていただいております。
フレドリック・ブラウンのエド&アム・ハンター・シリーズに
未役が一編あるとは、ご指摘まで気がつきませんでした。
そこで、わたしもこんなものも考えてみました。
〈LAST ONE 叢書〉第二期
第1回配本:『パリの奴隷』エミール・ガボルオ
ルコック・シリーズ
第2回配本:『ルレタビーユとボヘミアン』ガストン・ルルー
ルレタビーユ・シリーズ
第3回配本:『鍵をわたすな』アール・デア・ビガーズ
チャーリイ・チャン・シリーズ
第4回配本:『ママ、死体をみつける』ジプシー・ローズ・リー
ジプシー・ローズ・リー・シリーズ
第5回配本:『墓場に一歩』ピーター・ディキンスン
ピブル警視シリーズ
第6回配本:『黒い路地』ミッキー・スピレイン
マイク・ハマー・シリーズ
いかがでしょう?
シリースじゃないですが、カトリーヌ・アルレーの長篇もラスト・ワン
だったんですね。
18. 2004年10月19日 06時08分20秒
投稿:庵本譚
庵主です。
「論創海外ミステリ」でググってみると新刊ドットコムで
こんなのがひっかかりました。
『トフ氏と黒衣の女〜論創海外ミステリ1』
ジョン・クリーシー 著/田中孜 訳 四六判上製・307頁
『片目の追跡者〜論創海外ミステリ2』
モリス・ハーシュマン 著/三浦亜紀 訳 四六判上製・198頁
『二人で泥棒を─ラッフルズとバニー〜論創海外ミステリ3』
E.W.ホーナング 著/藤松忠夫 訳 四六判上製・254頁
この3冊が10月下旬出版になっています。
ありゃりゃ、テイやクロフツまでは、まだ遠いのでしょうか?
クロフツの『フレンチ警部と漂う死体』が出ると聞いて
昔から温めていた仮想企画をやってみる気になりました。
名付けて<LAST ONE 叢書>!
海外ミステリに様々な人気シリーズ作品がある中、
何故かそれだけ紹介されそこなっている「幻の1冊」たち。
翻訳権の狭間に落ちたのか?
出版社の事情なのか?
はたまた翻訳を認めたくない失敗作なのか?
その「最後の一冊」の真価をどうぞ貴方御自身の目で
ご確認ください!!
刊行ラインナップ
第1回配本:『悪鬼の挨拶』フレドリック・ブラウン
エド&アム・ハンター・シリーズ
第2回配本:『ナポレオン・ソロ/ゆがんだ宝冠』デヴィッド・マクダニエル
ナポレオン・ソロ・シリーズ
第3回配本:『コンピュータ検察局 対 フランケンシュタイン』エドワード・D・ホック
コンピュータ検察局シリーズ
第4回配本:『フレンチ警部と爬虫類館の死』F.W.クロフツ
フレンチ警部シリーズ
第5回配本:『燃える遺産』トマス・チャスティン
新ペリー・メイスンシリーズ
第6回配本:『刑事コロンボ/愛情の計算』W.リンク&R.レビンソン
刑事コロンボ(NBC)シリーズ
別巻1:『青い鳥の秘密』エラリー・クイーンJr.
ジューナ・シリーズ
別巻2:『美神星の海』アイザック・アシモフ
ラッキー・スター・シリーズ
フレンチ警部には、まだ『フレンチ警部と少年探偵ロビン』があるので
真の意味での<LAST ONE >ではないですし、刑事コロンボは
脚本からの起こしで「翻訳」じゃないですが、難しいことはいいっこなし。
いかがなものでしょう?
ちなみにカーの『魔王の末裔(パパ・ラバ)』は、シリーズとは
言えないのでパスしてみました。
昨日の読了本は一昨日に引き続き佐野洋の著作で「第六実験室」。
角川文庫版ですが、解説が痒い所に手の届く出来映えで、
多少「翔べ、必殺褒め殺し」気味ではありますが、作品の背景を
同人誌時代にまで溯って分析した名解説。本編よりも重厚です。
中身の方は、社会派の設定を嘲笑うかのような軽快な犯罪小説。
大企業が、完全犯罪研究を目的とした組織を立ち挙げる。
十戒の第6番目「汝、殺す勿れ」に因み「第六実験室」と
銘打たれた研究所は、被験者の募集から活動を開始する。
試される性格、覗かれる性癖、そして選ばれた者たちに与えられた課題とは?
翻訳物のエスプリを感じさせる実験作品。思わせぶりの伏線で
オチは見え見えなのですが、楽しく読めました。
仮に舞台がニューヨークであっても成り立ちうる、というか、
むしろその方が設定が引き立ったかもしれません。
[NAGAYA v3.13/N90201]