黒猫荘
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MAY茶房「ミステリ談話室」
オーナー:MAY
本に関する談話室です。
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1091. 2002年06月05日 00時18分46秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『美女』 連城三紀彦氏 読了
連城さんお得意の、男性女性それぞれの情感燃え上がりまくり、愛
憎もつれまくり、真実こんがらがりまくりなミステリ短編集です(笑)。
個人的には、
・こんな目にあいたくない「夜の肌」
・比較的理解しやすかった(?)そら恐ろしい計画もの「他人たち」
・最後の真実に「わっ! そこまで・・」とびっくりした「夜の右側」
あたりが良かったです。
・「夜光の唇」はいかにも連城ミステリ・パターンすぎるような気
がしてちょっと・・・(汗)。
・「砂遊び」は訳わかんなくてちょっと・・・(汗)。
・「夜の二乗」は序盤のとんでもシチュエーションにしては結末が
寂しいように思ったのでちょっと・・・(汗)。
・「美女」はあまりにも普通小説っぽすぎてちょっと・・・(汗)。
で、解説で絶賛していた「喜劇女優」なんですが。
いや、凄いと思いますよ。確かに解説者がおっしゃるとおり、超絶技
巧の短編なんでしょう。でも、あまりにも超絶技巧すぎて、私にはぼ
んやりした味わいしか感じられませんでした(苦笑)。
例えていえば、「餃子の○将」や「ほっ○○か弁当」が大好きなオヤ
ジが超一流の高級懐石料理を食べても味が今いちよくわからずに、醤
油かけて食べたいなぁ〜と願うのとよく似てるかもしれません(爆)。
そいでは!!
1090. 2002年06月02日 14時01分47秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『車椅子に乗った女』 E.S.ガードナー氏 読了
ペリィ・メイスン・シリーズの後期代表作とのこと。
うん。確かにポンポンポンッと軽快なテンポで筋が運んでいき、結
構気持ちのいい読書が出来ました。
デラ・ストリートがこんなにチャーミングな女性だったとは思いも
しませんでした(汗)。今まで読んだ作品では、そんな記述はなか
ったような・・・。有能で理知的な女性だとは思ってたんですけど。
今作でデラにちょと惚れてしまった私です(爆)。
作中にいろいろ解せないところ、事柄と事柄の繋がり・道筋がよく
判らないところもあるんですが、再読して検証するのもしんどいの
で、今はただ軽快なテンポの快感に身を委ねきってしまおうと思い
ます。ごめんなさい。 ←誰に謝ってるんだ(苦笑)?
このシリーズ作を読むといつも思うんですが、メイスンはやっぱり
ハツラツとして40歳台までの若やいだ印象が強いです。テレビでち
らっと見かけただけですが、決してレイモンド・バーのような巨体
のイメージはないですね(笑)。
そいでは!!
1089. 2002年05月31日 20時07分55秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『崩れる 結婚にまつわる八つの風景』 貫井徳郎氏 読了
結婚前、または結婚後の「負」の日常を描いた短編集。
文庫帯に書かれた「崩怯憑追壊誘腐見」の八文字。
この八文字に対抗できるのは、たぶん南総里見八犬伝の「仁義忠孝悌礼智心」
しかないでしょう(笑)。
それぞれの作品に作者自らの解説がついてるし、解説者(桐野夏生氏)も一作
一作にコメントを寄せています。
面白そうだから私も真似てみます(爆)。
「崩れる」・・・個人的には一番ありきたりに思った作品。
こんな作品ばっかりだったらどうしよう。これじゃ普通の小
説だよーと危惧しました(苦笑)。でも作者も気に入ってる
みたいだし桐野さんは大絶賛状態。私ってやっぱり筋しか追
わない愚か者なのね(泣)。
「怯える」・・・後半の「ひっくり返し」に「そうそう。やっぱりこういうネ
タがないと面白くないよー」とつぶやきながら、ちょっと安
心(笑)。
「憑かれる」・・ホラー。まさか貫井作品でこんなパターンのホラーが読める
とは思いませんでした(笑)。
「追われる」・・終わり方にあまり感心しなかった作品。この作品に対する桐
野さんの解説で述べられていた意見に感服。
そうか! そうだったのかっ(爆)!!
「壊れる」・・・最初のシチュエーションに比べて、その後の展開と結末が今
いち物足りなく思いました。なんか佐野洋短編のような味わ
い(汗)。
「誘われる」・・ものすごく耳の痛い話(汗)。
そうかぁ。そんなにしんどいものなのかぁ。それに対して外
で大半を過ごしている男ってやっぱりラクなのかなぁ(大汗)?
「腐れる」・・・作者も解説者も誉めてる作品。私自身もこの話の展開と結末
はかなり「好み」です(笑)。
「見られる」・・途中の推理と結末の推理。考えつく順番は普通、逆じゃない
かと思うんですが(苦笑)。
途中の推理の論理(?)のほうが、鮮やかに思ってしまった
私はいつまでもミステリ初心者です(爆)。
以上、八作。いらっしゃるとは思わないけど、絶対にあてにしないように。
自作解説と解説のほうが、もちろん質的に断然深いです(笑)。
そいでは!!
1088. 2002年05月30日 23時03分15秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
『六枚のとんかつ』ノベルズ版
『六枚のとんかつ』文庫版 蘇部健一氏 読了
放出本としてノベルズ版をゲットしてましたが、文庫化にあたって
改作されてたり追加されてたりしたので、結局文庫を購入。
なんだか釈然としないまま読みましたが、そんなもやもやも吹き飛
んでしまいました。
な〜んだ。『六とん』って面白いじゃないですか(笑)。
とは言っても、やはり注釈つきの面白さになります。本格ミステリ
として読むとやっぱり怒っちゃうでしょうね(爆)。私でも(1作
を除けば)怒りますね。まず確実に。
その証拠に「しおかぜ17号四十九分の壁」を光文社文庫の「本格推
理」で初めて読んだときには、本格ネタとしてそのあまりのヒドイ
出来(地図がでた瞬間に怒ってしまいました)に、一人で本に向か
ってののしってましたもん(汗)。
ただ、この短編集を本格ミステリとしてではなく、ミステリ素材を
使って読者を笑わせようとしている「あほう」小説(誉め言葉です)
として読んだところ、これが結構楽しめたんですよね〜。
はがき職人がパーソナリティ&リスナーを大笑いさせようとして書
いたネタを、にやにやしながら聞いて面白がるといった感覚に近い
かもしれません(笑)。
残念なのは、ノベルス版にあった「チチカエル」「パンは知ってい
た」という短編が、前者は文庫版では他の短編と合わせて改作、後
者はなんと削除までされてしまったことです(泣)。
「パンは知っていた」は、主人公のとってしまった突拍子もない行
動に、また「チチカエル」では、あの小難しいパズルから導き出さ
れた驚愕の答えに大笑いして、「ああ、この短編集はこういうとこ
ろを楽しむんだな」と感じ取ることの出来た好短編だったのに・・。
最後に。
表題作の「六枚のとんかつ」。これって本格としてもすっごく優れ
たネタだと思うんですけど(笑)。
いや、マジですごいです。この「転換」は素晴らしい!!
「しおかぜ17号四十九分の壁」のかわりにこの短編が「本格推理」
に掲載されてたとしたら、私は絶対に大絶賛してたと思います。
蘇部作品。私はこれからも恐らく読んでいくことになります(笑)。
そいでは!!
[NAGAYA v3.13/N90201]