黒猫荘
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110. 2002年10月16日 16時43分15秒
投稿:杜呂
ご無沙汰しております、33号室の杜呂です。
ないとーさんは読書絶好調ですね。
『カストロバルバ エッシャー宇宙の探偵局』の感想を見ていて急に読みたくなりました。
実はその本を昨年、ある方からいただいたのですがまだ読んでおらず、さらにどこにしまったかを忘れていました。ヾ(´▽`;)ゝ
本当にどこにしまったんだろう?とにかく探してみようと思います。
ミステリーねたなしのショボイ書きこみで申し訳ありませんでした。(((((((((((((ーー;) さささっ・・・
109. 2002年10月16日 04時52分29秒
投稿:ないとー
絶賛好評絶版中。
ますます、最近の話題にはついていけなくなるわ。最近、一番新しい本でも15年前
くらいなんだもの。まぁ、たまには買うだけじゃなくて読まなきゃね。
『カストロバルバ エッシャー宇宙の探偵局』荒巻義雄 中央公論社(’83)
夢の世界の港町・カストロバルバで、夢探偵の万治陀羅男が直面するエッシャーの絵
そのままに起こる4つの殺人事件。
エッシャーの絵のミステリ的解釈、夢の世界で起きる殺人というアイディアが、なんとも
いえない魅力を放ってる。夢世界の奇妙な論理を堪能させてくれる作品もあり、密室の謎を
解く凝った作品もあったり、 もうひとつのミステリとでもいいたくなるような型破りな作品
だ。
『私のすべては一人の男』ボアロー、ナルスジャック ハヤカワ・ノヴェルス(’67)
処刑された死刑因の人体のパーツを、頭部や腕など体の一部を事故で失った七人の男女に
移植するという実験が、フランス政府の元で極秘裏に遂行された。手術は成功したが、その後、
被験者の一人が自殺した頃から、事態は思いもよらぬ方向へ進行しはじめた。
被験者たちが次々と謎の死を迎えていくというストーリーが生み出すサスペンスはもちろん
のこと、移植された七人の男女の困惑し混乱する様が(女性の被験者に男の死刑因の足が移植
されてしまうことで起こる悲喜劇なんか)、時として、それにユーモアを加えているし、SF
でありながら、まぎれもなくミステリでもあるという、いろいろな面白さを堪能できる作品。
特殊な設定を採用することによって、従来のミステリでは書けなかった破天荒なアイディア
を実現させるところは、西澤保彦のSFミステリと方法論は似ているが、こちらも巧妙に設定
を活かし、不可能を可能にしてみせる手際はなかなかのもの。まぁ、それこそ西澤とか最近の
本格ミステリを読み慣れた人なら、ネタにはそうそうに気づくかもしれないけど、さすがにボ
アナルの最高傑作といわれるだけはあるかな。
『穢れなき殺人者』ブリス・ペルマン 創元推理文庫(’84)
母子家庭で、まだ幼い双子の母親が殺されるが、子供たちが寄宿学校に入れられるのが嫌さ
に、母親が死んだことを秘密にして、いつものどおりの生活を続けることにしてしまったこ
とで、話はおかしな方向に進んでしまうのだった。
異色のプロットと子供のかわいらしさと恐ろしさが、不気味なサスペンスとブラックな笑いを生み出してる。あとは、オチにもう少しヒネリでもあったら、もっと面白かったんだけどな。
『コンピューター検察局』エドワード・D・ホック ハヤカワミステリ文庫('80)
物体高速移転装置の発明者が、手術用マシンで行われた虫垂炎の手術中、機械の誤作動により
死亡する。今まで一度も起きたことのない事件の捜査にコンピューター検察局が動き出した。
死亡した人物には死を願う者も多かったが、手術用プログラムに手を加えることは不可能なは
ずであり、事故の可能性も少ない。事件が仕組まれたものだとすれば、どうやってやったのか。
近未来の不可能犯罪に挑むSFミステリ。
密室などではない、新しい謎を創出し、近未来という設定をどう活かすかという点でも力業
を発揮しているけども、基本的な骨格はオーソドックスなパズラーで、大胆なトリックなどが
使われているわけではないけど、計算された人物像、隅々まで巧妙に張り巡らされた伏線など、
要所要所はしっかりと押さえ、その点でも申し分のない出来だった。
『コンピューター404の殺人』エドワード・D・ホック ハヤカワミステリ文庫('80)
大統領選挙が間近に迫ったある日。選挙専用マシーンの点検中、なぜかインプットされた
ことのない選挙結果が打ち出される。その謎を追ううちに、点検にたちあった技師とコン
ピューター検察局のジャジーンが襲われ、技師が命を落とす。
近未来という設定ならではの大技がない分、SFミステリとしては前作に一歩譲るけど、
より一層パズラーとしての手堅さが顕わに出ているかも。ちょっと小粒ではあるけど、
さりげない伏線、意外な犯人といった条件は満たしていて、いささか通俗的なものの謎が
謎を呼び読者を煙に巻くストーリーはなかなか読ませる。
108. 2002年10月14日 17時39分23秒
投稿:ないとー
『天皇賞レース殺人事件』草野唯雄 徳間文庫(’72)
八百長疑惑で出場停止処分になった騎手・成瀬幸吉。身に覚えのない成瀬は自分で真相を追求しようとするが、協力を頼んだ人物は殺され、その容疑までかけられてしまう。反撃の糸口を探す成瀬とその恋人も、ことごとく犯人に先手を打たれ、また一つまた一つと無罪を証明する手がかりを奪われていく。
無実の主人公がどんどん窮地に追い込まれていく過程で生じるサスペンスで読ませる作品はいくらでもあるけれど、ここまで徹底して、あの手この手で手段を選ばず主人公を追いつめていく作品は、なかなかないんじゃないだろうか。最後の最後まで、緊張感の途切れないストーリーテラーぶりで、ページをめくる手を止めさせない。そういう意味では、ディック・フランシスの競馬シリーズを連想させるけど、あくまで意外性なども盛り込んだ草野流のミステリになってる。
とにかく引っ張る引っ張る。終わり近くになっても主人公の冤罪を晴らす努力が実を結ばず、どう考えてもこんな残り少ないページでは決着をつけられる話じゃないよなぁとまで思うような頃になって、鮮やかな逆転劇を演出し、ちゃんと意外な真相まで提示してくれる。豊富なアイディアが頭かしっぽまで詰まったサスペンスの傑作。大変美味しく頂きました。
『ダイナマイト円舞曲(ワルツ)』小泉喜美子 カッパノベルス('73)
ロンバルド王国の后妃となった留学時代のルームメイトに招かれた「わたし」は、后妃の命を狙う何者かの影に脅かされ、王制打倒をめぐる陰謀に巻き込まれる。
わりあいシンプルな作りなので、簡単にネタは割れてしまうかもしれないけども、大胆なアイディアも盛り込まれているし、架空の王国を舞台に持ってきたことで、普通のミステリとはちょっと一線を画した存在になっていると思う。ただ、『弁護側の証人』級の作品を期待してしまうと裏切られるかな。
『美しい蠍たち』山田正紀 トクマノベルス(’89)
莫大な遺産、それを巡る複雑な家族関係など、シチュエーションはすこぶるオーソドックス。芝居や映画の構成を意識して書かれただけあって、展開に淀みはなく、数時間で手軽に読めるような作品だが、 小味ながらも殺人をめぐるトリックがあり、女たちの虚々実々の入り乱れた駆け引きがあり、それらが無駄なくまとまっていて、心地よくストーリーに翻弄されつつ読み終えた。意表をつく一風変わったエンディングにもニヤりとさせられる。
107. 2002年10月13日 02時51分54秒
投稿:ないとー
ボアロー、ナルスジャックの『私のすべては一人の男』を読んでます。
このところ国内物が続いてたので、今度は海外の積読を消化していこうかなと思ってます。
最近、買いたい本も買えないんだけど、そのかわり、どれを読もうか迷うことがなくなって、
積読の消化には良いかも。でも、せめて河出の「本格ミステリコレクション」くらいは、
帯がなくなるまでには欲しいな。
『上を見るな』島田一男 光文社文庫 読了
今では無理な気もするけど、大胆なトリックが面白かったです。時代は感じさせるけど、
かえってその雰囲気がなんとなく懐かしいような気分にしてくれます。
『月下の蘭』小泉喜美子 徳間文庫 読了
歌舞伎の舞踏劇もしくは能の作品をモティーフにした4つの作品を収録。題材のせいかどの作品も怪奇幻想小説風味もあるミステリばかりになっている。
なんとなく連城三紀彦を連想させるような作風だけど、その分、意外な真相、巧妙なトリックなんかとは無縁で、やはりそれが僕などには物足りないけど、独特のしゃれた雰囲気と肌の
あう人なら面白く読めるかも。
「月下の蘭」
この作品には、ミステリ的なオチはいらないのではないかとも思ったら、かえって
それが凄艶なラストシーンを演出している。
「残酷なオルフェ」
三角関係の男女の息詰まる化かしあい。裏切り、企みというテーマは好みだけど・・・
「宵闇の彼方より」
急死した作家の死因をめぐる疑問。構成は巧いと思うけど、インパクトが足りない。
「ロドルフ大公の恋人」
集中で最もミステリ的にはおいしい作品。
[NAGAYA v3.13/N90201]