黒猫荘
(mobile版)

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近況報告風
オーナー:ないとー


ここの管理人のないとーです。


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122. 2002年11月15日 13時59分50秒  投稿:天野一 
 21号室の天野です。

 いきなりですが、12月14日(土)に黒猫荘忘年会オフをしようと思い立ちました。
 詳細は未定ですが、今のところ横浜市内で宴会を予定していますが、希望者の数によっては東京開催もありかな、と思っています。

 ご都合はいかがでしょうか?

 もし参加していただけそうでしたら、レスをこちらか1号室の管理人室に頂けたら、と思います。
 この条件なら参加できる、というのがありましたら、そのへんも合わせて教えていただけたらと思います。
 もし参加がご無理でしたら、流してくださってけっこうです。

 また、黒猫荘に掲示板を借りていなくても、ミステリ読みでしたら誰でも歓迎ですので、お気軽にお問い合わせください。

 では、宣伝書き込みですみませんでした。
121. 2002年11月11日 23時58分43秒  投稿:葉 花蓮 
尓好。ご無沙汰しておりました。なんと風太郎氏ご逝去以来のかきこみです(^-^;

映画版『冷静と情熱のあいだ』がTV放映されていましたね。あの作品は男性心理と女性心理が各々綴られているのが好かったのに、映画では一度に両側を追うことで単純なものになってしまったのは残念。しかし何年も前の他愛も無い約束を果たすひとなんて一体どれくらいいるのでしょう?

ひと足早い大掃除が始まり、文庫では風太郎と村上春樹以外を大処分…と思ったけれど連城を手放すのは惜しい。なんて言っていると片付かないんですよねー(笑)。

120. 2002年11月10日 14時37分42秒  投稿:ないとー 
今、洋書に挑戦中。うーん。他の本、読めない。

『眠れるスフィンクス』ジョン・ディクスン・カー ハヤカワミステリ文庫(’83)

長い間、離れていたロンドンに戻ってきたホールデンは、友人の妻が死に、
そのショックで彼が以前から思いを寄せていた、その妻の妹シーリアが精神
障害を起こしていると聞かされる。そこで実際に会ったシーリアは姉の死を
病気ではなく、夫の虐待に悩んだ末の自殺だと語る。果たしてそれは精神の
均衡を欠いたシーリアの妄想なのか、それとも真実なのか。

しっかり鍵のかかった納棺堂で、簡単には動かせないはずの棺が動かされて
いるのに、床の上にバラまいた砂の上に足跡も残ってない、カーって魅力的な
謎考えるよねぇ。でも、この謎は中盤になってやっと出てくるくらいで、この
作品はそういった謎をこれでもかというぐらいに強調するような作品ではなく、
むしろ地味な展開で、サスペンスも乏しいきらいがある。

フックを感じるポイントはいくつもあるし、カーの確かなテクニックが感じ
られるのだけど、ただ、土台となる着想がちと怪しげなので、説得力が少し
損なわれてしまったのが残念。


『魔術師が多すぎる』ランドル・ギャレット ハヤカワポケットミステリ1150(’71)

三年に一度あるヨーロッパ中の魔術師が集まる大会が開かれていたホテルの
一室で、主任法廷魔術師マスター・ジェイムスが殺された。厚いドアには鍵が
掛けられ、本人にしか解けない魔術で封印されており、唯一の窓が面した中庭
には、何人もの人がいた。その事件はダーシー卿の管轄外だったが、彼の片腕
である魔術師シーンが、事件の容疑者として幽閉されてしまい、事件の捜査を
するはめになる。ところが、事件は国家を揺るがす大問題のほんの一部でしか
なかった。

作例の少ないSFミステリの中で、SF的設定と本格ミステリとしての調和が
成功している、SFミステリならではの面白さに満ちた貴重な作品。

メインの密室トリックもカーのヴァリエーションなんだけど面白い。特に感心
したのは、フェアに謎解きをやるために、途中でちゃんと密室トリックが魔法
によるものでないと明らかにしているのはいいけど、「それじゃ、魔法が使え
る世界という背景を持ってくる必然性はないんじゃないの?」って思ってたら、
ちゃんとその背景がトリックを完全なものにするのに役立っているところ。
カーの方法だと不確実性を孕んでるけど、この作品の場合、「それを言われちゃ
しょうがねぇ」という感じ。

もう一つの殺人の方は地味に扱われるけど、逆説めいた真相にシチュエーション
のうまみを感じる。序盤のロンドン公爵とダーシー卿の駆け引きも面白かったな。
119. 2002年11月03日 04時44分34秒  投稿:ないとー 
最近、好きだって言える作品ばっかりに当たるから、本読むのが楽しくて仕方がないって感じ。

『死人はスキーをしない』パトリシア・モイーズ ハヤカワミステリ文庫(’76)

夫人とともにスキー旅行に出かけたティベット警部。待ちに待った休暇というのに、
なぜか、その顔色は冴えない。それというのも、密輸業者の巣窟になっているという
噂があるホテルへ探りを入れる任務が、たまたまそこに泊まることになっていた警部に、
押し付けられてしまったからだった。ところが、気の向かない任務を遂行しつつも、
スキーを楽しんでいたティベット警部を待っていたのは殺人事件だった。

意外な犯人を演出するテクニックが盛り込まれた充分に計算されたプロット、盲点を
突いた動機、しっかりと張ってある伏線、本格推理としても地味に良く出来てる。それ
に、プロットに深く結びついたわりとたくさんの登場人物をちゃんと書き分けている人
物描写、控えめなユーモア、山間の村のリアルに描かれた風景などが、物語に厚みをく
わえていて、のんびりと愉しむのにもってこいな作品。伝統的な英国本格推理の面白さ
を味わえる佳作です。


『淫獣の幻影』P・J・ファーマー 光文社CR文庫(’86)

私立探偵のチャイルドの相棒・コルベンが行方不明になる。匿名で送られてきたフィ
ルムには、コルベンが虐待される映像が収められていて、すでに彼は殺されているもの
と思われた。

もし、予備知識なしにこの作品のハードボイルド風の幕開けを読んだら、だんだん常軌
を逸した展開になってくるので、驚いただろうな。まぁ、これがそういう話だって知って
ても充分面白いと思うけど。だって、いかにもハードボイルドらしく、相棒の死の真相を
探るために乗り出すチャイルドが、一番最初にやることは、ホラー・マニアに吸血鬼のお話
を聞きに行くことなんだから。

また、叢書の性格から、ポルノだと思って読んだ人は、冒頭から萎えます。エロいの読も
うと思って、たまたま手にしたマドンナ・メイト文庫が『獣儀式』だった不幸な読者と同じ
体験を味わえるはず。といっても、濡れ場もたっぷりあるんだけどね、これがまた、あり
とあらゆるタブーを網羅しようかという勢いで、獣姦と近親相姦と同性愛と綺麗なおねえ
ちゃんとデブと逆レイプが好きなら楽しめることうけあい、一つでも駄目なら一回は悲鳴
をあげることになるだろう。

ポルノとしても意欲的な作品だけど、ホラーとしても複数のサブジャンルの要素を取り
入れてるし、この作品自体がハードボイルド、ホラー、 ポルノ、SF、ヴァイオレンス、
オカルトと貪欲にいろんな要素を取り入れている。ラストまで読めばそういう話かって
言えるけど、意外な展開なんて言葉がぶっとぶほどの想像力の暴走が行きつくとこまで
いったような、何が飛び出してくるか分からないとても刺激的な作品だ。

それなのに、最後の脱出劇(これがほんと大バカ!)はなにげに伏線が効いてて、元から
無茶だっていえばそうなんだけど、いきあたりばったりって訳でもないのよねぇ。こりゃ、
続編も手に入れなきゃ。


『ガラス箱の蟻』ピーター・ディキンスン ハヤカワポケットミステリ1144(’71)

ニュージーランドに暮らしていたクー族は、今ではロンドンのアパートで、彼ら独自の
世間と隔絶された生活を営んでいた。その絶滅寸前のクー族の酋長が何者かに殺された。
複雑な背景を持つこの事件に、ヤードで変わった事件に対する一種の勘があると定評の
あるピブル警視が事件の解決にあたることになった。

細部にまでこだわった特異なシチュエーションづくりが最大の魅力。作者の創造した
独特の風習を持つ一つの世界とピブル=読者の属する世界との衝突が風変わりな面白味、
わくわくするような謎を生み出している。

巧妙な構成が本格ミステリとしての魅力も引き出しているけど、単に謎解きだけをとっ
てみると非常に地味な作品。だけど、何度も読み返したくなるような凄く惹かれるものが
ある。ディキンスンの作品読むのは3冊目だけど、なんだか好きになってきちゃったな。
けど、立て続けに読もうとは思えないんだよね。この薄い一冊だけでお腹一杯って感じだ
から。楽しみは後にとっておこう。

本格ファンとしてより、ロストマ・フリークとしてのおれの部分が好きみたいだな。
作風は全然違うけど、細部が妙に面白いんだ。

[NAGAYA v3.13/N90201]