黒猫荘
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THE TELL-TALE HUT
オーナー:庵本譚

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66. 2004年11月22日 06時19分25秒  投稿:庵本譚 
庵主です。
「新選組!」が終幕に向けてまっしぐら。
毎回「次は一体どうなってしまうのだろう」という
興味で見続けられるのは、幕末についての勉強を
全くといっていい程してこなかった人間の
特権とでも申しましょうか。
明治という時代が江戸と地続きであった事を
この歳になって知りました。
これで山田風太郎の明治ものを読む下地が出来た
と感じております。

昨日の読了本は実業之日本社ジョイノベルズ
深谷忠記の「十和田・田沢湖殺人ライン」。
かつては、2,3ヶ月に1冊ペースで刊行されていた
黒江壮・笹谷美緒シリーズも、最近ではすっかり、
1,2年に1度のお楽しみになってしまいました。
この第36作も、2年ぶりのお目見え。
前作で「読者への挑戦」などという稚気をみせた
作者ですが、今回は、「最後の一行」ものに
挑んだのかな?と思っていたら、エピローグで
踏ん張りきれませんでした。残念。
書き出しは中町信風の名前のないキャラクターによる
セクハラ・シークエンス。
そこから、笹谷美緒が旅先で、まだ生存している
時点の被害者と遭遇し、畳み掛けるように
死体発見、刑事達の地道な捜査が始まり、
といった、大いなるマンネリに身を委ねる事ができます。
物語の中盤で、第2の被害者が思わせぶりの「メール」を
残すところから、「暗号」解読ものになるのか
と思わせておいてから、意外な「肩透し」。
壮・美緒シリーズにしては、珍しい雑誌連載という形式が
このような不思議な展開をもたらしたのでしょうか?
作者なりの「逆転」に掛けた意地が、作品(=真犯人の
犯行計画)の完成度を少々損ねた、といった印象の一編でした。
「作者も歳なので、既に壮と美緒の結婚式でエンディングとなる
『最後の事件』が書かれていたりするのでは」などと
夢想するのだけが楽しみなシリーズにはなって欲しく
ないのですが…
65. 2004年11月21日 11時31分35秒  投稿:庵本譚 
庵主です。
「暗黒館の殺人」やら「龍臥亭幻想」やら「魔術王事件」やら
「水の迷宮」やら「生首に聞いてみろ」やら「キマイラの新しい城」やら
「監獄島」やら「聖フランシスコザビエルの首」やら「QED鎌倉の闇」やら
「紅楼夢の殺人」やら「殺しはエレキテル」やら「百器徒然袋−風」やら
日本人作家の本ばかりひっくるめて200冊強をブックオフに売り払いました。
1万円の大台にのりました。
折角、本を減らしたので、本を買わずにワインを買ってみました。
というわけで、家人は非常にご機嫌です。

読み終わった本はレジナルド・ヒルの「死者との対話」
ハヤカワポケットミステリの大作です。
今年の超大作「死の笑話集」に挑むには、まず、ここから
片付けないと、先に進めません。
RPGで言えば、ラス・ボス・クラスかと思っていたのですが、
ブッチャーの後ろにいたガイゾックが出てくるんだもんなあ。

さて、この大作は、言葉に淫したシリアルキラーが登場します。
その名も「ワードマン」!

ヨークシャ州の新聞社と図書館が共宰することとなった
短篇コンクール。その応募作の中に、現実に起きた「事故死」の
真相を告白する内容の「小説」が含まれていた。
下読みを担当する図書館司書たちの疑惑は、やがて警察の
知るところとなり、新米刑事ハットは、美しい司書ライへの
恋心を抱きながら、「事故」として処理された二つの死の
追跡捜査に乗り出す。
やがて公務員叩きで名を挙げた女性テレビ・レポーター、
ジャックスがこの「事件」を取り上げるや、
世間は「ワードマン」の話題で沸騰する。
文学者や心理学者を動員したダルジールチームの捜査を嘲笑うように、
大胆不敵な殺戮と執筆を繰り返す「ワードマン」。
果して、殺人鬼の心に宿る昏い動機とは?

薀蓄と教養に満ち溢れ、人間の内面と葛藤を描き出し、
コテコテのミステリの「コード」とツイストで、マニア心を擽る
もう、完璧です。
推理小説には、こう有って欲しいという思いにフィットする作品。
ど真ん中に時速160kmのボーリングボールを投げ込まれた
思いがします。
去年読んでおけば、間違いなく去年の新作の中でのベストだった
でしょう。

では、対話を終えて、次は笑い話に挑戦です。
むうむう。
64. 2004年11月20日 16時03分34秒  投稿:庵本譚 
昼間っから庵主です。

森下さん

>「荊の城」の作者はウォーターズです。

うううう。
ご指摘ありがとうございます。
思い込みというのは恐ろしいもので、
完全に同じウォルターズだと思ってました。
お恥かしい限りです。
ご指摘ありがとうございました。
お詫びして訂正いたします。
と申しましても、黒猫荘は過去が改変できないので、
そこはそれ、
サラっと水に流して……

>バークリーの長篇の題名を「レイン・コートの謎」

思わず作者が「!」とか(!が雨にみえませんかそうですか)
63. 2004年11月20日 10時38分11秒  投稿:森下祐行 
小さなツッコミ。
「荊の城」の作者はウォーターズです。
ミネットはウォルターズですが。
わたしもはじめ、間違えていました。

バークリーの長篇の題名を「レイン・コートの謎」と
思い込んでいたぐらいですから。雨合羽かよ。

[NAGAYA v3.13/N90201]