黒猫荘
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THE TELL-TALE HUT
オーナー:庵本譚

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71. 2004年11月24日 06時10分50秒  投稿:庵本譚 
庵主です。

SAMANAさん

>この長屋にはもうお一人、奇特な方がいらっしゃいます。

おおお、黒猫草伝説の粋人〜深谷・数寄屋+−の交差って感じ。

>『私にとってのS&Mシリーズは「犀川&萌絵」
>じゃなく「壮&美緒」だ』と

ご立派です!
でも、なぜ「犀川&萌絵」は「氏&名」なのに
「壮&美緒」は「名&名」なのかと「考える人」に小一時間

>現在は神経すり減らしまくり(らしい)ゲームに
>溺れて廃人になってるよう

「汝は心労なりや」と声をかけてみましょうか?(爆)

>もしこの文中に作品にかかるミステリネタが仕込まれたら、

偽「壮と美緒」でも登場させますか?(>水戸黄門じゃないって)

そいでは!

話題の漫画を1冊読んでみました。
浦沢直樹の「PLUTO」001巻。
まるで、「Monster」のようなノリで、懐かしい未来の
ロボットと人間の殺戮と交感のドラマが描かれておりました。
余りにも有名な漫画の、最も人気のあるエピソードを原作にしていながら、
全く異なったテイストの感動が生まれていることに、ただ驚愕するばかりです。
聖典にはなかった「殺人ロボット」のエピソードなど、膨らませ方も実に巧み。
ホント、うまいよなあ。
手塚治虫翁も草葉の陰でさぞや嫉妬していることでしょう。

読み終わった文字の本は福島サトルの「とくさ」。
角川ホラー文庫の新作です。
日本ホラー小説大賞 短篇賞佳作の表題作を中心に、
新たに3編の書下ろしを加えた、ジャパネスク・ホラー集。
東雅夫解説が微に入り細を穿つ「よいしょ」をやってますので、
ここで、わたしが駄文を連ねるつもりはございません。
ただ表題作は、言の葉の力を、行間から聞かせる迫力には敬服しつつも、
語り尽されない恐怖の余韻が鮮烈に過ぎ、
理に落ちるのを当然と待ち構えているミステリ読みには
些か辛いものがありました。
奔放な展開にただ唖然としつつも異形の買い物RPGに読めなくもない「犬ヲ埋メル」
ボーイミーツガールで逆転の「いやぼーん」ものである「掌」
躑躅という文字の禍禍しさに惑う「ナイヤガラ」
いずれも文章のプロらしい(作者は新聞記者上がりだそうです)
乱れのない文体と豊富な語彙を駆使した作品なので、
この類いのオトナの和風ホラーが好きな人には、堪らない
作品集ではなかろうかと思いました。
ただ、どれも短い作品なのに居心地の悪いぶつ切れ感があるのが
佳作の佳作たる所以なのかもしれません。
それが意図的なものなのか、天然なのかはともかく(おそらく意図的
なものだとは思いますが)、その結果、読者を選ぶ作品になって
しまったのではないでしょうか。
70. 2004年11月23日 22時58分05秒  投稿:SAMANA 

16号室SAMANAです〜。

>自分以外でこのシリーズが好きという人に初めて遭遇したかもしれません。

 この長屋にはもうお一人、奇特な方がいらっしゃいます。
 24号室の、のりりんさんが深谷作品を昔、読まれていたご様子。
 『私にとってのS&Mシリーズは「犀川&萌絵」じゃなく「壮&美緒」だ』と
 言ったとか言わないとか(笑)。
 現在は神経すり減らしまくり(らしい)ゲームに溺れて廃人になってるよう
 ですが、黒猫荘東京忘年会には参加されるご様子。もし出向かれるのであれ
 ば、「SMっていいよね〜」と完璧に誤解されるセリフで話しかけてみてくだ
 さい(爆)。

>壮と美緒シリーズ以外の長編も幾つか試してみましたが、どれも余り感心し
>ませんでした。

 つたない記憶を掘り起こせば、深谷ミステリを読んで最初に気に入ったのが
 『飛鳥殺人事件』だったことを思い出しました。
 わっ。「壮&美緒シリーズ以外」じゃないか(汗)。
 まぁ壮&美緒に縁のある勝警部と少し接点がある(?)宇都木警部補の話な
 ので、シリーズ番外編ぐらいにはなるんじゃないかと… ←絶対に違う
 今読めばどう感じるのか少し不安ですけど、当時読んだときは捜査が進むに
 従って推理(仮説)も行ったり来たりするスタイルをとても面白く感じまし
 た。確か同じ頃に読んだデクスター作品は面白く思えなかったのに『飛鳥〜』
 は気に入ったんだから、相性とはほんに不思議なもんでございます。

>壮と美緒の紹介文

 もしこの文中に作品にかかるミステリネタが仕込まれたら、個人的には「驚
 天動地のトリック」として、ずっと心に刻み込まれそうな気がします。でも
 その前に「あからさまな伏線」として全く役に立たないような気も(笑)。

そいでは!!
69. 2004年11月23日 06時02分42秒  投稿:庵本譚 
庵主です。

SAMANAさん

>壮&美緒シリーズも好きで楽しんでいるんですが

おおお、自分以外でこのシリーズが好きという人に
初めて遭遇したかもしれません。
やはりカッパや講談社ノベルスの初期の頃の
作品は粒ぞろいだったと思います。
いわゆる「トラベル・ミステリー」とは志の違う
アリバイトリックもありましたし、
日本列島を股にかけた物理トリックもありましたし。
おっしゃる通り「花・伝説」シリーズは、1ランク下の印象です。
一発トリックなしで長編を支えられるだけの旨さはないんですよね。
壮と美緒シリーズ以外の長編も幾つか試してみましたが、
どれも余り感心しませんでした。

>きっとこのあたりはコピペしてるんじゃないかと

これは間違いなくコピペしてると思います。
ここまで露骨にやる人も希ではないでしょうか。
木枯し紋次郎の初期の頃に、紋次郎の見てくれを
同じフレーズで描くことで印象づけるという
手法に触れ、なるほど、プロの作家というのは、
こういうことをするのか、と感心しましたが、
深谷忠記の壮と美緒の紹介文は、また別物ですよね。
最新作からシリーズを読み始める人もいるので
それはそれでかまわないかな、とも思いますが、
立て続けに読むと「はいはい、それはもう判ったから」
という気になっちゃうでしょうねえ。

本日の読了本はローレンス・ブロックのマット・スカダー第12作
「死者の長い列」、二見書房のハードカバーです。
文庫化されていないスカダーものを読むのはこれが最初。
これに先立つハードカバー作品も、何処かにある筈なのですが、
探すのが面倒なので、ここから再会してみました。
お話は、エラリー・クイーンの「生き残りクラブ」を思わせる
「三十一人の会」という秘密サークルを舞台にした連続殺人もの。
毎年5月の第一木曜日、誰が生き残っているかだけを確認し、
食事を伴にするだけの集まり。
だが、30年間で14人の物故者が出るというのは、
そこに何者かの意思の存在を疑わせるに充分だった。
会員の一人から、亡き会員たちの死の背景を洗い直すよう
依頼を受ける無免許探偵マット・スカダー。
老いと向き合いながら、マンハッタンに死の後ろ姿を追うマット。
死神の相貌が記憶の蓋を開けるとき、裁く者に下された評決とは?

あとがきによれば、この作品で突然、マット・スカダーの年齢が
55歳であるという記述が現われ、読者を驚かせたのだそうです。
作品の中身も、人生の晩年に入った男たちのプロフィール集といった
趣で、それは三十一人の会のメンバーのみならず、
マシューや、ミック・バルーといった定番キャラについても同様です。
ミステリである以前に、つくづくと人生の長さ・短さに思いを馳せる
切っ掛けを与えてくれる話です。
もっとも、ブロックは、(執筆当時の自身の年齢と同じ)55歳なんか
まだまだ青春だぜ、とばかり、この作品のラストで幸せの鐘を
鳴らしてみせたりします。
きゃああ、老いぼれ熊さんってば、わか〜い。

ミステリとしての趣向については、目新しいものではない話ですが、
スカダーファンにとっては、年代記上のエポックとなる重要な作品で
ありましょう。

実は個人的に、最も「諸行無常」を感じたのは、

「世界貿易センタービルをあしらった辰巳四郎の装丁」

だったりするのですが。
68. 2004年11月22日 21時36分02秒  投稿:SAMANA 

16号室SAMANAです〜。

>深谷忠記の「十和田・田沢湖殺人ライン」

私も深谷忠記ミステリが好きで文庫が出れば買うようにしています。
壮&美緒シリーズも好きで楽しんでいるんですが、いざ一つ作品を
あげろと言われると、どの作品がどんなだったか判らなくなってる
し、そもそもどんなネタが使われてたかも思い出せないていたらく。
2,3かなり面白く思った作品があったはずなのに…(汗)。
そうそう。花の名前をあしらった「〜伝説の殺人」シリーズは全般
的に少し物足りなさを感じたことだけ覚えてます(爆)。

お馴染みの地の文とシチュエーションは思い出せます。作者さんも
きっとこのあたりはコピペしてるんじゃないかと思ったり(笑)。

そいでは!!

[NAGAYA v3.13/N90201]