黒猫荘
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THE TELL-TALE HUT
オーナー:庵本譚
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91. 2004年12月25日 22時41分10秒
投稿:SAMANA
16号室SAMANAです〜。
>「お、サンリオとは立派やな。腐ってもサンリオ、栗より美味い十三里オと
> いうからな。んで、なに抜いてん?ディキンスンかい?」
サンリオ文庫のディキンスンといえば、『キングとジョーカー』。
夏の乱歩オフの時に18号室の無謀松さんが「あれは面白い!」とキッパリ断言
していた姿がすっごく印象に残っています。それでますます欲しくなってしま
いましたが、見つけるのは難しいんでしょうね。
面白いのなら、どこかで復刊してくれないかしら…(爆)。
そいでは!!
90. 2004年12月25日 15時26分59秒
投稿:通りすがりのM
「蔵書一代(本釣り?)」爆笑しました。続きが楽しみです。
師匠! 支障なければもっとお話を聞かせてください。
お願いします。
89. 2004年12月24日 17時38分46秒
投稿:庵本譚
庵主です。
36号室のよつやさんに共感して、
「フレンチ警部と漂う死体」祭りを開催してみます。
「フレンチ警部と漂う死体」は戦後初のクロフツのハードカバーか?
戦前には、ハードカバーで「樽」を始め「マギル卿」「英仏海峡」などが上梓
されていたクロフツですが、某「お父ちゃんの古本日記」に、
「ひょっとして、今回の『〜漂う死体』は戦後初のハードカバーではないか?」
という指摘がございました。
「クロフツといえば創元推理文庫」な世代としては、
「それはそうかもしれない」と納得しちゃうところなのですが、
「いやいや待てよ、全集ものがあるぞ」と思って国会図書館を探ってみると、
講談社 世界推理小説大系 第4巻「樽」
東都書房 世界推理小説大系. 第12巻「樽」「クロイドン発12時30分」
なんかがヒットしていまいました。
残念!音羽斬り!
でもこの「全集」というのは単行本とはまた別のジャンルかなと思いなおし
<「フレンチ警部と漂う死体」は戦後初のクロフツのハードカバーの単行本である>
ということであれば、言えなくもないかな?
そう思って、もう一度調べてみると、今度は
中央公論社の「ザ・スクープ」がヒットしてしまいました。
「漂う提督」や「警察官に聞け」などと並ぶ
ディテクション・クラブの合作長編です。
ううむ、しかもちゃんと表紙や背にまでクロフツの名前が、、
残念!リレー斬り!
じゃあ、これでどうだ
<「フレンチ警部と漂う死体」はクロフツの長編としては、
戦後初めてのハードカバーの単行本である>
はあはあ。
と、ここまで書いてきたところで
「おんどり・みすてりい」の存在を忘れていたことに気がつきました。
こけこっこーーー。
なんと昭和25年に「樽」だの「ポンスン事件」だの
「マギル卿最後の旅」が、薄手ながらも一応ハードカバーで
ちゃっかり刊行されているではないですか。
し、しまったああ。
早川がポケミス以前に出していたハードカバーの
「世界傑作探偵小説シリーズ」全10巻に
クロフツが入っていなかったものだから、油断してました。
くうう、残念!おんどり斬り
しかし、しかし、
「おんどり・みすてりい」は確か戦前訳を流用したお色直し出版だった筈。
ならば!
<「フレンチ警部と漂う死体」はクロフツの新訳長編としては、
戦後初めてのハードカバーの単行本である>
ぐらいは言わせていただきたいっ!
…って、なんだか、もの凄く当たり前の話になってしまいました。
まあ、とりあえず祭りだ、祭りだああ!
それ、わっしょい、わっしょい。
…しかし祭りの喧騒の向こうでは、殆どのクロフツの著作が
「残念!版元切れ!」
とりあえず回文
「クロフツへ打つウエッブログ」
88. 2004年12月24日 12時53分44秒
投稿:庵本譚
あなたからメリー・クリスマス
わたしからメリー・クリスマス
庵主です。
愛猫鉄人さま
どもども、ご高評感謝です。
やっぱり「日記は受けてなんぼ」ですから。
何かしら反応があると報われた気になりますです。
ベロウの件は、良くも悪くもショックです。
原書で一番金を突っ込んだ作家なだけに、、、
ここを、にっこり笑ってすごせるかどうかで、
己の戦いの年季が決まるみたいですね。
古本の神様に試されてるかなあ。(しみじみ)
来年もよろしくです。
昨日の祝日は、年賀状の準備にトランクルームに行って
蔵書を引っ掻き回して参りました。整理が悪いとこういうときに大変です。
2000年の辰年から干支にちなんだミステリ等の書影で年賀状を作って
いるのですが、来年については、二ヶ月前に講談社文庫版の「狐の鶏」を
処分してしまったのが痛恨の一撃。
「数少ない『鶏』が題名に織り込まれたミステリ本なのにい」と
ニワトリの歯ぎしり状態です(そんな格言はない)
海外・国内を問わず、鳥の名前を織り込んだ題名は、ケッコウあるのです
(裏庭で羽を残す孔雀とか、数を数えないカラスとか、多すぎるフクロウとか、
溺れたり逃げたりするアヒルとか、殺される駒鳥とかカナリアとか、
おしゃべりなスズメとか、猫が入り込んだ鳩の群れとか、子供を攫うウブメとか、、)
が、これが「鶏」となると、コッケイなほど少ないのであります。
いっそ、アニメのポアロに出てくるアヒルのオリバーを描いて「アヒルだね・
オリバー」という一発ギャグもありかなどと思いつめもしたのですが、
なんとかかんとか5冊+αでカッコウがつきそうです。
実は今回の構想段階では、シャーロット・マクラウドの「風見鶏大追跡」で
一つは頂き、と考えていたら、なんと「風見鶏大追跡」ではなくて
「風見大追跡」だったんですね。
扶桑社文庫の表紙絵の風見も、ちっとも鶏ではなくて天使(?)でしたし。
ピンチと引き換えに長年の誤解が一つ晴れました。(とほほ)
昨日の読了本はそんな1冊から霞流一の「火の鶏」。ハルキノベルスの
1冊で奇蹟鑑定人ファイルの3作目。このシリーズ、馬・鹿ときたので
次は河馬かと思ったら鶏でした。題名は勿論、日本一の漫画家のライフワークの
地口。いっそのこと「火の鶏 卵生編」とでも銘打つってえのはどうでしょうか?
口から火を吐きながら闇を飛ぶ鶏、という「奇蹟」の鑑定に練馬区を訪れた
寺社捜査局の魚間岳士と自称奇蹟鑑定人にしてモヒカン刈りの天倉真喜郎。
そこで遭遇した、ノリのいい自然食主義者たち。
そしてオーガニックなグルメ談義の合間に起きる奇怪な連続不可能殺人事件。
ある者は羽毛につつまれ、またある者は串にさされ、鶏のような死に見舞われる。
黎明にヤマトの食の未来を託す。俺の胃袋は宇宙だ!復活せよ、奇蹟鑑定人。
いつもながらのスーパーおばかトリック炸裂の一編ですが、
「衆人環視の密室」の仕掛けはエレガント。
この一事をもって、記憶に残されていい作品でありましょう。
そして、これもいつもながらのB級グルメ談義が、自然食というテーマを
得て、更にパワーアップ。馬やら鹿にくらべて食材として馴染みのある鶏
だけに、食欲中枢直撃、読者垂涎の一編に仕上がっています。
ご馳走さまでした。
もういっちょ、一昨日の読了本は、お懐かしやF・W・クロフツの
「フレンチ警部と漂う死体」。論創海外ミステリの中でも古典マニアが
鶴首して待っていた1冊です。
クロフツは、ここ5年ぐらいの間に「老後の楽しみ」と称して積読にして
おいた作品を片っ端から読み尽くし、その面白さを初めて認識している
ような次第で、この作品も一応原書で押さえてはいたのですが、未読でした。
一族の家電会社を一流企業に育てあげた実業家が、引退を仄めかすところから
物語は幕を開ける。なんと彼は、遙かオーストラリアから、没交渉だった
甥を呼び寄せ後継者に指名してしまう。収まらない係累の間で起きる不協和音。
そして当主の誕生パーティーの夜に、事件が起きた。
一家全員が食中毒に冒されたのだ。一族の娘と恋仲にある掛かりつけの医師は、
そこに何者かの悪意を見出す。
だが、それは来るべき真の惨劇への序章に過ぎなかった。
病から癒えた彼等が参加した地中海への船旅の途上、一行の一人がアフリカの
港町で行方不明になったのだ!
船長と旅行会社はスコットランドヤードに隠密捜査を依頼。
ヤードきっての名警部ジョゼフ・フレンチは船旅に心弾ませながら、
一族の謎に迫る。
いいです。
これは、本当にくつろぎながら読める作品です。
舞台が船上に移るまで、延々長編の半分かけて田舎の毒殺未遂事件が
語られます。船上になったらなったで、丸々1章を割いて、事件とは
無縁の海の男たちの日常が描かれます。
職人魂に敬意を払い続けた作家・クロフツの面目躍如たるものが
あります。フレンチ夫妻のほのぼのとした掛け合いも微笑ましさ爆発です。
はっきりいって、「そんなんありかい?」のトリックはどうでも
よくなってきます。
暇文学としてのミステリを余裕を持って楽しみたい人に是非。
そんなところです。
[NAGAYA v3.13/N90201]