黒猫荘
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THE TELL-TALE HUT
オーナー:庵本譚
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99. 2005年01月13日 19時09分14秒
投稿:庵本譚
庵主です
昨日の読了本はエド・マクベインの87分署最新作「歌姫」。
「キングの身代金」以来の誘拐事件にキャレラ他87分署の
面々が挑むお話。
誘拐されるのは、船上の煽情パフォーマンスでブレイクを
目論む新人女性歌手。その歌がクライマックスに差し掛かった
瞬間に、銃器をもった2人組の暴漢が彼女を拉致していく。
その取材がオンエアされるや、彼女は一夜にして「歌姫」となった。
「囚われの歌姫」に。
電子機器を駆使し、悠然と捜査を指揮するFBI合同捜査班。
その彼等を翻弄する誘拐犯。
プロモータからの指名を受けて身代金の受け渡しに同道した
キャレラは地元署の意地を如何にみせつけるのか?
87分署対FBIの捜査合戦の果てに待ち受ける、金ぴかの夢と
その末路とは?バンダースナッチに気をつけろ。
一時期エヴァン・ハンター名義のシリアス路線がかぶっていた
87分署シリーズも、9.11という時代の荒波を受けて、
むしろ、軽快なキャラクターノベルの原点に帰ってきた感があります。
87分署対FBIというメイン・プロットもさることながら、
音楽業界をとことんコケにした曝露趣味や、複数の刑事たちに恋を運ぶ
サービス精神(まるで、美貌の若妻とよろしくやっている作者が
長年の相棒たちにささやかなおすそ分けをしているようにもみえます)
などなど、実に楽しい一編に仕上がっています。
勿論、シリーズ屈指の名作「キングの身代金」には比べるべくもないですが、
これはこれで、十分な水準作といえるのではないでしょうか?
とりあえずそんなところです。
98. 2005年01月12日 12時43分03秒
投稿:庵本譚
庵主です。
昨日の読了本は、ハードボイルド・ファン待望の1作「愚か者死すべし」。
名前が漢字でかけない原りょうの新・沢崎シリーズ。
実はまだ、旧シリーズ最後にして最長の「さらば長き眠り」を未読なのですが、
とりあえず、新作を旬のうちに読んでみました。
大晦日の依頼人は、死者を訪ねてやってきた。「任侠との縁を断ち切るために
銀行強盗の身代わりとなって自首した父を助けて欲しい。」有効期限切れの
言付けが仕事納めの沢崎を馴染みの新宿署へと誘う。だが、謀殺劇の幕は既に
上がっていた。地下駐車場に轟く二発の銃声。居合わせた人々。偶然と必然の狭間で、
軋むブルーバード。きまぐれな運命は新たな狩りへと探偵を送り出す。
狩るか、狩られるか、侠気と暗鬼、銀幕と黒幕、
今、億千万の誘惑を葬る男は卑しい街に帰還する。
A Happy New Year!
A Happy New Episode!
相変わらず無茶苦茶格好いいです。
輻輳するプロットに時事ネタやら、政治の暗黒神話やら、オタクな邦画ネタやらを
ぶちこんで名探偵の帰還を彩る快作であります。
旧シリーズのキャラクターを絡ませた出来すぎの人助けネタもありますが
まあ、そこはそれ。
チャンドラーなんかよりも絶対良いと思います。
チャンドラーよりも沢山書いて欲しいものです。
ちなみにこの本も、東京堂に積んであった著者サイン本なのでありました。
とりあえずそんなところです。
97. 2005年01月11日 06時58分57秒
投稿:庵本譚
庵主です。
愛猫鉄人様
>2005年は近い将来「Berrowルネッサンスの夜明け」
「サタンの足跡」が本ミスで1位をとる、
原書房から「夜吠える」が、新樹社から「消失三重奏」が
晶文社から「暗がりにご注意」が相次いで出版決定!
人はその時代を「NORMAN CONQUEST」と呼んだ、
みたいな。
壮と美緒シリーズ、まずまずの感触で、オススメした者としては
ホッといたしました。正直なところ、「阿蘇雲仙」並みのトンデモ
トリックでもない限り、話をすべて忘れてしまうというのが
このシリーズの恐ろしいところです。
なんでも、ジャーロ最新号の有栖川有栖によれば
「寝台特急『出雲』+−の交叉」がイチオシの模様ですので、
一度お試しください。
探偵が俗っぽいところは、なぜ素人探偵が幾つも鉄壁のアリバイに
挑む羽目になるのかというところの作者なりの苦心の果てなのかもしれません。
「仮面舞踏会」ですかあ。
正史かな?サタスウェイトかな?
じじいが斧をふりおろす。
青縁眼鏡様
>1日1冊ペースでミステリを読んでいらっしゃるなんて
原書マラソンをやっておられる青縁眼鏡さんにくらべれば、
ワールドシリーズと高校野球地方予選並みの差がございます。
城戸禮でも1冊ですから。
金曜日からの読了本は以下の4冊。
「ワトソン君、これは事件だ!」コリン・ブルース(角川文庫)
「ブルー・タワー」石田衣良(徳間書店」
「ダンテ・クラブ」マシュー・パール(新潮社)
「怪奇俳優の演技手帖」佐野史郎(岩波アクティブ新書)
コリン・ブルースは、相対性理論をホームズ譚の
パスティーシュ仕立てで説明してしまおうという大胆な企みの啓蒙ミステリ集。
これが結構成功しているので、驚いてしまいました。
「光が波動か、粒子か」といった話に終始してしまう終盤を除いて、
ホームズのパスティーシュとして先達のそれらに対し遜色のない出来映えです。
文科系のホームズに対して、チャレンジャー教授も動員して、
いかにも「らしい」事件をでっちあげる手際は、欧米のホームズマニアの
層の厚さを感じさせます。
石田衣良の長編新作は、作者自身が「スター・キング」へのオマージュと
言って憚らない冒険SF。「黄魔」後の2200年代の新宿と現在の新宿を
結んで綴られる昔懐かしくも(NHK少年ドラマ並みの)初々しい人間活劇。
面白くなくはないけれども、これがもしそれなりのセールスをあげてしまうと
普通のSF作家さんはいたたまれないでしょうねえ。
まあ、宮部みゆきが「剣と魔法」を書く時代ですから、何でもありなんで
しょうけれども、ケルベロスは勘定にいれませんてな時代に今更こんな
話を出されてもなあ、、
とりあえず、ハードカバーの新刊で買うレベルの話ではありません。
(私の場合は、サイン本だったので買ってしまいましたが…)
「ダンテ・クラブ」は、「ダ・ヴィンチ・コード」よりも本物の教養推理と
いう噂を聞いて、手にとってみました。これは大傑作。凄いです。
あと一ヶ月早く読んでいたら、文句なしに去年のベスト3にいれます。
南北戦争の傷さめやらぬアメリカ。ボストンの知的階級を震撼させた
連続殺人は、詩人ロングフェローの手によって英訳が進みつつある
ダンテの「神曲」地獄編の見立てであった!
もう、この設定だけで「ノックアウト」なところにもってきて
ホワイダニットとフーダニットのバランスが素晴らしいっ!
一語も読み飛ばす事を許さない緻密にして知的なパズル。
圧倒的な教養と薀蓄が小説の面白さを全く損なわず、それどころか
この本を読み終わると無性に「神曲」が読みたくなるという
伝導の書でもあります。
ハーヴァード大学英文科首席卒業は伊達ではありません。完全脱帽。
最後の佐野史郎本は、好きな俳優さんのサイン本だったので、
つい発作買いしてしまいました。
「このクラスの俳優が、演技手帖とはおこがましい」という噂も
ありましょうが、きちんと自分の言葉で伝えられるというのは
それはそれで才能なのでありましょう。自分を「怪奇俳優」と
言い切ってしまえるところが、佐野史郎なんですよ。うん。
「沙粧妙子最後の事件」での、嵌まり方が忘れられませんです。
とりあえずそんなところです。
96. 2005年01月09日 22時25分43秒
投稿:愛猫鉄人
庵主様
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
2005年は近い将来「Berrowルネッサンスの夜明け」と呼ばれる。。。かもね。
庵主様がおすすめの壮&美緒シリーズ「法隆寺の謎殺人事件」「阿蘇雲仙逆転の殺人」
「釧路・札幌1/10000の逆転」3冊読了しました。
元々私はトラベルミステリの類に関して皆様よりは遥かに寛大なのですが、この
シリーズはそれを差し引いても十分に楽しめました。
「法隆寺」はトリック、犯人ともなかなかです。まあ私は見破りましたけどね。
もう少しアリバイの審議(ミスディレクションも含めて)をしつこくやって、
最初の殺人にも何かおもしろいトリックが有ったら、マイベスト20位には
入ったかも。ちょっと惜しい気がします。
「阿蘇雲仙」は奇抜なトリックがおもしろいです。アリバイトリックにしては
ちょっと行き当たりばったりな感が無いでも有りませんが。
個人的にはこのシリーズは探偵のキャラがなんか俗っぽい印象で、それが本格物
としての良さを殺している感がしないでもないのですが、どうでしょうか?
>青縁眼鏡様
仮面舞踏会へようこそ(笑)
「あなたはだあれ?」
フック星人。。。ではありませんが、下の方を読むとばればれです。
[NAGAYA v3.13/N90201]