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1043. 2002年03月15日 19時43分14秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『鍵』 乃南アサ氏 読了

  乃南作品、アンソロジー等で短編は読んでますが、長編を読む
  のは今回が初めてでした。そこそこ面白かったであります(笑)。

  非日常的な事件に、どこにでもいそうな(このひねくれた世の
  中ではちょっと貴重な存在になりつつあるかも?)、本当に平
  凡で善良な三兄妹たちが巻き込まれ、危機に陥るけれども何と
  かがんばって立ち向かっていくという話ですが、主役の三兄妹
  が、それこそホント、どこにでもいそうな人たちなんです。

  で、その三兄妹が本当によく描かれているので、人の弱いとこ
  ろ・いじけたところ・甘ったれなところ・いやみなところ等々
  も、それこそストレートに描かれており、私は自分のことを
  「棚にあげて」、いらいらしたりやきもきしながら読み進めま
  した(苦笑)。

  サスペンスでハートウォーミング(汗)なこの作品。本格味は
  ないけれど、自分に身近なフィクションを味わいたい方には、
  とても面白く読めると思います〜(笑)。

そいでは!!
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1042. 2002年03月14日 12時35分56秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『マダム・タッソーがお待ちかね』 ピーター・ラヴゼイ氏 読了

  シルヴァー・ダガー賞受賞作というわりにはあまり評判を聞か
  ないこの作品。期待せずに読んだら、これが思った以上に本格
  ミステリの味わいを与えてくれました。小粒だけれどピリリと
  辛い、「山椒本格」のこの作品に満足満足(笑)。

  「処刑期日前に不可解な出来事に説明をつけるべく、一刑事が
   捜査していく」というストーリーなので、サスペンス色を期
  待して読んだんですけど、ハラハラドキドキ感はほとんど感じ
  ませんでした(汗)。
  んでもその分、本格を感じさせるトリック・小ネタ・ロジック
  が描かれていて、「うわぁー、ラヴゼイ作品ってこんなに面白
  かったっけ?」と、ちょっと小首を傾げてしまいました(苦笑)。

  解説ではこの作品(シリーズ)の魅力について「過去の風俗・文
  化の再現」としていますが、どうしてどうして、私はこの作品
  に限っていえば、ミステリ部分も充分魅力がありますよーと声
  を大にして言いたいです。あー面白かった(笑)。

そいでは!!
[210.235.112.137][Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.0; Windows 95; DigExt)]

1041. 2002年03月13日 12時22分26秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『アニーの冷たい朝』 黒川博行氏 読了

  大阪府警の刑事達の存在感を描かせたら、この人の右にでる
  どころか上下左右、たぶん過去にも未来にもいないだろうと
  思わずにはいられない、黒川さんのサスペンス作品でありま
  す(笑)。

  とは言いながらこの作品は、私が今まで読んだ2,3作の黒
  川作品とは少し趣が異なっているように思います。
  事件を追いかける側の筋だけでなく、当事者側の筋が交互に
  描かれているので、サスペンス色を非常に強く感じましたし、
  幕切れも読んできた作品とは違い、非常にせつないものにな
  っています。黒川さんの違う面をかいまみたようで、ちょっ
  と嬉しかったですね(笑)。

  ちなみに解説者(鷺沢萠)が「ひょえー。こええよー。」と
  叫んでいる「あそこの部分」って、きっとP.250の最後のとこ
  ろだと思うんですけど・・・(笑)。
  私はここを読んだとき、「うわっ! すごっ!」と本当に感
  心してしまいました〜(笑)。

そいでは!!
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1040. 2002年03月11日 23時06分41秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『「邪馬台国の謎」殺人事件』 深谷忠記氏 読了

  一口に「荘&美緒シリーズ」といっても、実はその中には、数
  種のパターンにわかれています。この作品はそのうち、現代で
  起きた事件に「歴史の謎」的要素を含めたパターンのミステリ
  になっております。
  ・・・わざわざ言わなくてもタイトル見ればわかりますね(汗)。

  実のところ、私は歴史の謎にはほとんど興味がないので、邪馬
  台国に関するページは、本当のところをいうと流し読みしてし
  ましました(爆)。
  でも、その「邪馬台国の謎」と関連づいた、暗号を思わせるよ
  うなメモと、ほんのちょっぴり小味が効いている密室トリック
  を中心に、現代に起きた事件についてはそこそこ楽しませてい
  ただきました(笑)。

  本筋には全く関係ないんですが、誰もかれもが熱中してしまう
  「邪馬台国の謎」を皮肉った、星新一&小松左京のコメントが
  作品中に紹介されています。このコメントが実に爆笑もので、
  これだけでも一読の価値はあるんじゃないでしょうか(笑)?

 そいでは!!
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1039. 2002年03月10日 13時30分54秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『悪魔が来たりて笛を吹く』 横溝正史氏 読了

  映画だったかビデオだったか・・・。とにかく「映像」で既に
  この作品を知っていました。今回初めて小説を読みましたが、
  まさかというか、やはりというか(苦笑)、映像とは密室の仕
  掛けや犯人が少しばかり違っていたように思います(苦笑)。

  読む前には、おどろおどろしさが強くてそんなに本格味はない
  だろうと思い込んでいましたが、そうでもありませんでした。
  むしろ「トラベル・ミステリ」的な面白さ(アリバイ崩しにあ
  らず)も味わうことが出来、ちょっと嬉しかったです(笑)。

  「おっ!」と思わせるちょっとした仕掛けと、事件の陰惨さが
  払拭されそうな予感を感じさせるラストもなかなか良かったで
  す(笑)。

 そいでは!!
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1038. 2002年03月07日 13時12分20秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『聖い夜の中で』 仁木悦子氏 読了

  遺作となった表題作を含めた、仁木さん最後の短編集。
  表題作は改めて仁木さんらしい好短編だと思いました(笑)。

  私が持ってる本は文庫なのですが、その巻末にも年譜・書
  誌・著書目録等があって、仁木ミステリを探して読んでい
  きたいと思われる人にとっては、とても役立つものだと思
  います。
  んでもたぶん、この文庫も絶版状態なんだろうなぁ(泣)。

  実は仁木作品の中で「しっくりこないなぁ〜」と思う短編が
  私にはいくつかあります。主に浅田(旧姓:仁木)悦子が主
  人公の作品なんですけど、殺された人の身内やそのまわりへ
  の影響もかえりみず、単なる好奇心だけで探偵役となって、
  事件を振り回すといったタイプの作品だと理解してます。

  クィーンの悩みじゃないですけど、ここまで自分の好奇心
  だけで人の生活をしっちゃかめっちゃかにしていいもんだ
  ろうか? と、仁木作品の舞台・背景・キャラの世界が現
  実の世界にかなりオーバーラップすることもあいまって、
  読後感がいまいちすっきりしなかったんですよね。

  でも巻末にある夏樹静子さんの追想文の一節を読んで、目
  から鱗が思いっきりはがれてしまいました(汗)。

  「人間は誰だって殺人事件が大好きなのだ。そのことを、
   こんなにもおおらかに語れる作家は、仁木さんを措いて
   はいないだろう。」
  
  おおお!!! そうか。そうだったのか!!
  実際に生きている人間を、実は「殺人事件が大好き」なも
  のでしかないと、そこまで冷ややかに人間というものを認
  識しているにも関わらず、そんな人間をおおらかに受け入
  れることが出来る人だったからこそ、おおらかに語ること
  が出来ていたんだなぁと感じとりました。

  私は営利目的や興味本位で、現実の世界で殺人を犯したよう
  な人については、恐らくその人を受け入れるようなことは出
  来ないと思います。
  そこまで「おおらかな心」を自分が持っているとは到底思え
  ないからです。
  そんな心の持ち主が、ある意味達観しているともとれる短編
  を読んで、納得するはずがなかったんですよね(汗)。
  なんだか、やっと「何か」を理解したように思えました。

  人間の受取方については、私の心はたぶん死ぬまで変わらな
  いと思われますが、こと仁木作品に対しては今までとは違っ
  た心(受け取り方)で、読むことが出来るかもしれません(笑)。

そいでは!!
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1037. 2002年03月06日 12時46分30秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『試行錯誤』 アントニィ・バークリー氏 読了

  一読驚嘆!!
  まさか徐々に発生した「狂気」がここまで暴れ回って、つい
  にはとんでもなく非条理な世界が展開されるスラップスティ
  ックコメディだとは思ってもみませんでした。
  かなり爆笑ものだと思います(笑)。

  後期の作品ということもあって、ガチガチの本格を期待して
  いなかったのですが、まさかこんな作品とは・・・。
  これは嬉しい誤算でした。まるで筒井ドタバタ作品を読んだ
  ようです(笑)。

  文庫の梗概に書かれてるような「従来の推理小説を皮肉るよ
  うなユーモア」は別に感じず、むしろP.319半ば(創元推理
  文庫8版)に書かれている「事態」がまず頭に浮かんで、そ
  れを展開させるためにこういった従来の推理小説と違うパタ
  ーンの毒笑小説が生まれたんじゃないかと邪推しています(汗)。

  ただひとつ残念なのは、P.429からP.432の弁論があまりにも
  見事なことと、P.433の1行目に書かれた一文から何となく
  最後の姿が見当ついてしまったことであります。
  P.433の一文については他に翻訳しようがなかったんでしょ
  うね。それとも私がこの一文を勘ぐって受取りすぎたのかし
  ら(汗)?

そいでは!!
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1036. 2002年03月05日 23時25分19秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。
珍しくも読書感想ではありません。お喋りです(笑)。

朝、新聞を読むと半村良さんがお亡くなりになったとのこと。
私は決していい読者ではなかったんですが、それでも

・「伝説」シリーズを夢中で読んでた時期もあったし、
・「闇の中の〜」シリーズ1作目を読んだときは「なんちゅう
  世界を作りあげてるんやっ!!」と驚嘆したし、
・筒井康隆編による「日本SFベスト集成」に入ってる「H氏
 のSF」は大のお気に入りだし、

私の読書傾向に少なからず影響を与えてくれた作家さんである
ことは間違いありません。筒井・半村両氏には、他の作家さん
とは一線を画す、「才能」「オーラ」みたいなものが感じられ
る、それほどの存在力が私にはありました。
つつしんでご冥福をお祈りいたします。

訃報がきっかけとなり、前に古本屋で見つけて目をつけていた
『妖星伝』全巻を思い切って購入しました。
こんな代表作を読んでないんだから、私は半村さんにとって、
本当にいい読者ではありませんでした・・・(汗)。

そいでは!!
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1035. 2002年03月03日 17時01分01秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『ターン』 北村薫氏 読了

  世間では「時」三部作と呼ばれてるらしいシリーズの二作目
  であります。
  優しい気持ちになれる素敵なファンタジィだと思うのですが、
  それゆえに「不鮮明な形」の解釈が残念です・・・(苦笑)。

  私、北村作品でみられるこんなセンス・感覚が好きなんです。
  ・P.177とP.178のつなげ方
  ・P.232の10〜15行目にあるシーン
  ・P.338の7〜10行目にあるシーン
   ※全て新潮文庫H12.7.1発行初版によります
  特にP.232のシーン。普通こういうシーンは男性作家は思いつ
  けないと思うんですが・・・(笑)。
  すんごく上手だなぁ〜と思いました。

  最初に書いた「不鮮明な形」解釈については、「作品世界」を
  重視するならば、とるにたらないささいな問題として、取り上
  げないほうが良いと考えられるかもしれませんが、これって非
  常に大事な問題であって、取り上げないほうが実はおかしいん
  じゃないかと感覚的に思いました。
  ミステリ作家だから「そこまで考えてしまう」といったもので
  はないと思います。SF作家だったらもっとシビアに対処する
  かもしれない(汗)。

  だからこそ巻末に「付記」をつけた北村さんの行為はとっても
  正しい行動だと、私は思います。
  (単行本に付記はついてるのかしら?)
  んでも、やっぱりあの解釈はちと苦しいような気が・・(汗)。

  いっそ、疑問点をそのまま「正」とし、作品中にその事態を
  一場面として描いてしまい、その結果「じゃあ次には・・・」
  という流れになっていたほうが、本格ミステリのアクロバット
  効果もあって、私はより満足したかもしれません。
  ・・・・なんだかすっごく偉そうなこと喋ってますね(爆)。

 そいでは!!
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1034. 2002年03月01日 23時08分26秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『探偵の秋あるいは猥の悲劇』 岩崎正吾氏 読了

  エラリィ・クィーンの宿命のライヴァル(笑)である、バーナ
  ビー・ロスの超有名四部作のうちの代表的作品『Yの悲劇』の
  様々な要素が取り入れたこのミステリ。
  なぜか横溝風味もしたんですけど、これは私の気のせいか(笑)?

  実は『Yの悲劇』だけでなく、他のロス作品の要素もかなり見
  られますし、ロス作品を下敷きにしたネタもあるので、これから
  読もうとされる方は、出来ればロス(=エラリィ・クィーン)の
  四部作を前もって読んでおかれたほうが絶対にいいと思います。
  この作品自体はロス四部作を事前に読んでなくても楽しめること
  は楽しめるんですが、この作品を読んだ後にロス4部作(特にあれ
  とあれ)を読むと、かなり味わいが薄くなってしまうように思う
  もんですから・・・(苦笑)。

  作品自体はそこそこ楽しめました。解説に書かれてるように「ど
  本格」ではありませんが、横溝風土着展開とタイトルの妙に惹か
  れました(笑)。

  全くどうでもいいことを一つ(汗)。
  「八田リカ」という登場人物の名前は、岩崎さんが「八田」とい
  う苗字を活かし、「お遊び」でわざわざつけた名前であるように
  思えて仕方がないんですけど・・・(笑)。
  ・・・きっと同じように思った人は既にいるに違いない(苦笑)。

 そいでは!!
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1033. 2002年02月28日 10時58分38秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『棺のない死体』 クレイトン・ロースン氏 読了

  名前だけはだいぶ前(私が中学生の時?)から聞いていた作家
  さんの作品。初読です(汗)。

  奇術研究の大家と言われる人の作品だけあって、細かなトリッ
  クが随所に見受けられます。わりとオーソドックス(笑)な不
  可能興味ものなので、好きな人が読めば悶絶しそうなほど喜ぶ
  タイプのミステリだと思います。
  ユーモアのある軽妙な会話も面白く、これまた奇術というエン
  タテイメントのなせる業なのでしょうか(笑)?
  アクロバティックなトリックもさることながら、トリックの信
  憑性をなにげなく示唆している記述・伏線が軽やかで素敵でした。

  ただ、この手のタイプのミステリには、やっぱり館の「平面図」
  が私には欲しいですね。あと、事件がリズミカルにハイテンポで
  進んでいくため、複雑な状況が今いち把握しづらかったです。
  このハイテンポは、読者への「煙幕」にもなっているんでしょう
  が、私みたいな「ぐうたら読者」には、少しの休憩を兼ねた検証
  シーン(「事件をここで一度振り返ってみよう」ってやつ)が欲
  しかったのも事実(汗)。

  んでも、とても好ましいミステリと感じたことも事実であります。
  う〜ん。こうなると『帽子から飛び出した死』も読んでみたくな
  りましたねぇ(笑)。

 そいでは!!
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1032. 2002年02月25日 12時50分58秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『ガラスの麒麟』 加納朋子氏 読了

  黒猫荘各お部屋のトップに記載されているファンサイトの「主役」
  でいらっしゃる加納朋子さんの連作短編集。
  いやー、小林オーナーさんが勧められる作家さんだけあって、非常
  に素敵な短編集でございました。
  私からもお勧めさせていただきます(笑)。

  解説にも触れられていますが、ミステリとしてみた場合だと「鏡の
  国のペンギン」がやっぱり一番驚かされました。いや、こんな考え
  方も出来るんですねぇ(驚)。
  続いて「三月の兎」、「暗闇の鴉」といったところでしょうか。
  でも、一番ミステリとして優れているのは、見事なまでに閉じられ
  た世界を作り上げたこの連作短編集そのものの「構成」だと感じま
  した。いや、ホント素晴らしいですー。

  実は「ダックスフントの憂鬱」だけは、他のアンソロジー集で読ん
  でいたんですが、その時にはほとんど面白さを感じませんでした。
  それもそのはず、やっぱりここにおさめられている各短編は独立し
  て読むものではなく、絶対に短編集として通して読むべきものだと
  思います。

  ミステリ部分だけでなく、他の要素から見ても、今まで読んだ加納
  作品の中で、この短編集が一番感動的でした。
  個人的には「三月の兎」「暗闇の鴉」がとても良かった。やっぱり
  私はハッピーエンドが好きみたいです(苦笑)。
  ただ、先ほども言いましたけど、やっぱり一番感動的なのは、この
  閉じられた世界で繰り広げられた一連の出来事。最後の主人公の一
  人である人が涙を流したシーンを含め、これら一連の出来事に私は
  いたく感動してしまいましたとさ(嬉泣)。

そいでは!!
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1031. 2002年02月23日 00時51分18秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『英国庭園の謎』 有栖川有栖氏 読了

  国名シリーズ短編集です。有栖川さんの短編ってどうしても
  本格味を期待して読んでしまうんですよね。で、いつも結構
  期待にこたえてくれるから、それがまた嬉しいんです(笑)。
  
  今回もかなり期待にこたえていただきました。
  ベストは(選ぶのがむずかしいけど)「完璧な遺書」。ついで
  「三つの日付」「ジャバウォッキー」「雨天決行」。
  あまり気にいらなかったので「英国庭園の謎」「竜胆紅一の疑
  惑」といったところ。

  「完璧な遺書」はネタもいいけれど、その終わり方がいいです。
  それだけでは追い詰められないってことが認識されていながら、
  かつ意味深な終わり方で始末をつけてて、かなりお気に入り(笑)。
  「三つの日付」もその結末に満足できました。
  「ジャバウォッキー」はクィーンの趣味・余技に決然と立ち向
  かった作品だと思います。
  「雨天決行」はネタに普遍性が感じられなかったのがちょっと
  ネック(苦笑)。

  「英国庭園の謎」はネタは面白いけど犯人の特定に難があるよ
  うに感じるし、「竜胆紅一の疑惑」にいたっては火村は推理して
  ない(火村本人のセリフにもそれは表れていると思う)し、む
  しろこれは、ホラーだと認識すべき話じゃないかと思いました。
  いや、全作良質の本格短編なんてのが無茶な話だろうし、そも
  そも「本格」を期待しなきゃいいんですけどね。期待しなきゃ
  この作品は結構面白いと思いますし(苦笑)。

  結論としては、有栖川短編には「まだまだ期待をしていきます」
  ということでございました。満足満足〜(笑)。

 そいでは!!
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1030. 2002年02月21日 12時42分43秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『ピカデリーの殺人』 アントニイ・バークリー氏 読了

  今いち馴染みのない作家さんであります(汗)。
  『毒入りチョコレート事件』が一番有名なのかもしれませんが、こちらの
  ほうが私の好みでした。面白かったですー(笑)。

  今いちよくわからない箇所があり、また、真犯人がとってしまった突拍子も
  ない行動に少し疑問があるのですが、それ以外は本格ミステリとしても、ユ
  ーモアミステリとしても、楽しむことが出来ました。
  チタウィック一族、バンザイ(笑)。

  やっぱり他の作品も読んでみたくなりましたです。『試行錯誤』は積読です
  ので、作風は違うだろうけどアイルズ名義にも手をだしてみようかしら?

  解説はバークリー紹介としてとても親切な出来です。思わず創元推理文庫の
  「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」各巻に書かれた戸川さんの解
  説を思い出してしまいました(笑)。
  ここまでの掲載リストをのせたんだから、いっそのこと創元さんで全作翻訳
  刊行していただけないものかしら? ←無茶だって(汗)!!

 そいでは!!
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1029. 2002年02月19日 00時26分09秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『群衆の悪魔 デュパン第四の事件』 笠井潔氏 読了

  1800年代半ばのフランスを舞台として、近代探偵小説の祖と
  言われているポオが生みだした名探偵を登場させた笠井さん
  の力作。力作だけあって読むのも大変でした(汗)。
  いや〜、ホント疲れました(笑)。

  筒井康隆『虚構船団』第二章の要素と、関川夏央&谷口ジロー
  『坊ちゃんの時代』の要素と、デュパンによる笠井潔の思想の
  代弁がごちゃまぜとなってとても面白く読める作品です。ポオ
  の作品に詳しければ、オマージュ要素も面白く感じるんでしょ
  うけど、私はあいにくポオの作品をほとんど読んでいないので
  そのあたりの面白さはほとんど判りませんでした(汗)。

  また、ミステリの体裁をとっているのに、ミステリに関係しな
  いところのほうが断然面白い、困った作品でもあるように思え
  ます(苦笑)。ぶっちゃけていうと、ミステリ部分が一番面白
  く感じなかったかもしれません(爆)。

  1800年代半ばでの出来事なので、ミステリ部分を複雑に入りこ
  んだロジックものに「あえてしなかった(=そこまでミステリ
  として進化したスタイルをとることは出来なかった)」と考え
  るのは、ちょっとひいき目に見すぎてるんでしょうね(笑)?

 そいでは!!
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1028. 2002年02月12日 23時48分55秒  投稿:SAMANA 
6号室SAMANAです〜。

 『ディプロトドンティア・マクロプス』 我孫子武丸氏 読了

  久々に読む我孫子武丸作品。結構嬉しかったりします。
  我孫子さんの小説は、実は私はわりと好きなのであります(笑)。

  この作品について、ネット上で私はあまり話にきいたことが
  なくて、「いったいどんな作品なんだろう・・・」と思って
  いたんですが、読んでみて納得。確かにミステリとしては、
  あまり話にのぼることはないようなお話だと思います。んで
  も好きだなぁ、こういう作品。ミステリの枠にはまろうとし
  ない我孫子さんらしい、とってもいい小説だと思います。ま
  たこんな作品を書いてくれないかしら(笑)?

  「ユーモアSFハードボイル童話」という、ちょと駄洒落も
  含めてみたような名称で呼びたいこの作品。前半のハードボ
  イルドチックな展開も、後半からのSF&○○バトルシーン
  も、全編にしみ渡ってるほのぼの童話ペーソスも、これまた
  全編に渡ってことことしみこんでいるユーモアタッチも、と
  ってもいい感じ。

  特にユーモア感はジャストフィット。
  「うん。実はそうなんだ。すまない」
  「すまない。私が間違っていた、お前がチャンピオンだ―」
  こんな変哲もないただのセリフなのに、思わず吹き出さずに
  はいられないほどのシチュエーションをかもしだしているこ
  の作品に私は敬意を表したいと思います(笑)。

そいでは!!
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1027. 2002年02月10日 23時22分38秒  投稿:SAMANA 
6号室SAMANAです〜。

 『ゴサインタン』 篠田節子氏 読了

  物質文明の疑義というか、神に対する意識の再確認という
  か、日本の歴史とアジアの国の現状の再認識の必要性とい
  うか、そんなもろもろのテーマを一つの壮大なファンタジ
  ーにぶち込んだ物語とでもいったところ・・・かな(笑)?

  SFの要素に新興宗教問題をからめだしたあたりから、影
  響受けちゃいけない と自分に言い聞かせながら読んでま
  した。主体性がないから考え方にすぐ染まっちゃいそうで
  すごく恐かったのです(苦笑)。
  途中から違う展開になっていったので事なきをえました。

  全体の印象としては、重いテーマをファンタジー(SF?)
  にからめてしまってるので、ちょとその処理に無理が見え
  るように思えます。ファンタジーの部分が未消化・ほっぽ
  りっぱなしという感想が抜けず、その中途半端な状況が重
  いテーマ部分にも悪影響を及ぼして全体を不透明にしてる
  ような気がして仕方ありません。とは言っても読んでる間
  はグイグイ引きこまれていたんですけどね(苦笑)。

  なんだかとっても不思議な小説でありました、ハイ。

そいでは!!
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1026. 2002年02月07日 00時16分48秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『麦酒の家の冒険』 西澤保彦氏 読了

  私、この作品は東野さんの『名探偵の呪縛』のようにキャ
  ラ達がパラレルワールドに迷い込み、その世界の中で遭遇
  した不可解な事件について、麦酒を浴びるほど飲みながら
  ディスカッションして、論理的に解決してしまうと元の世
  界に戻ってしまったという話だと思い込んでいました。
  まったくの大ハズレ。これって現実世界での話だったんで
  すね(汗)。

  面白い。確かに面白いです。ものすっごく面白いし、「お
  おっ! この事象がこんなパズルの部分にピタッとはまる
  なんて!!」というようなカタルシスを味わう場面もあっ
  たけれど・・・、何かが心に引っかかってます(汗)。
  見せ方の問題だけなのかもしれませんが、どうしても「論
  理的推理」でなく「論理的想像」の味わいしか感じること
  が出来ませんでした(爆)。

  複数の物的証拠・現場動向から推理して構築した論理でも
  って「唯一無二の答」にたどりつくのではなく、同様の証
  拠等から想像して(中には秀逸な推理と言うべきものもあ
  ると思うけど)作り上げた「考えられる答のうちの一つ」
  が、たまたま正解であったという印象です。

  ううう。この2つの印象。言い回しを変えてるだけのような
  気がしてきました(泣)。
  やっぱり見せ方=作品構成に惑わされてるのかしら?
  んでも「九マイルは遠すぎる」を読んだときに感じた「こじ
  つけ」「そら無茶やで」という感覚は今のところぬぐえそう
  にありません・・・・(笑)。

そいでは!!
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1025. 2002年02月05日 12時28分08秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです。

 『赤い箱』 レックス・スタウト氏 読了

  ネロ・ウルフ&アーチー・グッドウィンの名コンビシリーズの
  4作目。絶対敵にしたくないコンビだと痛感いたしました(笑)。

  話そのものは、実はそんなに大したことないように思えて仕方
  がありません(爆)。これはやっぱりウルフが事件を解決する
  ための方策やウルフと依頼人・容疑者達・警察などとの丁々発
  止のやりとりを楽しむシリーズなんでしょうね。
  めったにキャラ萌えなどはしない私ですが、ウルフとその周辺
  キャラにはかなり愛着を覚えます。
  でも、もし私が犯人でウルフが事件の解決に乗り出したとした
  ら・・・、絶対外国に高飛びするだろうなぁ(笑)。

そいでは!!
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1024. 2002年02月02日 00時21分26秒  投稿:SAMANA 
16号室SAMANAです〜。

 『失踪当時の服装は』 ヒラリー・ウォー氏 読了

  前に読んだ『事件当夜は雨』とは異なるキャラが活躍する、警察小説
  です。個人的にはこちらのほうが好みでした。
  んでも、この本の主人公である署長さんのようなタイプがもし本当に現
  実の世界にいたとしたら、「冤罪」をいくつも作りそうでとっても恐い
  です(爆)。

  署長の捜査方針と警察の大規模組織捜査で犯人を追い詰めていく過程が
  たぶん一番の楽しみどころであろうこの作品。本格ミステリの展開を望
  んでる読者はちょっと失望するかもしれませんが、本格の展開さえ望ま
  なければ、一級の事件小説・警察小説(といってもやっぱりフィクショ
  ンの範囲でですけど)だと思いますー。

  マクベインの「87分署」シリーズよりは、シューバル&ヴァールーの
  「マルチンベック」シリーズの雰囲気により近いタイプだと思います。
  ただ、こちらの署長のほうが、より「執念」「猟犬」タイプなのは間
  違いありません(笑)。

そいでは!!
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