今日のテレビ(1999年11月26日)

一般的には、ディスプレーあるいはモニターなどと呼ばれ、また、中の主な部品の名前をとってCRTなどとも呼ばれたりもする。

つまり、デスクトップ型のパソコンなどで現在もっとも多く使われている、画面表示を行う装置の話である。

このほかに、我々は、それを単純に「テレビ」と呼んでしまったりすることもある。

しばらく前から、会社で仕事をしているときに、時々どこかから高周波の音が聞こえてくるようになった。
昔、超音波蚊取り器というのが売り出されていたことがあったが、その音よりも少し低いくらいの周波数の音である。
もちろん、ここで、その蚊取り機の出す音波が「超音波」であるにもかかわらず、なぜ耳に聞こえてしまったのかということについては、本来なら問題にしなければならないところではあるが、それは今回のテーマではないので、ここでは扱わない。
赤外線を使った「こたつ」の多くが赤く光らなければならないのと同様、そういった商品というのは、そういうものなのだ。

ところで、会社の高周波の原因が最近判明した。
私の席の右側には、ちょうど私に背を向ける形でデスクトップ型のパソコンが置かれていて、その上に、やはり向こうを向いたディスプレーが乗っているのであるが、そのディスプレーが音の発生源であることがわかったのである。
そのパソコンは、必要なとき以外電源を入れないので、日によっては全く電源を入れない日もあり、また電源を入れたからといって、常に音を発するわけではないらしく、「時々」音が聞こえてくるのは、そのためであったらしい。

数日前、私がそのパソコンを使うために電源を入れると、それと同時に例の高周波を発し始めたので発生源がわかったのであるが、耳を近づけて確認すると、それはパソコン本体からではなくディスプレーから聞こえてくるのだった。

私は、何とはなしに、ディスプレーをたたいてみた。
音が止まった。
静かになった。

かつて、電気製品というのは、ある程度のレベルの故障までは、たたくと直るようになっていた。
それが、いつの間にか、たたいても直らないものが増えてきて、パソコンに至っては、たたくこと自体が意味をなさなくなってしまった。
私は、パソコンというものがまだまだ使いにくいものであると考えていて、もっと使いやすいものにするためには、たとえば、パソコンがフリーズしてキーボードもマウス入力も全く受け付けなくなったときに、本体をたたくとか、揺するとかいう行為を行うと、たとえ直らないまでも、せめて何らかの反応を示すようになるというようなユーザーインターフェースが必要なのではないかと常々考えていて、そういった意味では、そのディスプレーの反応は、その考えに全く一致するものであった。
また、それと同時に、何というか、そのディスプレーの反応に、けっこう話の分かるやつだという印象を受けてしまい、親しみを覚えてしまったのであった。

もちろん、現実的に考えた場合、こういったことを技術的に実現するためには、ソフトウエアやハードウエアに、根本的な改良が必要で、また、もしかしたら、たとえば、動かなくなったときに、たたくことにより動くようにするための処理が動き出したとして、今度はその処理自体がふたたびうまく動かなくなった場合、それをたたいたら動くようになるのか、というような問題もあって、なかなか難しそうなのであるが、各電機メーカーは、それを何十年も前に一般の電気製品で簡単に実現していたのであるから、その実力は敬服に値するものなのかもしれない。


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