膠質反応 (TTT/ZTT) |
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TTT(チモール混濁試験)= 5.9 KU以下
ZTT(硫酸亜鉛混濁試験)=12.0 KU以下
肝機能に障害が起こると,血清タンパクの比率に変化があらわれます。すなわちアルブミンが減り,γ-グロブリンがふえてきます。そのようなときに,血清に試薬を加えてタンパク質を凝固させ,その混濁の程度から肝臓のダメージを判断するのが,膠質反応検査というものです。その一般的検査がチモール混濁試験(TTT)と硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)といわれるものです。肝臓の細胞がやられますと,生体は必死にこれを修復しようとします。これを肝臓の免疫反応(体液性)ともいいます。この検査は,集検でも可能なかぎりスクリーニングしますが,人間ドックでは,肝機能の病態を知るための必須検査項目となっています。肝臓本来の機能が免疫反応で修復されるが,死んだ肝細胞のすべてが正常な細胞とおきかわるわけではなく,その穴埋めのために繊維組織が次第にふえていきます。
このように繊維化の進んだ肝臓を肝硬変といいますが,当然のこと肝臓として重要な機能のひとつであるタンパク質の代謝が低下します。
血清タンパクの一種であるγ-グロブリンがふえたときは試薬による凝固が混濁や沈殿量を増加させますが,逆にアルブミンがふえますと,混濁や沈殿は抑制されます。
膠質反応は肝機能の重症度判定,経過観察,治癒判定のひとつとしてある検査です。膠質反応だけで診断は確定いたしません。他の検査結果と併考して確定します。肝疾患の病態別に特徴的な検査所見があるので,肝機能検査をうまく組み合わせると,病態を判断することが可能となります。また,検査値の異常の程度を調べることで病気の重症度も判断されます。さらに,経過を追いかけて検査しますと,病気の進行具合や治療効果もはっきりします。
下記の疾病についての正常値範囲は,TTT=0.3〜5.0単位,ZTT=2〜10単位としたときの考えられる疾病を列記したものです。
TTT高い場合=急性肝炎,慢性肝炎,高脂血症,膠原病,伝染性単核症,中毒性肝炎,胆汁鬱滞症,脂肪肝,肝硬変など
ZTT高い場合=肝硬変,慢性肝炎,肝ガン,急性肝炎,自己免疫性肝炎,慢性炎症,各種膠原病,結核,サルコイドーシス,骨髄腫,悪性腫瘍
ZTT低い場合=肝内・肝外胆汁鬱滞症,高タンパク尿疾患,骨髄腫,副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤,抗腫瘍剤の長期投与