血清タンパク分画 | |
アルブミン割合
59.5 〜 71.6 %グロブリン割合
α1 1.9〜 3.9 %
α2 6.1〜10.8 %
β 6.2〜10.3 %
γ 9.4〜17.8 %
採血を試験管に入れておくと,下部にゼラチン状の赤いかたまりと上部に黄色味を帯びた上澄み液に分離します。この透明の上澄み液が血清で,大部分は水ですが,何種類かのタンパク質の集合体をふくんでいます。血清総タンパクの正常値にあるものを電気泳動法により成分を測定すると,上記のような割合にあります。
血清タンパクを電気泳動法という自動測定しますと,アルブミンと4種類のグロブリンを分画できます。グラフの形で病気の像を具体的につかめます。人間ドックの検査結果は数値でフィードバックされますが,定期的に測定された数値(%)をプロットしてみると,タンパク質の種類ごとの増減が病気の有無を鑑別できるものになります。
正常な人のものと比較して,例えば,グロブリンα2とβが増加していれば
血清タンパク分画では,アルブミンとグロブリンの比率(A/G比)の計算により肝機能の程度をくわしく知ることができます。人間ドックの肝機能検査では,総タンパクのほかにアルブミン,A/G比,タンパク分画の4種類の%もフィードバックされますから肝機能を詳しく知ることができます。タンパク質の種類ごとの増減で肝硬変を鑑別する例としては,アルブミンが減少し,逆にグロブリンが増加します。ときには,α-グロブリンの山が幅広くかつ高くなつた結果,隣のβ-グロブリンとの間の谷が消えた形となります。ネフローゼ症候群では,アルブミン減少,α1とα2およびβ-グロブリンが増加して,γ-グロブリンが減少した形となります。
このように,血清総タンパク量や分画の測定は肝臓の働きを知るのに重要であるが,肝臓以外の病気でも異常値をとることがあるので,注意が必要です。
アルブミンが2.5gr/dl以下になると,血漿の膠質浸透圧が低下し,血管内の水分が血管外へしみ出して,組織間にたまってきます。この結果,浮腫(むくみ)や腹水が出現するようになります。多発性骨髄腫という病気は,免疫グロブリンを産生する形質細胞が悪性化したもので,異常な免疫グロブリンがいちじるしく増加します。
電気泳動法によってタンパク質に電気を通じますと,(+)か(−)に荷電子し同じ分子どうしが集まり種類分けができます。
ネフローゼ症候群 | DW | = | UP | UP | = |
肝硬変 | DW | = | = | UP | UP |
膠原病 | DW | = | = | UP | UP |
急性感染症 | DW | UP | UP | = | = |
心筋梗塞 | DW | UP | UP | = | = |
外傷 | DW | UP | UP | = | = |
慢性感染症 | DW | UP | UP | = | UP |
悪性腫瘍 | DW | UP | UP | = | UP |
劇症肝炎 | DW | = | DW | DW | UP |
慢性感染症 | DW | = | = | DW | UP |
慢性肝臓病 | DW | = | = | DW | UP |
自己免疫疾患 | DW | = | = | DW | UP |
多発性骨髄腫 | DW | = | = | DW | UP |
Mタンパク血症 | DW | = | = | DW | UP |
病名 | アルブミン | α1グロブリン | α2グロブリン | βグロブリン | γグロブリン |
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マクログロブリン血症 | DW | = | = | DW | UP |
総タンパク分画と考えられる病気のだいたいの傾向を表示したものです。これを見るに,アルブミン分画は減ることはあっても増えることはありません。しかし,各グロブリン分画は増加することが多く,それらの比率により病気のパターンが異なります。