血清総ビリルビン
(総ビリルビン・T-Bil)
  
   
 

正常値
総ビリルビン=0.2〜1.2mg/dl
直接型ビリルビン=0〜0.4mg/dl
間接型ビリルビン=0〜0.8mg/dl
検査目的
胆汁の黄色色素であるビリルビンが体内に異常にたまった状態は血液中にビリルビンが増加することから高ビリルビン血症とも呼ばれます。ビリルビンはその大部分が赤血球中に含まれる血色素ヘモグロビンに由来し,寿命のつきた赤血球が脾臓,肝臓などで処理される際に生じます。

正常時では,胆汁として胆嚢-胆管-十二指腸を経て最終的には糞便となって排便されます。黄疸は,このビリルビン代謝の過程になんらかの異常がおこった結果発生するものです。

血清総ビリルビンの濃度が1.5mg/dl以上が異常値で,2〜2.5mg/dlになると皮膚にはっきりと黄疸があらわれます。血清総ビリルビンは,間接型ビリルビンと直接型ビリルビンの2つが合計されたものです。

赤血球の寿命は約120日たちますと肝臓や脾臓で壊され,その状態のものを間接型ビリルビンといいます。次いで,その大部分が肝臓で加工され,胆汁中に排出されるものを直接型ビリルビンといっています。血清総ビリルビンを検査するのは,直接型か,間接型のいずれかをみることにより,黄疸が出る前に,肝炎や胆石を発見しようとするものです。

肝炎や肝ガン,または胆道のガンや胆石などによって肝臓や胆嚢から十二指腸への胆汁の流出が阻害されますと,直接型ビリルビンが血液に逆流するようになります。そのような状態になりますと,直接型の値は高くなります。これとは逆に,間接型ビリルビンだけが増えるのは,赤血球が壊れるのが原因ですから肝臓の病気には関係したものではありません。

ビリルビンの測定は,肝機能検査の指標となります。

解説
総ビリルビンの値が正常値をわずかに超えているが,黄疸は認められないといって安心してはいけません。GOT,GPT,γGTP,ALP,LDH,TTT,ZTTが高いようであれば慢性肝機能障害,白血球減少,脾臓肥大の確認が必要です。検診検査項目の値と病気の関連性はたった一つの検査項目で判断することはできません。また,黄疸を認められたから肝機能障害と知るだけでは不充分です。

黄疸は,このビリルビン代謝の過程になんらんの異常が起こった結果発生するもので,肝炎,肝硬変による肝細胞の壊死,胆石症などに起因する胆道閉塞による胆汁の停滞,ビリルビン過剰生産など,その原因はさまざま,比較的早期に全身の皮膚や粘膜が黄色を呈するほか,尿,乳汁中にも認められるものです。ご存知のように,肝臓は「沈黙の臓器」といわれ多少過酷な負荷をかけても黙々として働いてくれています。

自覚症状なしで致命的機能低下におちいる危険大な臓器です。肝臓機能の早期検診検査は重要です。

疾病
間接型ビリルビン高い場合=溶血性貧血,大量の内出血,体質性黄疸,肺梗塞,敗血症,甲状腺機能低下症,有効肝内血流量の減少。

直接型・中間型ビリルビン高い場合=体質性黄疸,急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,急性肝内胆汁鬱滞症,胆道通過障害(ガン,胆石,胆嚢炎),黄疸があるとき,それらが閉塞性か溶血性かを知るための重要な手がかりとなります。