尿ビリルビン | |
尿ビリルビン=陰性(−)
総ビリルビン=0.3〜1.2 mg/dl
直接ビリルビン=0.6 mg/dl以下
間接ビリルビン=0.6 mg/dl以下
体内の組織および血液中にビリルビンが増加し,皮膚や粘膜が黄色く染まった状態を黄疸といいます。この黄疸の有無を調べる指標がビリルビン値です。肉眼的には黄疸と認められるような状態になるには,少なくとも,ビリルビン値が3mg/dl以上の場合です。黄疸と間違いやすい病気に柑皮症があります。これは,蜜柑類,にんじん,トマトなど,黄色色素であるカロチンの大量摂取により手のひらや足の裏の皮膚のみの黄染となるものです。眼球結膜(白眼)には黄染はみられません。ビリルビンの大部分は赤血球の破壊によるヘモグロビンから生成されます。生成されたヘモグロビンは,水に不溶性で間接型ビリルビンと呼ばれます。
間接型ビリルビンは,血中のアルブミンと結合して肝臓に運ばれと,そのビリルビンは,酵素の働きでグルクロン酸と結合(抱合)して,直接型ビリルビンとなります。そして,肝内胆管と肝外胆管を経て,十二指腸の胆汁中に排出されます。さらに,腸内に排泄され,その一部は,腸より再吸収されて再び肝臓に戻ります。この腸肝循環をしない少量のビリルビンは,腎臓を経て尿中に排泄されます。
肝臓機能検査に異常のないのにビリルビン値に異常がみられる場合は,細い静脈からの採血の困難や採血後の検査までに時間がかかると,赤血球が壊れてビリルビン値が上昇してしまうことがあります。このような場合は再検査が必要です。
正しい検査でビリルビン値の増加がみられる疾患には,肝臓に病気がありますと,肝細胞性の疾患として,急性肝炎,肝硬変などによる肝細胞の機能低下があります。肝内胆汁鬱滞性の場合は薬剤性肝炎など,アレルギー反応で肝内の胆管障害のため胆汁が排泄されない疾患,胆道に胆汁の流出障害がある場合は,胆道に,総胆管結石や膵臓ガンがあり,狭窄や閉塞のため胆汁が流れないものがあります。胆汁の流出障害の場合は外科的手術の適応となります。黄疸の場合は閉塞性黄疸と呼ばれます。溶血性黄疸は赤血球の破壊が亢進し,間接型ビリルビンが過剰に産生されたものです。これには,先天的と後天的(薬剤など)なものがあります。先天的な要因によるものは,肝臓に障害があるが,特に心配のいらない黄疸です。
間接型高ビリルビン血症溶血性貧血,大量内出血,体質性黄疸,肺梗塞,敗血症,甲状腺機能低下症,有効肝内血流量減少
直接型,中間型高ビリルビン血症
体質性黄疸,急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,急性肝内胆汁鬱滞症,妊娠性胆汁鬱滞症,胆道通過障害(ガン,胆石,胆嚢炎),黄疸があるとき,それらが閉塞性か溶血性かを知るための重要な手がかりとなります。