ロイシン・アミノ・ペプチダーゼ
(LAP)
  
  

正常値
60〜230 IU/L
検査目的
ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)は,タンパク質分解酵素の一種です。LAPは,ペプチドからロイシンというアミノ酸を切断する酵素で,肝臓のほか,脳,腎臓,膵臓,小腸,子宮,睾丸など数多くの組織に存在します。しかし,血液中に増えるのは,ほとんどが肝臓か胆道に障害がある場合で,ほかの病気で増えるのは稀です。LAPは胆汁に多く含まれていますので,胆汁が鬱滞する肝・胆道系疾患で上昇します。急性肝炎など,肝細胞が障害される場合にも,細胞内の酵素が血中に流出し,高値になります。

このほか,悪性リンパ腫などのリンパ球系の疾患でも上昇します。LAPには胎盤に多く存在するものもあり,ことに妊娠の末期には胎盤に由来するLAPの増加があります。

胆汁中に多く含まれるLAPは肝臓からの胆汁となって胆嚢に送られて濃縮され,総胆管を経て十二指腸に分泌されます。このとき,胆石や膵臓頭部ガン,胆道系の悪性腫瘍などで胆道が閉塞され,胆汁の流れが鬱滞しますと,LAPは胆汁から血液中にオーバフローするため,高度の上昇がみられます。

LAPの値単独では,診断は確定できません。他の肝機能検査のGPT,A/G,GOT,γ-GTPの検査結果と組み合わせて総合的に判断します。

解説
アルカリホスファターゼ(ALP)も同じ胆道の閉塞で高値になりますが,ALPの場合は骨の病気を併考します。LAPは骨の病気では変化しないので,LAPとALPが同時に高値である場合は,これらの検査値の高値は,胆道系の障害の疑いが濃くなるわけです。LAPはまた,肝ガンのときも高度に上昇します。脂肪肝,慢性肝炎,肝硬変などでは,軽度から中等度の上昇にとどまります。LAPが境界域で,GOT,GPTがやや上昇程度であれば,他の肝機能検査で異常がなければ治療なしの経過観察となります。

LAP以外にALP,γ-GTPなどの胆道系酵素が増加している場合は,超音波検査やCT検査などで肝内,胆管の拡張,肝膿瘍性病変の有無を調べます。さらに,胆道造影検査も必要となります。

疾病
数値が高い場合=ガン(肝臓ガン,胆道ガン,膵頭ガン,子宮ガン,卵巣ガン),薬剤性肝障害,肝炎,慢性肝炎および肝硬変症の急性悪化,飲酒,妊娠末期