GOT/GPT
(トランスアミナーゼ)
  
   
 

正常値
GOT 8〜40 IU/L
GPT 5〜35 IU/L
備考:医療機関の正常値範囲にはGOT,GPTともに31以下 U/Lとしているものや,ある人間ドック関係機関では,その範囲をわずかに相違したもの,あるいは,医学図書においてもその値に差異のある値を示すものがあります。日本消化器病学会肝機能研究班では,ほぼ5年ごとに肝機能検査の選択基準を改訂しています。最新の数値については該研究班の改訂を参照してください。
検査目的
肝臓は右上腹部からみぞおち,右の肋骨の内側に位置しており,成人では1200〜1500gと脳に次いで大きな臓器です。胃腸から吸収した栄養分を体に必要な成分につくりかえる「体の化学工場」です。機能はきわめて多く,重要な働きは
1.体を構成するタンパク質をアミノ酸から合成
2.グリコーゲン(ブドウ糖の貯蓄形)やビタミンなどを蓄え,必要に応じて血中に放出
3.アンモニアやアルコールなど体にとって有害な物質を分解,解毒する
4.脂肪の吸収を助ける胆汁をつくる
などです。

GOTの著しい上昇のみられるのは急性肝炎です。そのときの値は,500ときには数千カルメン単位にまではねあがる,GPTとの比は1を大きく上回るようです。脂肪肝や慢性肝炎では,それとは逆に,GPTがGOTを上回ります。症状が進行して肝硬変になると,再びGOTが上昇してGPTとの比が1を上回ります。肝ガンに発展すると,GOTはさらに上昇します。

また,GPTは肝臓の細胞に多くあるのですが,GOTは心筋,骨格筋,赤血球などにもかなりの量が存在します。よって,GPTの変化がすくないのにGOTが高値を示すときは,心筋梗塞,筋ジストロフィー,筋炎,溶血性疾患なども疑われます。GOTは心筋梗塞で上昇しますが,狭心症ではほとんど変化しないので,両者の鑑別にも有効な検査項目となっています。

解説
GOTは,肝,心筋,骨格筋,腎に高い活性のみられるアミノ酸をつくる酵素です。この酵素は,アスパラギン酸・αケトグルタール酸−グルタミン酸・オキザロ酢酸との間にアミノ基転移を行うものです。これらは臓器組織の損壊によって循環血液中に出てきます。

GPTもアミノ酸をつくる酵素です。これはアラニン・αケトグルタール酸−グルタミン・焦性ブドウ糖との間にアミノ酸転移を行うものです。大部分は肝臓に存在し,腎は肝臓の約3分の1,その他の臓器にはほとんど含まれていません。

いずれにしても肝機能の鑑別に有効な検査ですから健康診査には必ずその値がフィードバックされるものです。

疾病
肝疾患関係=急性肝炎,劇症肝炎(1000単位以上),慢性肝炎,肝硬変症,肝ガン,肝膿瘍,薬剤性肝炎

肝臓以外の疾患=閉塞性黄疸,急性心筋梗塞(GOT高値),甲状腺機能亢進,貧血

その他=飲酒,はげしい運動,肥満,ステロイド剤の服用で軽度上昇