中国の古典医学書の「千金方」中に、「甘藍を長期的に食べると腎の機能が高まり、脳や随を養う」とある。中国医学では、病気を五臓六腑の働きが関係して営まれている生理機能の低下と考えている。腎といっても、腎臓そのものを指すのではなく、生命エネルギーをいい、ストレスは、肝胆の気(一種のエネルギー)を失わせると考え、脳の働きを良くすれば治るとされている。
甘藍は、「関節の働きを活発にし、経路中の結滞を通す」とされていて、動物実験でもキャベツを与えると成長が早まることが確認されている。また、男性が年を重ねると必ずといっていいくらいなるなる「腎虚」にエネルギーを補い、前立腺の病(頻尿)等の予防・改善もでき、女性の骨粗鬆症の予防・改善にも効果があるとされる。


 
 




キャベツの働き


有害な農薬に汚染されていないという前提において、キャベツには、胃や十二指腸を修復する。そして農薬によって破壊されていなければ、ビタミンCを供給する。原産地は地中海沿岸で、古代エジプト人は、この野菜の薬用効果を知っていた。日本で本格的に食料(新薬としても然り)として用いられはじめたのは最近の話で、言うまでもなくキャベツは英語で、それ以前はオランダ語で呼ばれていた。自体には強い味や香りがないため、いろいろな調理方法によって姿見を変えて各国の料理に利用されている。
種々の含有ビタミン中、ビタミンCが多く、特殊なビタミンたるビタミンUやKなども含まれている。ビタミンUは、抗潰瘍性ビタミンとも呼ばれるアミノ酸で、体の中の組織を回復させ,他の物質と結合してタンパク質を再合成しする。これが胃や十二指腸壁の潰瘍を修復するメカニズムである。
またビタミンKは止血作用があり、潰瘍の治療を助ける。こうしてストレスの激しい現代人には欠かせず、しかも多彩な調理が可能。農薬汚染,寄生虫汚染の危険がないという前提のもとではジュースを飲んでも大きなこーかがある。

キャベツ・ジュースの作り方

キャベツ250グラムをそのままジュースにする。味については個人の判断次第。還元力のある塩を使うとさらに良い。キャベツジュースは、胃や腸のみならず各種のストレス症状にも有効。しかし現代生活の状態を無視して十年一日のごとく漢方、あるいは玄米食一点張りに説かれる健康法の功罪についてはここでは詳細に述べないが、例えば、古代人は現代人を悩ます金属汚染、ダイオキシン汚染などの環境汚染、化学汚染に対処する必要性はなかったはず。例えば、心臓に金属汚染などが発生した場合、肩の痛みとして症状が発生する場合がある。ところが、この方の痛みをあくまでも肩の痛みとして鍼などで消してしまった場合、問題は消滅したと考えるべきか。もし問題が消滅したと考えた場合、これは後々に大きな問題に発展し得る。もし、胃癌になりかけていたものを諸々の飲み薬で症状を揉み消しても、何ら問題解決には至らず、逆に生命に非常に危険な状況となり得る。
メニエール症候群については未解明の点が多いが、吐き気とともに耳鳴りなどが起きる。ストレスやカンジダなどの真菌による日和見感染が症状を悪化させるが、耳鳴りは亜鉛不足からも発生する。キャベツには吸収の良いカルシウムが含まれ、骨格には良いので成長期の子供が必要な栄養を供給する。モルモットを使った動物実験では、キャベツを与えると成長が早まる。
老化現象によって新陳代謝が衰えると、下半身が冷えやすくなり、頻尿、尿失禁などの症状が多くなる。しかしキャベツジュースは、新陳代謝を活発にする。新陳代謝が良くなると、体内の余分な水分の排泄が効率良くなり、水太りや睡眠不足の原因となる夜間の頻尿も改善される。

キャベツ・スープの作り方

キャベツスープは、記憶力など脳の機能を亢進する。適度な繊維と水分、豊富なビタミンCを含んだ生キャベツと温かい料理の場合とは異なった味と健康効果が得られる。薬草、ハーブの多くも同様である。火を通すとビタミンCやUは壊れるが、その代わり,アリルサルファイド、システインなどの遊離アミノ酸が甘味を与える。アリルサルファイドは、滋養強壮作用もあり、火を通しても壊れないアミノ酸やフラボン系統の成分は、血管の強化、血行改善につながる。
大きめのキャベツの葉2〜4枚をザク切りにして、水の中に入れ、ダシ(鰹節)を入れて、柔らかくなるまで煮込む。煮込みすぎると硫黄成分、臭みがでるため注意。
 
 
 社団法人日本健康倶楽部    http://www.health-net.or.jp
農林漁業現地情報ホームページ   http://www.toukei.maff.go.jp/genti/



タマネギ


疲労回復、」強壮など、ニンニクに次ぐ健康野菜とされるタマネギは、中国料理に大量に使われていることから一見中国起源かとも思われるが、予想を反して中国で栽培されだしたのは新しく、中国原産ではない。原産地は、中近東、西アジアで、歴史上、最古の野菜の一つとされる。日本に入ってきたのは、明治初期であるが、今やタマネギは洋風料理にも中国料理にも欠かせない重要な素材となっている。日本のタマネギ生産量は、世界2位になっているが、タマネギ生産にどれだけの農薬が使用されているか正確なデータはないが、最近は消費者の健康を考えて栽培しているヒトもいることも事実である。
古代エジプトでは、ピラミッドの建設に際し、奴隷にタマネギとニンニクを食べさせたとあり、古代人はやはり薬草に目敏いと言わざるを得ない。それともピラミッドをデザインしたのもタマネギをメニューに入れたのも宇宙人であったのか。10〜13世紀の十字軍がタマネギを食べたとも言われる。これほど元気の素とされるタマネギには硫化アリルという成分があり、他の食品に含まれているビタミンの吸収を助け、新陳代謝を活発にする。この働きによってタマネギは疲労回復、食欲不振、精力減退、精神不安などに効果がある。ヨーロッパでは、かなり古くから、タマネギは風邪薬としてさらに、下痢止め、利尿剤、去痰剤、血流改善剤、強心剤、鎮静剤としてなど、多くの薬効が知られていた。さらにタマネギは抗菌作用があり、この抗菌物質は原生虫と呼ばれる寄生虫の駆虫に使用されている。血小板の凝集を抑えて、脳血栓や心筋梗塞の予防にも効果があるが、近年、タマネギからアリルプロフィルジサルサイドという成分が発見された。この成分は、血糖値を下げ、正常な値に保つ作用があるとされ、今後、糖尿病治療に使用できそうである。

高血圧、動脈硬化症に対するタマネギの利用法

食用にするときには捨ててしまうタマネギの赤茶色の薄皮にも、クエルセチンという成分が含まれ、血管の柔軟性を高め、常用によって高血圧、動脈硬化の予防に効果的。用い方は、赤茶色の薄皮5〜10gを煎じ、1日数回飲む。効果はしばらく続けないと出ない。
寝付きが悪い、安眠できない、あるいは不眠症、カンジダ症感染などの場合は、枕元にタマネギをおいて寝る。枕元にスライスしたタマネギををおいても良いが、これタマネギ独特の香りに含まれている揮発成分に安眠効果があるからで、寝付きが良くなり、熟睡が可能になる。
皮の部分に血圧を下げる働きがあることは先にもふれたが、その物質は、フィブリンとプロスタグランディンという。何れも降圧物質として知られる物質に似た成分もタマネギから発見された。フィビリンは血液凝固を防ぎ、動脈硬化の治療に用いられている。プロスタグランディンは、体内のいろいろな器官で作られ、血圧の上昇を抑える物質であるが、この両者に似た物質がタマネギに含まれていて、著しい降圧作用が判明した。さらに微量含まれている成分中、血液中のコレステロールを減らす作用や血液凝固を防ぐ作用が確認されている。
どんなに強力な降圧剤でも、効果が出るまでには日数がかかる上、効きすぎる薬には強い副作用が伴うことを思えば、食べ物であるタマネギには、副作用はない。1日の摂取量として約60g(中玉3分の1くらい)、これを1〜2回食べれば十分。糖尿病などの成人病の特効成分も多い。

北海道JA訓子府のタマネギ「蘭太郎」は格別だ。



インドネシアで無農薬栽培の野菜を生産
  http://www.hiroirh.co.id/right.htm



サツマイモ


ビタミンC、Eやカロチンが多く、強壮効果、整腸作用がある。サツマイモは、中米の熱帯地域で、紀元前から主食として栽培されていた。ヨーロッパを経由して世界各地に伝わり、16世紀に中国の福建省にもたらされた。日本には16世紀に宮古島に伝わったとされ、17世紀には長崎、薩摩などに広まった。
栄養的には、サツマイモはミカンに匹敵するくらいビタミンCが多い。ビタミンEは、玄米の2倍もある。成人病予防に欠かせないカリウムも多く、黄色い品種にはβカロチンが豊富に含まれる。セルロースなどの繊維質も多く、便秘を解消し、コレステロールを低下させる作用がある。
ふかしたサツマイモは、胃腸を丈夫にして気力の低下やストレスによる食欲不振も好転させる。各種の便秘に効果的。
魚の骨が引っかかったとき、ふかしたサツマイモをかまずに飲み込むと取れるという利点もある。
サツマイモに含まれるβカロチン、プロテアーゼ阻害物質が病原ウイルスを除去するとされ、非常に強力な抗酸化作用を持ち、老化の原因たるフリーラジカルに対抗する。食物繊維が多く、食物繊維には、セルロースやヘミセルロースなど水に溶けないものと、アルギン酸やペクチンなど水溶性のものの2種類がある。サツマイモの繊維は水に溶けない。どちらも食物繊維としての効力に大きな違いはないが、便秘の解消には水に溶けない繊維の方が効果は大きい。水に溶けない繊維セルロースやヘミセルロースは水分をたっぷり吸収し、腸壁を刺激して腸の働きが活発になる。食物繊維は、便秘を予防、解消するだけでなく便秘から発生する大腸癌を予防する。
サツマイモには糖質、ビタミンも豊富であるが、これらは腸の中でビフィズス菌などの善玉細菌の繁殖につながる。体中に善玉菌が増えるとその分、悪玉菌が抑えられ、善玉菌は乳酸や酢酸をつくって、腸の運動を活発化させる。ビタミンB群やビタミンKの合成を促進し、免疫力をつける働きもある。ガスはビフィズス菌が食物繊維を食べてだす炭酸ガスであって、蛋白質やアミノ酸が腐敗してできる有毒ガスとは違う。
サツマイモ100g中には、30mgものビタミンCが含まれる。これは、芋類の中で一番多く、ビタミンCの補給源として利用価値が大きい。ビタミンCには細胞と細胞を結びつけるコラーゲンを作ったり、発癌物質の発生を抑えたり、風邪やインフルエンザを予防するなど、様々な働きをする。また、サツマイモのビタミンCはデンプンに含まれているため、壊れにくいという長所がある。ホウレンソウを3分間ゆでると、約50%のビタミンCが壊れるのに対し、サツマイモの場合、40分間ゆでても、約40%以上残る。ビタミンKも同様で、蒸したサツマイモで87.6%残存している。調理による損失が少なく、無駄が無く摂取できる利点は注目に値する。サツマイモの皮の部分には、体内でビタミンAに変化するβカロチンが多く含まれている。サツマイモに含まれているビタミンをすべて利用するには、カロチンを多く含んでいる皮を捨てない方が効果的で、ふかし芋にしろ煮物にしろ、皮ごと食べた方が良い。

サツマイモ粥の作り方

米100gに対し、サツマイモ200gの割合で1〜1.5センチ角に切り、水300〜400ミリリットルで煮る。



日本生活組合連合会  http://www.co-op.or.jp/jccu

University of Californiaの農業のデータベース  http://infomine.ucr.edu/



カボチャ

カボチャは、インシュリンの生成を促進して膵臓の機能を強化して、糖尿病に効果があると言われる。また、食物繊維も非常に豊富で、便秘を防ぎ、ビタミンEは血行を良くする。
ビタミンB群は代謝を促進する。カボチャの種を煎じたり、お粥は体のむくみを取る。
カボチャを料理するときは、種を捨ててしまうが、カボチャの薬用部は実ではなくて種にある。産後の手のむくみ、百日咳、痔疾、糖尿病などを改善する作用がある。他にも利尿、血圧降下、前立腺肥大などに効果がある。
朝起きたときや夕方近くになると手足がむくむ人がいる。体中の水分は、寝ている間に腎臓で濾過されて膀胱に溜まり、朝には尿として排出されるが、朝、むくみがでるのは、腎臓の働きが悪く水分の代謝作用が低下して、排出すべき余分な水分が体内に溜まるため。逆に夕方にむくむのは、体力の不足に疲労が加わって、水分の代謝が順調でないため。これらのむくみは、カボチャスープが効果的。

腎臓の働きと体力不足によるむくみに効くカボチャの種のスープの作り方

種を良く洗って、天日に干す。十分に乾燥後、砕く。殻が砕け仁がでてきたら、殻と仁を一緒に煎じる。種30gに対して水600mlで半量になるまで煎じ、1日3回に分けて飲む。アルミ鍋は不可。

胃の衰えによるむくみに効くカボチャの種のお粥

胃腸の衰えが原因によるむくみもある。カボチャの仁15〜30gを取り出し、お粥にふりかける。これを、夕食に摂ると、次の朝、むくみがかなり軽くなっているはず。また、種をフライパンで炒ってから、中の仁を取り出して食べると、体力増強効果がある。血圧降下、前立腺肥大防止、健胃整腸の効果がある。痔疾によく効くカボチャの種の煎じ汁を腰湯として用いる方法もある。



生姜

辛み成分は殺菌力があり、食欲増進や消化吸収を助け、胃腸など内臓の働きを活性化させ、風邪にも効く。原産地は、インドとされる。生姜湯は、伝統的な風邪薬。生姜にはほとんど栄養がないが、吐き気を抑え、食欲を増進させ、胃液の分泌を促して消化吸収を助けるなど、多くの薬効がある。刺激作用によって血流の循環、内臓機能を活発にする。同時に、発汗作用を高め、新陳代謝を促進する。買う際には、皮に傷やしわがなくて張りがあり、色が均一で太いものが良品。

生姜・アロマテラピー

衣類にも香りをつけることができる。生の生姜には、0.25〜3%の精油(植物から穫れる香りの良い揮発油)が含まれ、成分には、食欲不振、嘔吐、胸やけ、胃のむかつきなどの症状を解消させる作用、解毒作用がある。この作用は、生姜を食べるだけでなく、生姜特有の香りをかぐだけでも効果が得られる。

胸やけ、胃もたれに効く生姜の香り袋の作り方

生の生姜50〜100グラムおろし、にじみ出た生姜汁の汁を別の器に取る。次に、汁がでた残りをフライパンに入れ、少し焦げ目がつくくらいに、軽く炒める。それに、先の生姜汁をたらし、通気性の良い木綿かガーゼの小さな袋に入れる。胸焼けや胃のもたれがあるときは、この袋を皮膚の上から直接みぞおちに3〜5分くらい当てる。炒った生姜の温度が下がり、冷たくなってきたら、袋から生姜を出してまた軽く炒って袋に入れる。これを胃の症状が取れるまで繰り返す。通常は2回目ぐらいから効果が現れる。胃炎や胃潰瘍などだけでなく、精神的ストレスが原因で起こる場合も効果的。ただし、二日酔いによる胸やけの場合は、消化器が熱を持っているので、おろし生姜をそのまま袋に入れて、みぞおちに当てるだけで十分です。この方法は病気そのものを治すわけではないが、症状を取るための応急処置としては便利。

肝臓を元気にする生姜湿布


生の生姜150グラムをすりおろし、すりおろした生姜を布袋に入れます。80℃くらいのお湯の中に生姜袋を入れ、中のエキスが染み出すようにします。生姜のエキスがよくでたらタオルをつけます。−このとき、生姜袋は取り出さない−あまり強く絞らないで肝臓のあたりにあてその上にバスタオルなどをかけて保温します。これを何回も繰り返します。血行が良くなり炎症などがある場合鎮静してくれます。深酒をしたときには効果覿面です。


 
                

 

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