コリンエステラーゼ(ChE)   
  

正常値
0.6〜1.2凾垂g
検査目的
ChEは,肝臓でつくられる酵素です。なんらかの障害で肝臓の製造能力が低下しますと,その低下の割合に応じてChEの血清中に含まれる量が低下します。これにより,肝炎,肝硬変などの重症度が判定され,治癒経過を知るのに有効です。

凾垂g(デルタ・ペーハー)法が一般的に用いられています。コリンエステラーゼは,アセチルコリンという物質をコリンと酢酸に分解する働きをしています。この酢酸によってpHがどのくらい低下するか?,その低下の度合い(凵jを求める方法です。

肝炎や肝硬変などの肝臓病に罹ると,血清中のコリンエステラーゼが減少しますので,コリンエステラーゼの働きで得られる酢酸も低下します。つまり,凾ヘ低値になります。

この検査は,血清タンパク分画の検査と比較しますと,糸球体腎炎や糖尿病・慢性関節リウマチなどの糸球体がおかされるネフローゼ症候群と肝臓病を鑑別するのにも役立つ検査です。アルブミンは肝臓だけでつくられるタンパク質ですから,一般に肝臓病ではアルブミンとコリンエステラーゼが同時に下がってきます。

解説
肝臓病とネフローゼ症候群を見分けるのに,例えば,肝硬変の場合はアルブミンもChEも減少しますが,ネフローゼ症候群では,アルブミンは減少してもChEは変化しません。肝臓への栄養分の供給が不足すると,ChEの合成が低下,全身性消耗性疾患となります。悪性腫瘍をはじめとした低栄養をもたらすあらゆる疾患がこれに当てはまります。農薬の有機リン中毒の場合でも急激な低下を見ることがあります。

ChEの上昇はネフローゼ症候群のほかに脂肪肝に罹っていますと,ChEは肝細胞障害を反映して低下しますが,脂肪肝の場合はときに例外的に上昇します。その他の疾病は下記の通りです。

疾病
数値が低い場合
肝硬変,悪性腫瘍,膠原病,悪性貧血,農薬中毒(有機リン酸系)など
数値が高い場合
脂肪肝,ネフローゼ症候群,甲状腺機能亢進症など