アルカリホスファターゼ
(ALP)
  
   
 

正常値
成人3.0〜10KA単位(キンド・キング法)
成人0.8〜2.9KA単位(ベッシー・ローリー法)
成人90〜280IU
検査目的
アルカリフォスターゼ(ALP)は,体内のあらゆる臓器や組織に存在するリン酸酵素です。これはリン酸化合物を分解する酵素で,最も作用しやすいpHが10前後のアルカリ側にあります。

人体では,肝臓や総胆管,腎尿細管などの細胞膜に多く存在しています。したがって,これらの臓器に障害があると,細胞膜のALPが血液中に流出し,高い値を示します。また,ALPは肝臓から胆汁中に排出されますので,胆石や胆ガンなどにより胆汁の流れが鬱滞した場合にも,胆汁中のALPが血液中にあふれ出ます。そのような状態になると,肝細胞でのALPの生成が亢進されるため,ALPはますます高値になります。

ALPは肝疾患以外に骨生成疾患,悪性リンパ腫や妊娠末期,高脂肪の食事をとったあとなどにも上昇します。

酵素には同じ役割を果たしながらタンパク質としては異なる分子の存在しているものがあります。このように性質の異なる酵素をアイソザイム(同位酵素)とよんでいます。これは病気によってどの種類のものがふえるかの特徴をもっています。ALPには幾つかの同位酵素があり,肝ガンのときは,ALP I が上昇し,肝炎のときはALP II がグンと上昇,骨の病気のときは,ALP III が上昇します。ALP IIIは正常でも成長期の子供では高くなります。

解説
この検査項目の値も他の関連検査項目の値との比較をして,疑いの度合いの確信度が高められます。急性肝炎では,GOTの値はグンとはねあがりますが,ALPはあまり上昇しません。このようにGOT,GPTの検査値と併考しますと,肝障害の鑑別に役立つものになります。GOT,GPTに変化がまったくないときにALPがふえるようでしたら,骨の病気をうたがいます。ある種の骨の腫瘍やくる病,骨軟化症などは,その障害の程度に比例して数値が上昇します。
疾病
高値の場合
肝臓疾患関係=急性肝炎,慢性肝炎,肝鬱血,肝膿瘍,閉塞性黄疸
骨の疾患関係=ページェット病,骨軟化症,くる病など
薬剤によるもの=サリチル酸,サイアザイド系利尿剤,バルビタールなど
その他の疾病=悪性腫瘍,カルチノイド症候群,甲状腺機能亢進症,尿毒症,妊娠,食事

低値の場合
前立腺肥大,甲状腺機能低下症,家族性低フォスファターゼ血症