ガンマー・グルタミール・トランスペプチターゼ
(γ-GTP)
  
   
 

正常値
成人男子=3〜60 IU/L以下
成人女子=3〜40 IU/L以下
検査目的
γ-GTPは,γ-グルタミール基をほかのペプタイドやアミノ酸などに変える酵素の一つです。これは,肝臓,膵臓,脾臓,小腸,腎臓,前立腺などに含まれています。特に,アルコールには敏感に反応します。肝臓や胆道の病気がありますと,他の酵素より早く異常値を示します。この酵素がアルコールとの相関関係が認められるのは,検診の前日にアルコールを飲むと,それだけでγ-GTPは簡単に上昇します。

したがって,アルコール性肝障害があると,ほぼ100%,γ-GTPが上昇した結果になります。現在,γ-GTPが正常値にあっても,アルコール摂取でその値のあがりやすい人は,近き将来,肝障害の起こりやすい人といわれますので,アルコール性肝障害の予防と早期発見のためにこの検査値を注意する必要があります。

アルコール性肝障害だけでなく,γ-GTPは,肝臓と総胆管の連結部分の肝細胞に多く存在しているために,胆汁の流れが悪くなる閉塞性黄疸などに罹ると,ALPやLAPにくらべ,早く異常値を示す特徴があります。

γ-GTPの正常値をやや寛大にしている医学図書によると,その正常値を4〜60 IU/Lとしたものがあり,そして80 IU/L以上になるとアルコール性肝障害や閉塞性黄疸の疑いが濃い診断をするとあります。ただし,飲酒習慣のある人とそうでない人の差は,平均10 IU/L前後あるということです。肝機能が正常なのにγ-GTPだけが異常の場合は,過剰飲酒の疑いがあるので,このような人は必ず「休肝日」を設ける健康管理が必要です。

解説
γ-GTPは,ALPなどと同様に,重要な胆管酵素です。アルコール性肝障害はもちろんのこと,肝ガンでも増加します。γ-GTPの異常値の症例を調べますと,アルコール性肝障害と診断された男の人で,212 IU/L(正常値の約5倍)という記録がありました。こんな人は,直ちに断酒決行すべきでしょう。正常値の約2倍の人には,糖尿病,脂肪肝の疑いのある人,あるいは,他の疾病や薬害からの影響を受けて異常値となっているものもありました。抗てんかん剤や鎮静剤使用でγ-GTPが高値になります。高い値でなく,低い値を示すものは,妊娠後期,乳幼児期,学童期とあります。
疾病
他の肝機能検査が正常な場合=アルコール性肝臓障害
他の肝機能検査が異常な場合=急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,胆管閉塞による胆汁鬱滞,肝ガン