■ シカ ■
ここはGH通称 ”さとう山” 。 そして、シカを求めて山頂まで たどり着いてしまったGH偵察隊。 ワタシが初めてさとうさんに案内された時、足元からイノシシが 飛び出した山だ。 シカやイノシシを求めて山に入るには、まず地形を覚えるのが 第一歩となる。 我々GH常時メンバーだけでも10人以上は集まる事が出来る ので、我々だけでも大物の巻き猟は可能なんだけど、メンバー の誰かしらが参加しているグループにGHの中から数人が加わる 事が多い。 やはり、ベテランの経験者にはかなわないのだ! しかし、ワタシらは時間がある時は、我々だけで出来る山を探し たりする事もあるし、高齢化が進んだグループに誘われて、 お手伝いを兼ねて修行をさせてもらったりもする。 ところで巻き猟(巻き狩り)とは、獲物を追い出す役とアンブッシュ に分かれて大物を獲る方法で、大物の銃猟では一般的なのだ。 |
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そして、さとうさんが助っ人をするグループへもワタシは 何度かお邪魔させていただいた事がある。 そんな時は、ワタシも若手って事でセコ(追う役)になって、 ツラ〜イ山の斜面を歩く事が多々あった。 勢子3名は横に広がって山の斜面を巻くように攻める。 ワタシも転がるように這いつくばりながら歩く。 「もうここはシカはいないね。」と言う事になって、ワタシは 斜面の下のさとうさん側に下りる事になったが、なんたって ソコは急斜面。 アタシゃ20mほど滑落する事に・・。 そしたら、下まで一瞬で滑り下りたワタシの先で銃声が! ワタシとさとうさんの間の藪からシカが飛び出て、それを さとちゃんが撃ったワケ。 勿論、射撃OK中だからね。 ワタシがズッコケなきゃ、シカは出なかった・・・。 さとちゃんがソコにいなきゃ、シカは獲れなかった・・。 大物猟って、そんな協力関係なんですねぇ〜。 |
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一方、GHコードネーム "たむさん山"。 たむさんの親方とたむさんに、ワタシといださんは特別に修行を させてもらう事が何度かあった。 単独・犬無しでバンバン大物を獲っちゃう、たむさんと親方だ。 ここでは、我々はタツ、つまりアンブッシュ役を受け持つ。 もともとその山を熟知しているたむさんと親方なので、タツ無しでも 毎年いっぱい獲ってるんだけど、タツが若干名でもいれば、確立が いっそう高くなるからなのだ。 「んじゃ〜、2人のトコに追い出すからね、絶対撃てるよ!」と言う たむさんの甘〜い言葉を受け、ワタシらが良い子でアンブッシュし てると、山の中からドカァーン!ドカァーン!ドカァーン!と・・・。 無線で、「何かいたんスかぁ〜?」と問いかける。 「ゴメン、ゴメ〜ン・・。 Joe-Shoeさんの方に追い出そうとしたら 自分の前にシカがいたもんで♪」 ・・・流石だ、忍びのたむ! |
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そして、全員が合流する。 「すぐ近くに転がってるから、一緒に運び出してよ♪」 状況を良く聞けば、たむさん1人でも獲れたシカなのだ。 むむむ、これがモーレツ親方仕込みのなせるワザか!? それでも運び出したシカを見て、親方は 「あららら〜、 ドコを撃ってるんだよ? もっと前足の方を撃てよ!」 「・・はい。すんませんっ。」 ワタシから見れば、単独の 忍びでシカを獲っちゃうたむさんはスゴイんだけど、なんか ちゃんと獲ったのに文句を言われてる姿がオモシロかった。 たむさん山で獲れたシカは解体場所まで運ぶが、その シカはすぐには解体しないのだ。 雪や雪解け水を利用してシカを翌週まで熟成させる。 内臓だけを取り出して、そのシカを保存する地点まで運ん だりする作業が結構シンドかったりするけど、たむさんは まるで買った肉を冷凍庫にしまう感じのように行う。 |
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まるで2頭を仕留めたように写ってるワタシ。 しかし、これもたむさんと親方の手で撃たれたシカなのだ。 ワタシが何より驚いたのは、たむさんと親方が山の地形だけで なく、石の配置や木の位置を細かく記憶していて、自分の家の 間取りを説明するように熟知している事だ。 なにより、何十年もかけて通って通って通いつめて、地元の 人とも親しくなり、このヘンに来るハンター達は殆ど知り合い だと言う親方だけど、あと少しで引退するかもしんないから、 今はたむさんを徹底的に指導して引き継がせるんだって〜! むむむ。・・って事は次はたむさんが親方じゃん!? 「たむさ〜ん、そしたら、そん時は頑張ってね〜!」と言ったもの の、「いやいや、何を言ってるんですかぁ〜。 そん時は、一緒に やって貰わないと困りますよぉ〜!」・・・と。 「だってワタシ、たむさんのようにタフに山を駆け回れないし〜ぃ、 ついていくのもやっとだし〜ぃ、ほら、体が弱いし〜・・」と、言って みたけど、鼻を上に上げてニタっとたむさんはこっちを見てた・・。 |
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「あ〜あ、ぜんぜん撃てないよぉ〜・・。」 ある時ワタシがスネてたら、たむさんと親方が、アノ場所なら どうの、ソノ場所ならどうのとか何やら相談し始めた。 「折角来てくれたから、今日はちょっと歩くけどいいかい?」 ワタシはその ”ちょっと” ハードな場所までついて行った。 着いてみると、「え? 何じゃココ?」 ってな場所だった。 「じゃ、向こうからシカが来るから、ココで撃ってね〜♪」と。 ・・・ホントにこんなトコにシカが来るのかいな?と、ワタシは しばらく黙って待っていた。 ・・・・・すると。 バッサバッサと馬のギャロップのような音が近づいてくる! そして気がつくと、ワタシの目の前に大きなオスのシカが! その時お互いに、「・・あ、シカだ。」 「・・ア、ニンゲンダ。」 と、確認と同時に、「撃たなきゃ!」 「ニゲナキャ!」でワタシ のバックショットの発射の方が早かった。 お蔭様で、見事なシカを獲らせてもらっちゃいました♪ つ〜か、ど〜やってその場所にシカを出したの? スゴイ! |
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熟成・保存していた先週のシカを運び出し、解体する。 この方法は臭みが見事に抜け、肉も締まるし血も抜ける。 食べ比べても、こっちの方がウマかった! 凍らせて刺身にするなら獲れたてだけど、ステーキとか ローストとか加熱調理なら断然に熟成上州鹿なのだ。 イノシシに比べれはシカは脂が少ないけど、それでも 一頭丸々解体するのに、ナイフは何回か研がなければ ならない。 この写真の時は解体ノルマが一人一頭だ。 上手な解体の指導はやっぱし親方だ。 彼は元々の仕事が料理人なので肉とか食材についての ノウハウはたっぷりだし、シカを捌くウデも良い。 「ちょっと貸してみな? ここは、こ〜やって、こ〜に・・・」 「おぉぉ!さっすが〜、おやかたぁ〜♪ もっとやって見して〜♪」 と、ホメて全部やってもらおうと思ったが、すぐにナイフを 返された。 「はいは〜い。 自分でやってね〜。」 |
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解体場所の火の気の安全なトコで、簡易キッチンが出来る。 たむさんの親方は、ワタシらがシカを解体したそばから、 ひょいひょいと品定めして、少しずつ肉を持ち去って行く。 何故ならば、我々にシカ料理を食べさせる為だ。 昔は板前さんだったと言う親方なので、ウデと味は良い。 そして我々は、行く度に料理をご馳走になったのだ。 大人数での大物猟も良いけど、少人数での大物猟も、 それはそれで楽しいものだ。 そして、結果として獲れたならば、尚更楽しいハンティング になるだろう。 何より安全が第一で、猟果は二の次で構わないのだ。 猟欲のみで突き進むと、取り返しのつかない事故等の元に なるのは、火を見るより明らかなのだ。 そして、大物猟への参加が義務的になると、過労などから 交通事故や健康への影響にも繋がりかねない。 結局、趣味であり、遊びである事が大前提なんだから。 |
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さて一方、このシカはGHコードネーム ”あべべ山” のシカ。 これもやっぱりデカイですね〜! 走り疲れたこのシカは、イノシシを枕に永眠しているトコだ。 これを撃ったのは、あべべ山・ベテラン組のハンター。 シカでも何でもそうだけど、肉は正直言ってメスの方がウマかっ たりする事が多い。 しかし、特にシカの場合、オスの角はハンターにとって勲章の ようなモンだから、立派な角のオスが撃てれば非常に嬉しいのだ。 あべべ山の場合、敵はイノシシ、クマ、シカの混成部隊だから、 特にシカ狙いだけでイケるワケじゃない。 イノシシの足を睨んで山を取り囲んでも、シカが出てくる可能性 もあるし、場合によってはクマだったりする事もある。 でも、大体どこもそんな感じだと思う。 が、アンブッシュ役の人達の脳裏には、それぞれ理想の獲物が 浮かんでいる事に間違いないだろう。 |
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