■ クマ ■
ここはGHコードネーム ”あべべ山” 。 そしてクマさんと写ってるのは、群馬方面隊、なが君だ。 この時はクマがいるって事で、大勢で山を囲む事になった。 しかし、狩猟歴もそんなに長くなく、大物は殆ど経験のない なが君は、念の為に超ベテランハンターの近くのポジションに 付く事になった。 しばらくすると、無線で何かがいると言う交信がされている。 そしてその直後、数発の銃声が山にこだましたのだ。 それは、何と! なが君がクマを撃ったと言うではないか!? あ、モチロン、超ベテランハンターも同時にクマを撃ったのは 言うまでもないけどね・・。 なが君のスラッグが万一ダメだった場合でも、超ベテランの 30-06がカバーする為の配置だったのだ。 そしてクマさんがその場所をスリ抜けた場合、ワタシに撃たれる 運命だったけど、ワタシんトコに来る前に息絶えてしまったのだ。 |
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「俺が行くまで近寄るな〜!」と、ベテランから無線。 「ながく〜ん、まだ近寄っちゃダメだよ〜。」ワタシも一声。 そう、特にクマの場合は確実に死んだのを確認してから 近づかないと、人間がアブナイのだ! あべべ山は経験豊富なベテランが多いし、初心者にも 親切に指導してくれる人が多いので、我々からすれば 非常に心強いトコロなのだ。 ベロが出てるのを確認して、長い枝でツンツンして、一人 くらいは万一に備えて撃てるようにしながらクマに近づく。 それでもベテランは若手に冷静に言う。 「死んだと思っても、最後の最後まで気を抜くなよ〜。」 ワタシも含めて、この時初めて大物猟でクマを目にする 人が数名いたので、ベテランは我々がはしゃいでスグに クマに向かって駆け寄ったりしないように注意する。 休憩してる時は、一緒に下らない話をしているオッチャン でも、そんな時ってカッコ良く見えるのだ・・。 |
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見よ、小ぶりのクマながらも、やはり猛獣の歯を持っている。 キバは、かじり付くと言うより、噛み砕く為の武器みたいだ。 そして、体格の割りに爪も長く鋭く、まるで凶器のようだ。 それだから小さめの熊であれ、丸腰の人間が勝てるハズがない。 ちなみに、どうして木の枝をくわえさせてるかと言うと、この部分を ロープの牽引フックにする為だ。 深い雪の上なら、木の棒で担ぐより、引っ張った方が楽だしね。 クマが獲れたら絶対に地面を引っ張ったりしないってトコもある けど、ココはココ流で合理的に進行する。 ところで、普通はクマなんてなかなか獲れるモンじゃない。 熊撃ちの人は、オフシーズンから自分の行き慣れた山を歩き、 クマの穴を探したり、下見に下見を重ねたりする。 ところがだ、なが君ったら、あっさり最初からクマを撃てたなんて も〜ぉ羨ましい限りだ・・。 |
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血を抜く為、しばしの間は逆さ吊りの刑にする。 そして、ここぞとばかりにミンナがクマを触りまくる。 手を掴んで、ムギュっと爪を出してみたり、ナデナデして 毛質を確かめてみたり、口を開けて強烈な歯を眺めたり して、しばしの間は談笑タイムだ。 そんな時にワタシらは、今までにクマを何頭も獲ってい るベテラン達から、クマの狙い所とかを聞く。 アタマの中心から胸の中心の範囲以外はダメだって・・。 「えっ? そんなん一瞬で当たるワケないじゃん!」って アタシゃ言ってみたら、「そんな、当たんないくらい遠くの 熊だったら、俺だって撃たね〜もん。ヤベ〜し・・。」だって。 ついでに傾斜地で、自分より高い位置にいるクマもやむを 得ない状況意外は撃つのは止めとけと言う。 外したり、半矢にしたら、ものスゴイ勢いで下って来て 襲われちゃう事もあるんだって。 ・・・なんか、やっぱし、クマって怖いじゃん。 と思った。 |
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大勢見てる中で、ワタシがクマさんにメスを入れる事になった・・。 なんかベテランも大勢いるから、アタシゃ少し緊張した。 でも、多少ヘマしたって、怒るような人はいないのが救いなのだ。 しかしクマさん、脂たっぷしなモンで、すぐにナイフが切れなくなる。 切れなくなったワタシのナイフは砥石を持ってる人に渡し、誰に対 してってワケじゃなく、「メスっ!」とふざけて手を出すと、誰かが 自分のナイフを差し出してくれる。 内臓が取り出せるトコまで腹を開けると、選手交代だ。 ベテランの一人が取り出したクマの心臓を持って、半分くらいまで 十文字にナイフを入れていたので、理由を聞いてみた。 「へへへ、う〜ん、まぁ〜、マタギの儀式みたいなモンだよ〜。」 確かにアタシゃ何かで読んだ事がある。 今回はクマが獲れたから、それならばってやってみただけの事 らしかった。 「折角の熊なんだし、とりあえずやっとこ〜。」って。 そして交代しながら皮剥ぎが終わると、肉になった熊を台に移す。 それから本格的に解体が始まるのだ。 それにしてもクマさんの脂って、イノシシの解体より大変だ。 天然熊脂100%で手が滑るし、ナイフもすぐに研ぐハメになる・・・。 |
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これは、クルクルと丸められた熊の毛皮だ。 決して大きいクマじゃないけど、これで一頭分なのだ。 「持って帰る?」と聞かれたけど、アタシゃ要らなかった・・。 誰も持って帰らなかったので、恐らくポイっ!されたと思う。 ちなみに肉は、参加人数分の袋に分けて、くじ引きで当た った人の順に好きな袋を選んで持ち帰るのだ。 あべべ山に集まる人達は皆おおらかで、ガツガツしている 人はいない。 取りまとめ役のOさんがそ〜ゆ〜性格だからかもしんない。 それと、GHのあべべ北部方面隊長の性格もあり、GHの メンバーがおじゃましても快く受け入れてくれる。 なので、ワタシなんて新参者でありながら、ソコでは非常 にノビノビと楽しませてもらってるのだ〜。 いゃぁ〜、クマさんも獲れちゃったし、感謝感謝ですね! それにしても熊肉、希少性って事を割り引いて考えても スゴク美味い! だからアタシゃ、クマさんは大好きだ。 さて、次は誰がクマを仕留めるのかが楽しみだ。 |
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