クマ







ここはGHコードネーム ”あべべ山” 。
そしてクマさんと写ってるのは、群馬方面隊、なが君だ。
この時はクマがいるって事で、大勢で山を囲む事になった。
しかし、狩猟歴もそんなに長くなく、大物は殆ど経験のない
なが君は、念の為に超ベテランハンターの近くのポジションに
付く事になった。

しばらくすると、無線で何かがいると言う交信がされている。
そしてその直後、数発の銃声が山にこだましたのだ。
それは、何と! なが君がクマを撃ったと言うではないか!?
あ、モチロン、超ベテランハンターも同時にクマを撃ったのは
言うまでもないけどね・・。
なが君のスラッグが万一ダメだった場合でも、超ベテランの
30-06がカバーする為の配置だったのだ。
そしてクマさんがその場所をスリ抜けた場合、ワタシに撃たれる
運命だったけど、ワタシんトコに来る前に息絶えてしまったのだ。



「俺が行くまで近寄るな〜!」と、ベテランから無線。
「ながく〜ん、まだ近寄っちゃダメだよ〜。」ワタシも一声。
そう、特にクマの場合は確実に死んだのを確認してから
近づかないと、人間がアブナイのだ!
あべべ山は経験豊富なベテランが多いし、初心者にも
親切に指導してくれる人が多いので、我々からすれば
非常に心強いトコロなのだ。

ベロが出てるのを確認して、長い枝でツンツンして、一人
くらいは万一に備えて撃てるようにしながらクマに近づく。
それでもベテランは若手に冷静に言う。
「死んだと思っても、最後の最後まで気を抜くなよ〜。」
ワタシも含めて、この時初めて大物猟でクマを目にする
人が数名いたので、ベテランは我々がはしゃいでスグに
クマに向かって駆け寄ったりしないように注意する。
休憩してる時は、一緒に下らない話をしているオッチャン
でも、そんな時ってカッコ良く見えるのだ・・。












見よ、小ぶりのクマながらも、やはり猛獣の歯を持っている。
キバは、かじり付くと言うより、噛み砕く為の武器みたいだ。
そして、体格の割りに爪も長く鋭く、まるで凶器のようだ。
それだから小さめの熊であれ、丸腰の人間が勝てるハズがない。

ちなみに、どうして木の枝をくわえさせてるかと言うと、この部分を
ロープの牽引フックにする為だ。
深い雪の上なら、木の棒で担ぐより、引っ張った方が楽だしね。
クマが獲れたら絶対に地面を引っ張ったりしないってトコもある
けど、ココはココ流で合理的に進行する。

ところで、普通はクマなんてなかなか獲れるモンじゃない。
熊撃ちの人は、オフシーズンから自分の行き慣れた山を歩き、
クマの穴を探したり、下見に下見を重ねたりする。
ところがだ、なが君ったら、あっさり最初からクマを撃てたなんて
も〜ぉ羨ましい限りだ・・。




血を抜く為、しばしの間は逆さ吊りの刑にする。
そして、ここぞとばかりにミンナがクマを触りまくる。
手を掴んで、ムギュっと爪を出してみたり、ナデナデして
毛質を確かめてみたり、口を開けて強烈な歯を眺めたり
して、しばしの間は談笑タイムだ。
そんな時にワタシらは、今までにクマを何頭も獲ってい
るベテラン達から、クマの狙い所とかを聞く。
アタマの中心から胸の中心の範囲以外はダメだって・・。
「えっ? そんなん一瞬で当たるワケないじゃん!」って
アタシゃ言ってみたら、「そんな、当たんないくらい遠くの
熊だったら、俺だって撃たね〜もん。ヤベ〜し・・。」だって。
ついでに傾斜地で、自分より高い位置にいるクマもやむを
得ない状況意外は撃つのは止めとけと言う。
外したり、半矢にしたら、ものスゴイ勢いで下って来て
襲われちゃう事もあるんだって。
・・・なんか、やっぱし、クマって怖いじゃん。 と思った。











大勢見てる中で、ワタシがクマさんにメスを入れる事になった・・。
なんかベテランも大勢いるから、アタシゃ少し緊張した。
でも、多少ヘマしたって、怒るような人はいないのが救いなのだ。
しかしクマさん、脂たっぷしなモンで、すぐにナイフが切れなくなる。
切れなくなったワタシのナイフは砥石を持ってる人に渡し、誰に対
してってワケじゃなく、「メスっ!」とふざけて手を出すと、誰かが
自分のナイフを差し出してくれる。
内臓が取り出せるトコまで腹を開けると、選手交代だ。

ベテランの一人が取り出したクマの心臓を持って、半分くらいまで
十文字にナイフを入れていたので、理由を聞いてみた。
「へへへ、う〜ん、まぁ〜、マタギの儀式みたいなモンだよ〜。」
確かにアタシゃ何かで読んだ事がある。
今回はクマが獲れたから、それならばってやってみただけの事
らしかった。 「折角の熊なんだし、とりあえずやっとこ〜。」って。
そして交代しながら皮剥ぎが終わると、肉になった熊を台に移す。
それから本格的に解体が始まるのだ。
それにしてもクマさんの脂って、イノシシの解体より大変だ。
天然熊脂100%で手が滑るし、ナイフもすぐに研ぐハメになる・・・。




これは、クルクルと丸められた熊の毛皮だ。
決して大きいクマじゃないけど、これで一頭分なのだ。
「持って帰る?」と聞かれたけど、アタシゃ要らなかった・・。
誰も持って帰らなかったので、恐らくポイっ!されたと思う。
ちなみに肉は、参加人数分の袋に分けて、くじ引きで当た
った人の順に好きな袋を選んで持ち帰るのだ。
あべべ山に集まる人達は皆おおらかで、ガツガツしている
人はいない。
取りまとめ役のOさんがそ〜ゆ〜性格だからかもしんない。
それと、GHのあべべ北部方面隊長の性格もあり、GHの
メンバーがおじゃましても快く受け入れてくれる。
なので、ワタシなんて新参者でありながら、ソコでは非常
にノビノビ
と楽しませてもらってるのだ〜。
いゃぁ〜、クマさんも獲れちゃったし、感謝感謝ですね!
それにしても熊肉、希少性って事を割り引いて考えても
スゴク美味い! だからアタシゃ、クマさんは大好きだ。
さて、次は誰がクマを仕留めるのかが楽しみだ。








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