■ Benelli ARGO ■
1. 新世代ライフル
Benelli社が世に送り出す銃の中で特に斬新なデザインで 人目を引きつけるのは、この"ARGO(アルゴー)"だ。 30-06、300-WM、9,3x62,、7x64,、308Win の口径が選択 出来るセミオートマチックライフルなのだ。 重量も約3.2kgと軽量で、大きさからしてもライフルと言う よりカービンとも言えるコンパクトな銃だ。 実際にコンパクトではなくても、コンパクトだと感じさせて しまうのはベネリの作戦勝ちかもしんない。 |
グリップの下部にBenelliのマークが彫ってある。 言っちゃ悪いが、こんなトコにマークがあっても射撃場の ガンラックに立てかけた時くらいしか見えないハズだ。 ・・・そうか!立てかけるとマークがちゃんと見えるんだ! と言っても、知る人ぞ知るマークなので、知らない人が見 たら「何じゃこのイタズラ彫りは?」って思っちゃうかもしん ない。子供の頃、学校の机にイタズラして掘ったヤツだ。 ちなみにアタシゃ〜彫り過ぎで先生に叱られ、タミヤの パテで埋めて、自分でバンキンしたのを覚えている。 ・・・ゲージツ家はいつの時代も理解されないモンなのだ。 |
バレルを包み込むようなフォアエンドはスリムに見える けど、横から見るのと縦から見るのとでは違う。 構えてみても、手長ザルになる事もないしフォアエンド のスリムさを気にする事は全くない。 細かなチェッカリングの恩恵も手伝って、実に手にシッ クリとくるのだ。人間工学のデザインだ。 |
ARGOは流線型で構成されている銃だ。 昔の銃のように、必要機能の結成が曲線美となった ワケではなく、ハナっから流れるようなプロポーション を与えられたのだ。 この銃のデザインを一言で言えば、"人間工学"と言 ったイメージだ。 ベレッタにしてもそうだけど、イタリアンデザインを多大 に盛り込んだ銃が多いのはイタリアならでは。 そのうち、ピニンファリーナやジウジアローといった デザインの銃が出てきたりして・・・。 |
デザイン以外に何も考えてないようで、実は良く考えら れているリアサイト。 車にしても、イタリアはまずデザインから考えて、ドイツ は機構から考えるイメージがワタシゃ強いのだ。 このライフルも、こんなデッかいリアサイトが必要かと 思うだろうが、このリアサイトがあるのとないのとでは この銃イメージがまるで別のモノになってしまう。 狙うと白いラインがリアサイトの一部に見える。 |
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デザイン的に考えると、下方のマガジンとこの上方の リアサイトの効果で全体がまとまった感じに見える。 むしろ、マガジンとリアサイトによってデザインが完成 されていると言っても過言ではないだろう。 そして、このサイトは写真のようにノッチが切ってある だけなのだ。カーボン又はカーボン調の部分は全くも ってデザイン以外に意味は無い。 が、このサイトに故障と言う言葉は無縁なのだ。 また、狙ってみると非常に狙いやすい事に気付くのだ。 |
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フロントサイトはレッドランプのファイバー式で、 光を受けて明るく見えるヤツが標準で着いている。 前傾でセットされているが、狙ってみて全くそんな 事は問題にならない事が解る。 これはデザイン的な要件なのか、光を効率良く 取り込む為なのかはワタシゃ解んないが、この銃 のリアサイトとフロントサイトの組み合わせは、ま るでマッチ用のカスタム・ハンドガンを撃った時に 無意識で狙っていたサイトを思い出させた。 ただサイトのアジャストは、フロントサイトをどうに かイジるしか方法がない気がする。 工場でテストしてから販売されてると思うが・・。 |
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ダラダラ書くよりも、見た方が早い。 狙うとどんな感じに見えるのか!? 写真がそれなのだ。百聞は一見に・・・と言うヤツだ。 手前にスコープマウントがセットされているにも関わ らず、しっかりと役目を果たしているF・Rサイト。 写真では、レッドランプが若干上に写っているけど、 実際にはもう少し下に位置する。 白いラインの上に赤いドットをチョコンと載せた感じで サイティングすると思えば良い。 そしてこの少し背の高いF・Rサイトは、デザインだけ ではなく構えた時の姿勢にも無理が無いし、頬付けが 甘くなったり、首をかしげたりする必要はない設計だ。 |
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ライフリングはエンフィールドだ。 H&KやBenelliなんかだと、ポリゴナルとかに なったりしてるの?と思っちゃうかもしんないけど、 至って普通のライフリングなのだ。 ちなみに、エンフィールド式とは宇宙戦艦ヤマト のようなミゾを掘ってあるライフリングの事で、ポ リゴナル式とは、六角レンチを粘土に刺した痕跡 のようなライフリングを言うのだ。 大抵のライフルやハンドガンはエンフィールドだ。 が、バーレットやデザートイーグル、H&Kオート はポリゴナルだったりする。 |
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マガジンを外したトコだけど、ブラジャーを取ったら実は パッドが厚かったインチキ・オッパイって感じなのだ! さ〜さ〜、早く元通りに着けときなさい・・って感じだ! ワタシが遭遇したオッパイ詐欺や、色んなオッパイの 話をしているとキリが無いので、マガジンの話に戻る。 このマガジンは、ご覧の通りBOXマガジンでありなが ら、銃の形の一部を構成していてライフルにしては珍 しいマガジンかもしれない。 ピストルではこのようにフレームデザインの一部を担う マガジンボトムも最近では多いが、ライフルで導入して いるのは滅多にない。 |
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近代設計のARGOは非常に撃ち易いらしい。 その撃ち易さに一役買っているのが、この独自の リコイルパッドなのだ。 構えてみるとしっかりした剛性感がありつつ、発射 した時は瞬間的な反動を吸収してくれるのだ。 撃ち比べた事のある人の話では、同じ308のタマ を使った場合、M1Aよりも撃ちやすいと言う。 この写真のリコイルパッドは、少々キズだらけだ。 それは、この銃のオーナーのいださんが猟場で 何度もズッこけた証なのだ!しかし3kgちょっとの このライフルは、山を歩くには軽くて良いだろう。 「教習の時のボルトアクションとは全然違うよ!」 と、いださんもマイルドなリコイルを賞賛していた。 |
どんなに最新のデザインやコンセプトを盛り込んだ銃 であっても、作動方式に関しては他の銃と基本的に変 わるトコロがないのが現在の銃メーカーの実情だ。 薬莢と一体となった装弾を使用する限り、現在世の中 の作動システムは行き着いてるのではなかろうか・・。 写真は、ボルトをホールドオープンさせたトコだ。 |
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ARGOはロータリーボルトロッキングを採用して いるが、取り立てて他のライフルと変わった事で はない。あえて言うと、ボルトのロッキングラグが オニギリのように三角形になっている事くらいだ。 しかし、それも別に珍しい事ではないが、強度的 に見ればヘタなアサルトライフルより強いかもし れない。どんな銃でも、リコイルをガードするトコ は、点で支えるよりも面で支える方が良いに決ま ってるのだ! このライフルは308口径だけど、アッパーレシー バーと一体になっているバレルと、マガジンを 交換する事で30-06の選択も可能だ。 と言いつつも、日本では06の替え銃身がナカナカ 手に入りにくいらしい。 国内に流通しているかは解んないけど、300Win の口径もラインナップされている。 |
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ARGOの名前がARGOなのは、ベネリが取得した特許 A.R.G.O.、つまり自動ガス調節(Auto Regulating Gas Operated)システムをそのまんま名前にしただけ なのか、それとも天文とか古代ギリシャなんかにありそ うな名前で語呂が良いからなのかはアタシゃ知らん・・。 ガスオペレートシステムは、写真のように以外と小ブリ にまとめられている。このARGOシステムはショットガン でも使われていて、ベネリM4なんかも、実際にこのシ ステムを採用している。 やはり、撃ち易さのヒミツはここにあったのか!? |
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ピストンとオペレーティングロッドを保持するスプ リングのテンションはきつく、高圧のガスでも 上手に逃がしてくれそうな頼もしさを感じられる。 しかし、オペレーティングロッドの作動ストローク は短いのだ。 良く出来てるが、ありがちなシステムなのだ。 |
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ピストン&オペレーティングロッドが下がった図。 見ての通り、少し後ろに下がるだけ。 と言っても、これはありがちな機構だし、ここも多くの ガス・オペレートのオートローダーと変わりはない。 ガスが吹き出すのでバレルも汚れているが、この部分 はフォアエンドに隠れてしまうので組み立てた状態で 汚れが気になったりする事はない。 タマを発射すると、発射ガスの一部がチェンバーに近 いガスポートから流れて、ピストンと一体のオペレーテ ィングロッドを押す。 そう、ARGOシステムは大抵のガスオペレートライフル に比べると、ガスポートがチェンバーに近いのだ。 チェンバーに近い事によって作動に必要な高圧と、より 暖かいままの発射ガスを得る事が出来る。 ・・・って、ベネリのホームページに書いてあった。 それより、ワタシが写真を撮りに行かなけりゃ、この テッポのソージしなかったべ〜!?いださん! |
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フレームから突き出たボッチをオペレーティングロッド の一部が押すところの図。 このボッチは直接的にボルトの前後運動の為ではなく、 ロッキングの解除をさせる為のものだ。 これによって、ロータリーボルトのヘッドが回転する事 でロックが解かれて機関部が開放される事になる。 そして、タマが発射された後はボルトが後方へ下がり、 ケースをエジェクトして次弾を装填すると言う、非常に 普通のシステムだ。 タマを発射した後の反作用と、あるとすればチェンバー 内とバレルの発射ガスの残圧で薬莢は排出されるワケ だけど、シューターがリコイルを感じる時は、それら全 ての工程が終了している後か、ほぼ同時だ。 やっぱし、ライフルでもショットガンでもハンドガンでも、 オートのGUNはリコイルが軽いワケだ! |
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これはフォアエンド先端にあるネジなんだけど、 どうも作りが良くない。 位置的に強く締め難いし、ショットガンのキャップ のように大きくないので力もかけ難い。 このARGOのオーナー、いださんの不満点はこの フォアエンドを留めるネジが射撃をしていると緩ん でくる事なのだ。例え強く締め付けてもだ。 しかし、このフォアエンドのネジ、つまりキャップの 先端のスワイベルは内部ピストン部のバレルロッ キングキャップを締めるのに使えるようになって いたりするのだ。上の方の写真で、マズル側の スプリングの端のパーツには穴が開いているの が解るけど、それがその為の穴ポコなのだ。 だったら、これにも穴ポコ開ければいいのにねぇ! |
Benelli社では、"ローダー"と呼ぶマガジン。 国によっていくつかのバージョンがあるが、日本では 着脱式の装弾数4発マガジンが主流となっている。 マガジンボトムはそのままで、金属製の弾倉部だけ を脱着するタイプもあるらしいが、やっぱし商売を考え れば着脱式マガジンの方が儲かるのだ。 それ以前に、マガジンごと交換出来る方が使う側も 一番手っ取り早いって話だ。 |
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まるで空力を考えて作ったかのような、マガジンボトム と言うか、マガジンカバー。 実用上、これの良いトコは構えた時にこのマガジン部 までも先台の一部としてグリップできるし、フォアエンド を指示する方の手首にマガジンが当たって射撃のジャマ になる事はないのだ。 それより、このマガジン無しではARGOのフォルムが ARGOではなくなってしまうので、重要な体の一部だ。 |
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マガジンはマガジンリリースボタンを押す事で 簡単に取り外せる。 トリガーガードの前に見える赤い部分は、セフ ティーボタンで、ボタンを左右に押す事によって ONとOFFを切り替える。 この手のセフティーは、ハンティング用としては 一番馴染み深いものではなかろうか。 トリガーガード前面が異様に大きいのは、ここに セフティー、マガジンリリースボタン、ボルトリリ ースレバー(写真では反対側)が詰め込まれて いるのだ。デザイン的なものもあるんだろうが・・。 |
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これはトリガーアッセンブリーの右側を眺めたものだ。 ド真ん中に見えるレバーがボルトリリースレバーなのだ。 全弾を撃ち尽くすと、ボルトキャッチが働いてボルトが ホールドオープン状態になる。 射撃中であれば、そのままエジェクションポートに一発 放り込んだら、レバーを下げてボルトを閉じる事ですぐ に射撃体勢に入れる。 スペアマガジンがあったなら、その次にマガジン交換を すればタマは満タンになる。 マガジンリリースの操作も、慣れればトリガーフィンガー で出来てしまうので、マガジン交換に時間は要らない。 どんな銃でも使うからには慣れなきゃダメって事なのだ。 |
このARGOはやっぱり斬新なデザインが手伝うのか 普通のハンティングライフルのクセして、レンジでも 結構気になる存在でいるトコはBAR等とは違う。 レンジでレスト保持していたり銃架に置いてある光景 は、まるで田舎の食堂にスーツのまま偶然食事立ち 寄ったビジネスマンのようにも思える。 それでもこの銃に使用する308装弾は、他のライフル で発射するのと何ら変わりはない。 マガジンにタマを込めて、ボルトを引いてトリガーを 絞れば、多くのライフルで射撃するのと同じなのだ。 ただ、撃ち易く作られているARGO恩恵はシューター のみぞ知る事であろう。 |
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操作についても、特別な事なんて一つもない。 銃器の取り扱いを理解している者なら、何の問題 もなく直ちに射撃が出来る事だろう・・。 チャージングレバー、つまりボルトレバーを引く 事でチェンバーにタマを送り、発射体制に入る。 あとは普通のオートマチックライフルと同じだ。 最先端のフォルムであっても、銃には慣例的な 操作方法が求められるのが事実だし、安全を 考えれば紛らわしい操作があってはならない。 |
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気になるARGOの作動はと言うと、気持良い回転で シューターを不安にさせる事はない。 しかし、約300発をクリーニング無しで撃ったところ、 ジャムが1回あったのはこの銃に関して言える事だ。 300分の1と言うのは、多いか少ないか人によるだろう が、排莢不良が一度あったのは事実なのだ。 それは、構え方のせいか、弾薬のせいか、全くの偶然 か、クリーニングをしないまま撃ったせいか、アタシゃ 原因なんて解らんし、オーナーでシューターのいださん にも解んないらしい。 言える事は、エジェクトされたハズのケースが噛んだ ってのは事実なのだ。が、その後ジャムは無い。 |
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アタシゃ、自分のライフルだったら色んなタマを 試したり、弱装・強装弾を撃ち比べてみたりも 出来るが、なんたって自分じゃ撃てないし、それ 以前にいださんのライフルをいださんに撃って もらうワケだからワガママなオーダーも出せない。 それでも、すぐ人の力になろうとする彼の感想で は、撃ち易く命中精度も問題無いとの事だった。 100m程度なら狙ったトコには当たるワケだし、 ハンティングライフルとしては、軽さ、使い易さ、 信頼性と良い印象だけが残るライフルなのだ。 日本ではBARを使う人が多いが、このARGOは 今後日本のハンターにどんな存在のライフルと して位置していくのだろうか。 BenelliのA.R.G.O.システムと共にこのARGO の行方も気になるトコロだ。 |
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