■ HOWA 55G ■
1. 日本製ガス銃
![]() |
日本の自衛隊のアサルトライフルも製作している 豊和のガス銃だ。 一目見た印象は、スゴク丁寧な仕上げだという事。 ポリッシユされた表面かと重いきや、クロームメッキ 処理なのだと、この銃のオーナーは言う。 そか。言われてみればメッキだ。 何にしても世界のエアライフルの中でも最高の部類 の仕上げではないだろうか? 一言で言えば、とても美しい銃なのだ。 一昔、いや、二昔前の設計のこのガス銃は、日本 でなければ最高級玩具になるのかもしれない。 ストックも安物ではない事は、見ればすぐ分かる。 今の時代に、こんなに手のかかる仕上げのガス銃 は新規で出来るのだろうか? |
|
仮にこの銃が白木のストックにサテンブラックの 塗装だとしたら、こんなに存在感はないハズだ。 CO2ガスをパワーソースにする55Gは、現代では 決してハイパワーの部類のエアライフルではない。 シャープのポンプ式を6回〜8回もポンプすれば あっさりと55Gのパワーを上回ってしまう。 しかし、この銃、パワーより先にその存在感と高級 感が手にしたと同時に感じられるし、むしろ最近の プレチャージに比べても持っている事への酩酊感 がアタシゃ大きい気がするのだ。 パワーがないと言っても、最近の銃より実銃である 事を強く意識させるこの55Gは、例えば自分じゃ 乗りこなせないGTRより、古くても全開で走る事が 楽しいアルファロメオの1300みたいなのだ。 |
![]() |
|
![]() |
グリップエンドの豊和のマークが誇らしげだ。 64式小銃なんかと同じマークが付いた55Gは、 豊和が単なるエアライフルメーカーではなく、 銃器を開発・生産するメーカーとして市場に送 り出した狩猟用ガス銃である事の証だ。 ストックの仕上げも確かにオーバークオリティー であるものの、手彫りであろうチェッカリングが 執拗にワザとらしさを感じさせる事はなく、しっくり と手に馴染むところも正にジャパニーズプロダクト と言う気がしてくる。 戦後、良い物を作りつづけている日本の精神は この銃を見ると良く分かる気がする。 |
|
バレルは削り出しの一本物。ライフリングが見える。 銃口部の処理も装薬銃並に美しい。 5.5mmの鉛弾を発射するには十分過ぎるバレル だけど、このバレルも銃の存在感を強く感じてしまう 事の一つの要素かもしれない。 機関部に対して細目のバレルは、背高ノッポの フロントサイトが与えられている。 勿論、スコープを使用する事が多い空気銃・ガス銃 にリアサイトを付ける事は少ないと思うけど、フロント サイトはワザワザ外す必要もないだろう。 それに、これだけデカいサイトでも、スコープを装着 して覗いてみると邪魔になる事は一切ないのだ。 |
![]() |
|
![]() |
この銃の刻印は、機関部右前方に5.5mmの口径 表示と、左後部に「HOWA MODEL 55G」とある だけだ。 銃は良いのに、この刻印がアップでも良く読めない。 メーカー名はそのままでも良いのは当然だけど、続く デザイン文字はもっと読みやすいタダの打刻だけに すれば良かったのにとアタシゃ思ったりするのです。 ・・・その方がクールな感じがするし、重厚に感じる。 ここを見ると、やっぱしこれも往々にしてありがちな 日本製の商品なのかと思う一瞬なのだ。 |
![]() |
この銃はCO2ボンベを2本使用して、地球の緑に 嬉しいパワーソースとなっている。 ただ、夏場の射撃では撃つ度に蚊が寄って来ない だろうかと心配してみたりする。 ちなみに2つのボンベの内、一本は空でも良い。 その時、空のボンベはスペーサーとなるだけだ。 別に2本とも空でも構わないが、それだとタマが出 ない事は犬でも解るだろう。 |
|
銃床の先がボンベの装填口だ。 ネジになっているキャップを回して外すんだけど、 ここで注意しなければイケナイのが回す部分だ。 写真の通り、キャップのギザギサが2箇所ある。 そこで銃口側のキャップを一生懸命回したところ で、ボンベの入り口は一生開かない。 銃床側のキャップこそがボンベのゲートなのだ。 恐らくここを開ける時に、「どこのバカがこんなに キツク締めたんだ!?」と、自分をバカ呼ばわり する人が多い部分なのだ。 バレルがある為に、キツク締めてあると外しにく いのは、ポンプやオートのショットガンと同じだ。 |
![]() |
|
![]() |
これがキャップだ。 まずCO2のボンベの口を上の写真のように互いに 外を向くようにして銃に装填すると、カランカランと 何の抵抗もなくボンベ室に2本のボンベが滑り込む。 そしたら、外したキャップを逆に締めてフタをする。 その時点では、ただ銃にボンベを収納したに過ぎない。 それから、今度はもう一つのキャップ、つまり上の写真 の銃口側のネジを締め付けるのだ。 そしてグイグイ締め付けると、左の写真のキャップの 真ん中にある針と銃本体にもある針がそれぞれ2本 のCO2ボンベの口に穴を開けて、ボンベ室全体が 一つのガスボンベとなるのだ。ボンベの一つが空でも 良いと言うのはそう言う事なのだ。 ちなみに、今回の55Gに関しては、ボンベ1本で 20発弱、2本でも30発弱程度が使える範囲として は限度との事だった。・・・思ったより燃費悪いのね。 が、猟場での感覚だと2本でも15発くらいがイイトコ じゃないかな?との事だった。猟場だと、燃費の悪さ にターボが効くのか!? |
|
後部にはタマを装填する為のレバーがある。 この小さいレバーはパッと見セフティーにも見 えるんだけど、これを右に押す事で給弾用の ロッドが飛び出す仕組みなのだ。 スコープの真下で目線の延長にあるレバー は、通常は殆ど気になる事はない。 この位置から銃の本体機関部を眺めると、 何となく22LRのオートのようにも見える。 この銃は、どこを見てもコザッパリとした デザインなのだ。 このレバーに関して唯一気になる点を挙げる なら、大きめの口径のスコープを搭載した 場合に操作しにくいかも?と言ったところだ。 |
![]() |
|
![]() |
レバーをスライドすると、給弾用のロッドを引き出す事が 出来る。このロッドとバネが縦に並ぶタマを前方に押す テンションをかけるのだ。 タマは左のポートから滑り込ませるように入れる。 まるで、レバーアクションのローディングみたいなのだ。 しかし、どんなに良く言ったところで、昔の玩具のBBガン にパクられた給弾システムは特に画期的でもない。 むしろ、実用的に見ればもう少し簡単なシステムを採用 出来なかったのか?とも思えてしまう・・・。 それでも、これがこの銃の特長の一つだと思えば、そん なに苦にならないと思ってしまうのは不思議なもんだ。 どんなシステムを採用して、それらがいかに融合するか で味が変わるのが機械ってもんなのだ。 |
|
給弾されたタマが行き着くところは、ボルト作動 に連動して左右に動くローディングブロックだ。 もちろんそのパーツの正式名称は知らんけど、 タマを1発くわえてはチェンバーに運んで行く 実に健気な働きをしている。 写真はボルトの操作をした際に、その健気君 が左に顔を出したところだ。 その前にこの銃でイカンとアタシが思う点は、 タマの取り回しがハデになりすぎて、軟らかい 鉛のタマが変形しないかと心配してしまうのだ。 ま、精密射撃をする目的の銃じゃないから心配 するほどの事じゃないと思うけどね。 |
![]() |
|
![]() |
縦列駐車でタマが並ぶ弾倉に細長く開いた小窓は、 容易に残弾の確認が出来る。 しかしオーナー氏曰く、見えるってだけでそんなに便利 なものじゃないそうだ。 むしろ、泥やゴミが入る事を心配しなければいけない。 どうした事なのだ!?解決策はないのか!? で、アタシゃ思ったんだけど、セロテープをキレイに カットして貼っとけばエエんじゃない? 砂や小石が混入した場合は掃除も大変だけど、万一 弾頭部に固い小石が付着したまま発射すれば、ライフ リングにもキズを付けてしまう事だってある。 タマの変形より、むしろそっちを先に気にする必要が あるんじゃないかとアタシゃ思った。 |
|
![]() |
給弾装置の穴を右から眺めて思ったんだけど、この銃 のマガジンは左側面じゃなくて右側面にあった方が右側 ボルトの右利き用としては便利じゃなかろうか? 今なら回転式の着脱マガジンってな手もあると思うけど、 せめて着脱式の縦型ボックスマガジンなんかは考えら れなかったのだろうか? 少しだけ各部の取り回しを工夫すれば、下から装着する ボックスマガジンも不可能ではないハズだったと思うし、 コスト的にも安く作れるハズだ。 まぁ、でも、空気銃弾は縦に並べる分には変形しても 問題は少ないけど、横に並べてテンションがかかれば ヘンに変形する事も考えられるし・・・。 この銃はこれでいいのかもしれない。 |
|
トリガーガードの後部には、ポンプやオートの ショットガンのようなセフティーがある。 貫通式のボタンを左右にスライドさせる事で、 セフティーのオンとオフが切り替えられる。 装薬銃使用経験者であれば、まごつく事がなく 操作出来るだろう。 しかしこのセフティー、構造までもがショットガン 等と同じで、単にトリガーの動きを妨げるだけの システムなのだ。 そのお陰なのか、トリガーは微妙にカッコ悪く 仕上がっている。 ワタシが外観を見て気になった唯一の点だ。 |
![]() |
|
![]() |
色んなギミックも後ろから見ると実にスッキリしている。 この55Gの外観をまとめている要素は、フォアエンド内 にガスタンクを設けているお陰だろう。 構造的に見ても、プレチャージやポンプ式、スプリング式 に比べてシビアなメカニズムではない気がする。 つまり、CO2をパワーソースにしている以上は、比較的 自由なデザインが出来るのだ。 ただ他の空気銃と違って、ガス銃である以上は仕方の ない問題もある。 ・・・問題といえば問題だ。が、当然と言えば当然な事。 そう、ランニングコストなのだ。 何百円もするCO2ガスボンベがなければお話になら ないのだ。 |
![]() |
ボルトアクションのこの銃に複雑な操作法は必要ない。 ガスが充填されていて、マガジンにタマが入っていれば、 あとはボルトの往復だけで連発出来る。 小ぶりなボルトハンドルも、仕上げは実にキレイだ。 ストロークも22LRのライフルと大して変わらない。 ただ、ボルトがレシーバー後部から飛び出すワケでは なく、レシーバー内で移動すると言うだけだ。 タマの装填は、まずボルトハンドルを起こし、そのまま 後ろにボルトハンドルを引く。そしたらボルトハンドルを 元の位置に戻せばよい。ただそれだけだ。 あとは、狙いを定めてトリガーを引けば良い。 |
|
![]() |
ボルトの長さから見ても、この銃はもっと機関部を後方 一杯まで持っていった設計にすれば、全長を変える事 なくバレルの延長に成功したかもしれない。または、もっ と広いガス室を設けられただろう。 しかしそう言う事は、何にしても言い出せばキリがない。 自分の奥さんや彼女を見て、もっとここが細ければなぁ、 もっとここが出ていればなぁ、と考えるのと同じだ。 が、女も銃も種類によって性格は違うし、性格はナカナカ 変えられるモンじゃない。 55Gに話を戻すと、この銃は重さのバランスも良く仕上げ も良い。が、燃費が悪い事とパワーがそれなりって事だ。 むむ、やっぱり銃と女性は似ているもんなのだ。 |
|
この銃にベストマッチなタマは、輸入の16とか 18グレインとかのペレットではない。 "ライオンじるしのじぇっとだん"なのだ。 そもそも、50mも先の"点"を撃つSBのような 性能の銃ではない。 いいトコ30mのカモやキジの頭部に着弾させ る事が出来れば、狩猟銃としての用は足りる。 この銃で実際に狩猟した感想を聞くと、良くて 30m、悪くて15mでヘッドショット出来るらしい。 そうなれば、銃の問題ではなくウデの問題だ。 スコープも4倍程度が使い勝手が良い。 ただ、外気温によってCO2の膨張率に変化が あるのが難点だ。 |
![]() |
|
![]() |
重量の軽いジェット弾を、それこそ高速とは言えない初速 で撃ち出すワケだけど、昔からのハンターはこのジェット 弾に拘る人が多い。 彼等は、タマの特性やフライヤーの出方も熟知していて 今でも実猟にはこのジェット弾を使用する人が多い。 やはり、使い慣れた銃と使い慣れたタマは昔からの ハンターには一番信頼がおけるところなんだろう。 そして、その事は直接的に猟果へも結び付く。 どんなに最新のプレチャージを持ってしても、彼等が 使いこなすガス銃には猟果ではかなわない事が多い。 性能を銃に求めるのではなく、使うその銃の性能で 如何に仕留めるかなのだ。 |
|
|||||
Guns , Shooting and Hunting website GUN HORSE |