|
「ファーマーさんはみすてない」という絵本があります。(作・柳川茂 絵・河井ノア いのちのことば社フォレストブックス発行)
ファーマーさんの畑から「じゃがいも娘」は生まれました。彼女は「世界で一番おいしいお料理になるの」と張り切っていました。
町一番のレストランにやってきた彼女は、一緒にカレーライスになろう、シチューになろう、サラダになろうと、仲間の食材から誘われますが、すべて断ります。
彼女にはプライドがありました。じゃがいもだけを使った世界一の料理になるという夢でした。ですから、「早くしないと大変なことになるぞ」と言われても耳を貸しませんでした。
しかし、ある日のこと「じゃがいも娘」の頭から緑の芽がニョキニョキ生えてきました。ピカピカのポットに写し出された自分の姿を見て、じゃがいも娘はとてもショックを受けます。もうどんな料理にも使ってもらえません。
それからの彼女には災難が続きます。みんなから馬鹿にされ、けむたがれます。こんなことであれば「カレーライスになっておけばよかった。シチューやサラダだってすてきなお料理だったんだわ」と思いますが、もう手遅れ。彼女は冷たい北風におされながら畑の方へ転がって行きました。
ところが、彼女をみつけたファーマーさん。彼女を温かく抱きかかえ、土のベットに寝かせてあげました。そして、暖かな春がやって来た時、じゃがいも娘の体から、芽が出て、葉が茂り、きれいな花が沢山咲きました。そして、シワシワのじゃがいも娘には沢山の子どもたちがくっついていたという絵本のお話です。
◆この絵本から教えられること
@どんなにすばらしいものを持っていても、自分一人だけでは活かされない。共に生きる、共に歩むことの大切さ。(協調性)
“一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶ。”(1コリント12:26)
Aうぬぼれからは良いものは生まれない。(思い上がりもほどほどに)
“うぬぼれて、互いに挑み合ったり、ねたみ合ったりするのはやめましょう。”(ガラテヤ5:26)
B何事にも「時」がある。
“天の下の出来事にはすべて定められた時がある。”(コヘレト3:1以下)
C失敗しても、温かく迎えてくれるお方がおられる。神様は決して「見捨てない」。
“ルカ15:11以下の「放蕩息子のたとえ」など”)
D暖かな春(喜びの日)は必ず来る。
“あなたがたは悲しむが、その悲しみは喜びに変わる。”(ヨハネ16:20)
“ ”内の言葉はすべて聖書の言葉です。この絵本は私たちにいろいろなことを教えてくれます。
栄光幼稚園長 小鮒 實
|
栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.377、2012.11月号)より
|
|