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小さな子どもたち(3歳位までの子)は質問するのが好きです。
「空はなぜ青いの?」「雨はどうして降るの?」「赤ちゃんはなぜ泣くの?」
かわいらしい質問です。
お母さん方は知恵をしぼって、子どもたちに分かるような(子どもたちが納得するような)答えをするでしょう。
科学的な知識がない子どもたちに科学的な説明をしたって無駄です。ですから、子どもたちに夢と希望を与えられるような、そんな答えが出来ればそれで十分です。
少し大きくなって4、5、6歳位になりますと、「神様っているの?」「天国ってあるの?」「サンタクロースって本当にいるの?」なんて質問する子もいます。
疑問に思うことを質問する。これはとても良いことです。ただし、それに答えるには、私たち大人が少し賢くならなければなりません。
安易に「イエス」とか「ノー」と答えるのではなく、「あなたはどう思うの?」と聞き返し、問題を深めて行くことも大切ではないでしょうか。
小学生位になりますと、もっと難しい質問をする子もいます。
「どうして勉強しなければならないの?」「大人って偉いの?」「命って何ですか?」
私たち大人がしっかりした考えを持っていないと、子どもたちは納得しません。まだ小学生だからと軽んじる訳には行きません。適当な答えをしていると、しっぺ返しがまっています。
例えば、「なぜ、人殺しをしてはいけないの?」「なぜ人のものを盗ってはいけないの?」「なぜ、死んではいけないの?」なんて質問も出てきそうです。
一昔前、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という言葉が流行りました。
赤信号のときは道路を渡ってはいけない。それは交通ルールです。ですから、交通ルールは守らなければならない。
でも、「なぜ交通ルールは守らなければならないの?」と聞かれたら、何と答えるでしょうか。
ただ「危ないから」とか「事故に遭うから」「死んだら困るでしょ」なんて答えていると、「じゃ、危なくないように、事故に遭わないように、渡ればいいんでしょ」なんて答えが返ってきそうです。
交通ルールに限らず、社会には「ルール」があります。それは、みんなが一緒に生きて行くために必要だからです。
私たちは一人で生きているのではありません。社会という大きな共同体の中で共同生活をしているのです。
そして、その共同生活を円滑にするために、人間関係をうまく進めていくために「ルール」はあるのです。
当たり前のことですが、この当たり前のことが分からない人(大人も子供も)も多くなって来ているようです。
私たちは決して自分一人で生きているのではありません。みんなと一緒に生きているのです。この当たり前のことを子どもたちにしっかりと伝えてあげましょう。そうすれば、「なぜ、人を殺してはいけないの?」なんて質問はきっとなくなると思います。
「めいめい自分のことだけでなく、他人のことにも注意を払いなさい。」(フィリピ 2:4)
栄光幼稚園長 小鮒 實
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栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.374、2012.7月号)より
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