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以前、朝日新聞の「声」の欄に、東京都在住のある社会福祉士の方が、次のような投稿をしておられました。
「走らな〜い!」「元気がな〜い!」「ばらばらに並ばな〜い!」 運動会の練習をしている近くの小学校から聞こえてくる先生の声である。
否定語や叱咤的な言葉のオンパレード。聴いている児童はどう感じているのだろう。また、声は、拡声器を使っているため、周辺地域にも響き渡っており、住民はどう感じているのか。私の場合、このような物言いを繰り返し聞かされる子どもたちの将来に一抹の不安を感じてしまう。
そこで、提案したい。先生方は、子どもたちに接する際に肯定的な言い方にして伝えてみてはどうだろうか。そして、できたことはきちんと褒めてあげてはどうだろうか。
例えば、冒頭に並べた言葉を、次のように言い換えてみてはいかがだろう。「走らな〜い」は「歩きましょう」、「元気がな〜い」は「大きな声を出しましょう」、「ばらばらに並ばな〜い」は「前の人に合わせて並びましょう」と。
言い回しを変えてみたり、言葉の使い方を少し変えてみたりしただけで、聞き手側の子どもたちも気持ちが前向きになるのではないか。
誰でも、否定的な言い回しよりも、肯定的な言い回しをされた方がうれしいと思う。そして、できたことを褒められれば、それが自信になり、次はもっと頑張ろうとするはずである。
皆様いかがでしょうか。いろいろなことを教えられるように思います。私は幼稚園の園長をしておりますから、うちの園はどうだろうかと、先ず考えさせられました。
幼稚園の周りは住宅地です。子どもたちの遊ぶ元気な声に対して、「元気でいいですね」「子どもたちの元気な声に励まされます」と言ってくれる人も勿論います。
でも、すべての人がそうであるとは限らない。中には「うるさい」と思っている人もいるかも知れません。そして、運動会シーズンなどになりますと、投稿者が指摘しているような、否定語や叱咤的な言葉のオンパレードはないか、やはり考えさせられます。
幼稚園ですから、少々うるさいのは我慢していただくとしても、子どもに対する言葉掛けには、これからも充分注意して行かなければならないと反省させられました。
ご家庭でも、否定的な言い回しよりも、肯定的な言い回しができるといいですね。勿論、これは子どもに対してということだけではなく、人と人とのコミュニケーションにとっても、とても大切なことだと思います。
栄光幼稚園長 小鮒 實
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栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.366、2011.11月号)より
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