|
北海道浦河町に、精神障害等をかかえた当事者の地域活動拠点「浦河べてるの家」があります。(1984年設立、2000年8月統合失調症者自助グループ「浦河SA」発足、2002年「社会福祉法人」認可)
この“浦河べてるの家”で大切にしていることに“まかせるということ”というのがありますので紹介します。
1.”まかせる”とは、心配をやめることではない、その人に代わって解決できないということを知ること
2.”まかせる”とは、関係を断ち切ることではない、その人をコントロールできないということに気づくこと
3.”まかせる”とは、その人の望みどおりにしてあげることではない、自然に起きてくる結果にゆだねること
4.”まかせる”とは、自分の力のなさを認めること、すなわち結果を自らの手でなんとかできるものではないと認めること
5.”まかせる”とは、その人を変えようと試みたり、その人を責めたりすることではない、自分自身を変えること
6.”まかせる”とは、その人の代わりに心配することではない、その人に起きていることを心にとめること
7.”まかせる”とは、修正してあげることではない、サポートすること
8.”まかせる”とは、善い悪いを評価することではない、その人の人生を認めること
9.”まかせる”とは、その人と誰かの間に入って調整することではない、その人等の関係をその人達自身の手にゆだねること
10.”まかせる”とは、保護してあげることではない、その人が現実と向かい合う機会をうばわないということ
11.”まかせる”とは、否定することではない、受け入れること
12.”まかせる”とは、ガミガミ小言をいったり、叱ったり、言い争うことではない、自分の不充分さや人を正そうとする自分自身を吟味すること
13.”まかせる”とは、自分の願いをすべてかなえることではない、一日一日起きてくることを受け止め、それを大切にすること
14.”まかせる”とは、人を批判したり、管理したりすることではない、自分が望む自分になれるよう試みること
15.”まかせる”とは、過去を後悔することではない、成長すること、明日を生きること
16.”まかせる”とは、恐怖や不安が減り、愛が増えること
(資料:Fairview Recovery Center, MN USAより)
“べてるの家”で大切にしている“まかせるということ”。それは決して“なるようにしかならないからまかせるしかない”という消極的なあり方ではありません。
むしろ、現実を現実として受け止めた上での積極的なあり方・関わり方を示すものです。すべてが“子育て”にそのままあてはまるものではないかも知れませんが、参考になることも多々あるのではないでしょうか。
栄光幼稚園長 小鮒 實
|
栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.357、2011.1月号)より
|
|