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“ものの言い方”ひとつで人間関係がよくなる場合と悪くなる場合があります。すなわち、相手を認めないような否定的な言い方をしますと、人間関係はギクシャクしますし、逆に、相手のことを考え、肯定的な表現を用いますと、人間関係がスムーズに行く場合があります。
例えば、「あなたはおっちょこちょいで、いつも失敗ばかりしている。そんなことじゃダメだ。」と言われれば、たとえそれが本当のことだとしても、あまり気持ちの良いものではありません。しかし、同じ失敗でも、「もう少しよく考えたら失敗しなかったかも知れないね。でも、失敗は成功のもと。これからはうまく行くように頑張ろうね。」と言われれば、どうでしょうか。反応は大分違ったものになるのではないでしょうか。
人間は誰でも自尊心を持っています。大人も子供もです。その自尊心が傷つけられると、たとえ言われたことが正論であっても、素直に受け入れられないということもあるのです。もっともだと分かってはいても、「あんな言い方をしなくてもいいのではないか」と、逆に怒りを感じてしまうこともある。だからこそ、ものの言い方には十分注意する必要があるのです。ものの言い方ひとつで、角が立つ場合もありますし、逆に、丸く収まる場合もあるのです。
それでは、具体的にどのような言い方をしたらいいのでしょうか。先ず、「言葉選び」があると思います。同じこと(現象)でも、言葉次第で大分変わってくると思います。例えば、“落ち着きがない子”の代わりに“活発な子”。“ちんちくりんな子”の代わりに“かわいらしい子”。“元気がない子”の代わりに“物静かな子”。そのほか“ケチ”の代わりに“経済的”とか、“とろい奴”の代わりに“温厚な人”とか、いろいろあると思います。否定的な表現より、肯定的な言葉を使うと、人間関係うまく行きます。
それから、表現そのものを肯定的にすることも大切です。先程の失敗した者の例でもそうですが、最初から「ダメだ」と相手を否定(攻撃)するのではなくて、失敗を成功に導くような言い方、すなわち、プラス思考で相手を受け入れ、頑張ろうと励ます。そうすれば人間関係もっと良くなるのではないでしょうか。勿論、口調もあると思います。大きな声で相手を威嚇するような口調ではなくて、やさしく諭すような言い方も大切です。
いずれにせよ、人間関係、相手がいることですから、お互いに気持ちのいい関係、たとえ考え方や意見が違っても、相手に不愉快な思いをさせないで、仲の良い人間関係が作れるといいですね。
聖書には、このような言葉があります。
「いつも、塩で味付けされた快い言葉で語りなさい。」(新約聖書 コロサイの信徒への手紙 4:6)
「ここちよい言葉は蜂蜜のように、魂に甘く、からだを健やかにする。」(旧約聖書「口語訳」 箴言 16:24)
栄光幼稚園長 小鮒 實
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栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.354、2010.10月号)より
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