栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.346、2010.1月号)より 本文へジャンプ

親愛なる子供たちへ

 樋口了一の「手紙〜親愛なる子供たちへ〜」という歌があります。この歌の原詩は、ポルトガル語で書かれていたものだそうですが、老いを生きる人たちや介護に携わっている人たちに大きな感銘を与えています。

 “年老いた私が ある日 今までの私と違っていたとしても どうかそのままの私のことを理解して欲しい

 私が服の上に食べ物をこぼしても 靴ひもを結び忘れても あなたに色んなことを教えたように見守って欲しい

 あなたと話す時 同じ話を何度も何度も繰り返しても その結末をどうかさえぎらずにうなずいて欲しい

 あなたにせがまれて繰り返し読んだ絵本のあたたかな結末は いつも同じでも私の心を平和にしてくれた

 悲しい事ではないんだ 消え去ってゆくように見える私の心へと 励ましのまなざしを向けて欲しい

 楽しいひと時に 私が思わず下着を濡らしてしまったり お風呂に入るのをいやがるときには思い出して欲しい

 あなたを追い回し 何度も着替えさせたり 様々な理由をつけて いやがるあなたとお風呂に入った 懐かしい日のことを

 悲しいことではないんだ 旅立ちの前の準備をしている私に 祝福の祈りを捧げて欲しい

 いずれ歯も弱り 飲み込むことさえ出来なくなるかも知れない 足も衰えて立ち上がることすら出来なくなったなら

 あなたが か弱い足で立ち上がろうと私に助けを求めたように よろめく私に どうかあなたの手を握らせて欲しい

 私の姿を見て悲しんだり 自分が無力だと思わないで欲しい あなたを抱きしめる力がないのを知るのはつらいことだけど

 私を理解して支えてくれる心だけを持っていて欲しい きっとそれだけでそれだけで 私には勇気がわいてくるのです

 あなたの人生の始まりに私がしっかりと付き添ったように 私の人生の終わりに少しだけ付き添って欲しい

 あなたが生まれてくれたことで私が受けた多くの喜びと あなたに対する変わらぬ愛を持って笑顔で答えたい

私の子供たちへ 愛する子供たちへ”

 この詩は、年をとるとどうなるか。また、このようになった時には、あなたの小さい時のことを思い起こし、やさしく接して欲しいという年老いた人の心境を語っています。

 お年寄りの介護には、言葉で表現できない大変さ、苦労があります。でも、お年寄りの気持ちを代弁するこの歌詞は、介護の大変さの中にも、私たちの心を穏やかにしてくれるものがあるのではないでしょうか。

 親が子に注ぐ温かい愛情、子供に寄り添う親の姿。それは昔も今も同じです。それがあるからこそ、子もまた素直になれるのではないでしょうか。
 
             栄光幼稚園長 小鮒 實

   栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.346、2010.1月号)より
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