栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.343、2009.10月号)より 本文へジャンプ

甘えさせてあげましょう

 「甘えの構造」という本がありましたが、幼児期の「甘え」は人間の成長にとってとても大事です。甘えていい時に十分甘えることが出来た子は、後々しっかりと自立して行きます。

 甘えが満たされた時、相手から自分は愛されていると感じ、それと同時に信頼関係が生まれます。それが安心感につながり、子供の心の成長に大きくつながって行くのです。

 相手を信じることの出来る人は、相手を思いやる気持ちや相手の気持ちを理解することが出来、また、深い人間関係を築いていくことが出来ます。

 反対に、甘えていい時に甘えさせてもらえないと、不信感や怒りとなり、相手を信じることが出来ず人間関係をうまく築いていくことが出来ません。(攻撃的になる、被害者意識を持つ、すぐに人と敵対する等々)

 「甘えさせる」と「甘やかす」は違います。「おかあさーん!」と走ってきて、しがみついてくる。または、膝の上に座ってくる。お母さんは、抱きしめてあげたり、膝の上に座らせたまま、子供の話を聞いてあげる。スキンシップや赤ちゃん返りなどの、情緒的な要求を受け入れてあげる。また、子供が一生懸命頑張ったのに、「おかあさーん!」と助けを求めてきたら、「どれどれ」と手伝ってあげる。これが「甘えさせる」です。

 「甘やかす」は、買い物に行った時、「おかあさん、あれとあれとあれ買って!」と言われると、「しょうがないわねぇ」と言いながら、全部買ってあげる。(子供の言いなり)。また、子供が自分で出来ることも、させないで、大人が代わりにやってしまう。これは「甘やかす」です。

 子供には、甘えることが上手な子と、そうでない子がいます。甘えるのが上手な子は、自分からどんどん親に取り入って、親を振り回します。しかし、甘えるのが苦手な子は、つい遠慮や我慢をしてしまって、甘えることが出来ません。「今、お母さん、忙しそうだしな…」「妹(弟)が甘えてるから、今はボク、我慢しないと…」等々、子供は親に気を使い、我慢していることもあるのです。

 うちの子は「手がかからなくていいわ」なんて思っていませんか。むしろ、要注意かも知れません。子供は、本当はたくさん甘えたいのです。愛されたいのです。愛されているんだという実感や安心感が欲しいのです。それに気付いてあげてください。スキンシップをたくさんとって、関わりを多く持ってください。子供は甘えさせてあげることで、素直な子に成長していくのです。
 
             栄光幼稚園長 小鮒 實

   栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.343、2009.10月号)より
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