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ある混声合唱団の方が、合唱において大切なことは「協調性と責任である」ということを語っています。合唱ですから、みんなの声を合わせることが大切。要するに、ハーモニーを大切にしなければならない。自分だけ大きな声を出してもダメ。他の人の声も聴き、声を合わせることが大切。さもないとハーモニーにはならない。そういう意味で「協調性が大切だ」と、先ず言うのです。
しかし同時にまた、混声合唱ですから、各自が自分のパートをしっかりと覚え、責任をもって歌わなければならない。人まかせではいけないとも言っています。要するに、各自が自分のパートに責任を持ち「与えられた責任を果たすこと」が大切だと言うのです。そして、この方は「『協調性と責任』ということは、いわば社会の縮図だと思っている」とも語っています。
協調性と責任が社会の縮図。そうあって欲しいと思いますが、現実はどうでしょうか。
「最近の子は協調性がない」とか「責任感がない」などとよく言われます。勿論、全ての子がそうである訳ではありません。でも、そういう傾向もなきにしもあらずです。勿論、子どもだけではありません。大人だって協調性のない人はいますし、また、自分に与えられた責任を果たそうとしない、そういう人も多い。少しニューアンスは違いますが、責任逃れは非常に上手。でも、責任を取ろうとしない人も多いのでないでしょうか。
混声合唱で大切な「協調性と責任」が「社会の縮図」であって欲しいと思いますが、現実は「協調性と責任」が欠如している社会。そんなふうにも思われます。むしろ、混声合唱で大切な「協調性と責任」を、逆に「社会」は学ぶべきではないでしょうか。
昔、TVで放映されていた「3年B組金八先生」。あるとき金八先生は茶髪の生徒に、こんなことを言いました。
「個性というのは、集団の中で磨かれるべきものじゃないか」。
茶髪も個性かも知れないが、それだけが個性ではない。確かに、個性は大切にしなければならない。しかし、人と違ったことだけが個性ではなくて、みんなで協力して(協調性をもって)一つのものをやり遂げて行く中で、個性が発揮されることもあるというのです。
個性を持った一人一人が自分の責任を果たしていくとき、また、すばらしいものが生まれてくる。全体で一つのものを成し遂げるという、そういうすばらしいハーモニー(調和)の世界が生まれてくる。これは先程の混声合唱の「協調性と責任」ということと似てはいないでしょうか。
聖書にも、一人一人みな違った賜物や、務め、働きがあるが、それらは「全体の益となるため」という言葉があります。(1コリント12:4-7)
音楽祭が近づいて来ました。子どもたちは「協調性と責任」を養いつつ、日々練習に励んでいます。応援よろしくお願いします!
栄光幼稚園長 小鮒 實
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栄光幼稚園報「ひかりのこ」(No.336、2009.2月号)より
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