ウシとロバ |
「ひかりのこ」(No.356 2010年12月)より
ポーランドに、こんな民話があります。
幼きイエスさまは馬小屋で生まれました。天使はイエスさまの誕生を祝って動物たちを集めました。なぜって、その時ベツレヘムの町は人口調査のため、あっちからこっちから人々が集まり大変忙しかったから。
まず、天使はライオンを呼びました。
天使「幼きイエスさまがお生まれになりました。そばに行って祝ってください。」
ライオン「私は百獣の王だから力でお守りしましょう。イエスさまを邪魔する者がいたら、このきばでやっつけましょう。」
すると、天使は言いました。「力は必要ありません。」
次に天使はキツネを呼びました。
天使「幼きイエスさまのそばに行って守ってください。」
キツネ「分かりました。私はこれから農家に行き、卵やニワトリを取ってきて、幼きイエスさまに食べさせましょう。きっとすくすく育ちますよ。」
すると、天使は言いました。
「人のものを黙って取ってくることは、良いことではありません。」
そう言って、天使はバツ(×)を付けました。
次に天使はクジャクを呼び出しました。
天使「イエスさまのそばに行ってくれませんか。」
クジャク「はい。私はイエスさまにこの自慢のきれいな羽をお見せしましょう。きっと満足されましょう。」
すると、天使は言いました。
「自慢は必要ありません」。
そう言ってクジャクにバツを付けました。
そこで天使はどうしたものかと考えました。
すると、牧場で眠っているウシとロバが目に付きました。
天使「起きてください。幼きイエスさまがお生まれになりました。そばに行ってくれませんか。」
目をさましたウシとロバは、「いいですよ。でも私たちには何の力もありません。ただそばでじっと見守るだけでいいのでしたら喜んで。」
天使「おお、それでいいのです。」
天使は自分の分をよく知っている謙遜なウシとロバが大層気に入りました。こうして、ウシとロバは、幼きイエスさまのおそばにいることになりました。
神の御子イエスさまのお誕生を御祝いするクリスマス。イエスさまにふさわしいのは、自分の力を誇示する者でも、自慢する者でもありません。ましてや「人のものを黙って取ってくる」なんてもってのほかです。
イエスさまにふさわしいのは、自分のことがよく分かっている人、自分には何の取り柄もないと「謙遜」になれる人なのです。
ありのままでいいのです。神さまは「ありのまま」の私たちを愛してくださるのです。
「神は、高慢な者を敵とし、謙遜な者には恵みをお与えになる。」(ヤコブ4章6節)
(栄光幼稚園長 小鮒 實)
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クリスマスのお話より
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