イエスさまのお誕生日のエピソード |
カトリック新聞のホームページより
イエスさまがお生まれになったベツレヘムの馬小屋。そこに集まったのは、3人の博士と羊飼いたち、そしてウシとロバ。「ねぇ、何でウシとロバなの」という子どもたちの質問が聞えてきそうです。徳島県徳島市の聖ベルナデット保育園の友成ヤエさん(徳島教会)は、長崎・西町教会で聞いた面白い話を紹介してくれました。今は亡き神言修道会のヨハネ・ヒルバート・ウイゼン神父のクリスマスのミサ説教の一部です。友成さんの「忘れられないクリスマス」の思い出の中に、その答えが隠されているようです。
羊飼いと馬小屋の動物たち
−忘れられないクリスマス− 友成ヤエ
長崎の市街から離れた音無町の小高い丘に、夢があふれるようなユニークな形の教会が建っています。名前は西町カトリック教会。それを建てられたのは神言修道会のヨハネ・ヒルバート・ウイゼン神父さまでした。
この教会にはウイゼン神父さま、エウゲニウス・ジェブラ神父さま、フランツ・トルッケンブロード神父さまの三人の司祭がいらっしゃいました。皆、お話がとってもお上手で、毎年クリスマスになると、「ことしはどんなお話かな」と胸をわくわくさせたものでした。
きょうはそのうちの1つ、とっておきの、とっても楽しいお話をしましょう。
お話はこんなふうにして始まりました。
――幼きイエスさまがお生まれになられました。どこで? 天国で生まれましたか?
――いいえ、この地上です。
――それは素晴らしい町ですか?
――いいえ、違います。ひっそりとした有名でない町です。
――それは素晴らしい宝石で飾られた家ですか?
――いいえ。しかし、そこにはマリアさま、ヨセフさまがいらっしゃいました。イエスさまは、お父さん、お母さんの家族に囲まれておられました。
天使はその神の子の誕生を2つのタイプの人たちに教えました。
それは3人の博士たち。彼らは知恵をもっていました。
そして羊飼いたち。彼らは素朴な人たちでした。
でも、彼らには似たところがあります。博士たちは謙そんでした。本当の知恵をもつ人は頭を低くします。
羊飼いも謙そんで頭を下げます。このように謙そんで素朴な人たちに天使は、幼きイエスの誕生を告げました。そして、彼らは天使のことばを信じて幼きイエスを捜し当て、自分の目で対面したのです。
そう、私の国のポーランドに、こんな民話があります。
口が隠れるくらいおひげを生やしたジェブラ神父さまが、お話を続けます。
幼きイエスさまは馬小屋で生まれました。天使はイエスさまの誕生を祝って動物たちを集めました。なぜって、その時ベツレヘムの町は人口調査のため、あっちからこっちから人々が集まり大変忙しかったから。
まず、天使はライオンを呼びました。
天使:「幼きイエスさまがお生まれになりました。そばに行って祝ってください」
ライオン:「私は百獣の王だから力でお守りしましょう。イエスさまを邪魔する者がいたら、このきばでやっつけましょう」
すると、天使は言いました。「力は必要ありません」
次にキツネを呼びました。
天使:「幼きイエスさまのそばに行って守ってください」
キツネ:「分かりました。私はこれから農家に行き、卵やニワトリを取ってきて、幼きイエスさまに食べさせましょう。きっとすくすく育ちますよ」
すると、天使は言いました。
「人のものを黙って取ってくることは、良いことではありません」
そう言って、天使はバツ(×)を付けました。
次にクジャクが呼び出されました。
天使:「イエスさまのそばに行ってくれませんか」
クジャク:「はい。私はイエスさまにこの自慢のきれいな羽をお見せしましょう。きっと満足されましょう」
すると、天使は言いました。
「自慢は必要ありません」
そう言ってクジャクにバツを付けました。
そこで天使はどうしたものかと考えました。すると、牧場で眠っているウシとロバが目に付きました。
天使:「起きてください。幼きイエスさまがお生まれになりました。そばに行ってくれませんか」
目をさましたウシとロバは、「いいですよ。でも私たちには何の力もありません。ただそばでじっと見守るだけでいいのでしたら喜んで」
天使:「おお、それでいいのです」
天使は自分の分をよく知っている謙そんなウシとロバが大層気に入りました。
こうして、ウシとロバは、幼きイエスさまのおそばにいることになりました。
皆さん、これがクリスマスのメッセージです。私たちはクリスマスを通して、謙そんな知恵と素朴な心をもって幼きイエスさまをお迎えしましょう。
そして、ウイゼン神父さまがみんなに呼び掛けました。
――皆さん、きょうは何の日ですか。
――クリスマス。
――そう、クリスマス。私は、皆さんにとって、あしたもクリスマス、あさってもクリスマス、一年中クリスマスであることを希望します。
神父さまは、いつもきょうのクリスマスのように、信者の心が神さまに向かい、神さまへの愛で輝いていてほしかったのでしょう。ことしもまたクリスマスがやってきます。そして、ウイゼン神父さまたちのあの温かい声が聞こえてきます。
「メリー クリスマス」
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クリスマスのお話より
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