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ぷれぜんとあったよ!
「ひかりのこ」(No.378 2012年12月)
きつねのクンクン

 寒い寒い冬、もうすぐクリスマス。
森の仲間たちがおしゃべりをしています。「ねえ、クリスマスって どんな日?」 「ええっ… 知らないの! プレゼントをもらう日だよ」 「ケーキを食べる日さ」

 そのとき、物知りの「フックじいさん」が言いました。「違う、違う! それよりも もっと大事な日だよ。クリスマスはね、イエスさまがお生まれるになる日」

 「イエスさまって だあれ」
 「みんなが 仲良く 平和に 暮らすために 生まれてくる 神さまの子どもだよ」
 森の仲間たちは、イエスさまに会ってみたいと思い、プレゼントをもって、クリスマス・イブに集まることになりました。

 そして、クリスマス・イブの日。みんなはプレゼントをかかえて集まって来ましたが、最近この森にやってきたばかりの「やどなしキツネのクンクン」だけは、何も持って来ませんでした。みんなはクンクンを馬鹿にし、仲間はずれにしようとしました。

 そのとき、「フックじいさん」が言いました。「おやおや、みんなどうしたんだい? みんなが仲良く暮らすために、イエスさまがお生まれになるんだろう。友だちを仲間はずれにしたら、イエスさまが喜んでくださるかな?」

 みんなは、はっとしました。そして、「いじわるしてゴメン!」とクンクンにあやまり、みんなでイエスさまの所に行くことになりました。

 大きな星に導かれ、「馬小屋」にたどり着いた森の仲間たちは、干し草の上で眠っているイエスさまに、プレゼントを渡しました。

 プレゼントを持ってこなかったクンクンは、 はずかしかったけど、思い切って、イエスさまにあいさつしました。
 「あのー ぼく イエスさまに あいたくて みんなと いっしょに きたんだ。 とっても あいたかったよ。」

 イエスさまは、粗末な布を着て、とても寒そうでした。そのとき、クンクンは 「あっ!」と何かを思いついたように、イエスさまをそっと抱き上げて、自分のふかふかのシッポでイエスさまをやさしく包んであげました。
 そして「寒くて凍えそうな夜は、いつも僕がそばにいてあげるね」と言いました。

赤ちゃんのイエスさまは、とてもうれしそうに にっこりほほえみました。
 (「ぷれぜんとあったよ!」(葉月きらら 作/絵より)

 きつねのクンクンは、ほかの動物たちのようにイエスさまにあげるものを何一つ持って行くことが出来ませんでした。でも、クンクンは、寒そうにしていた赤ちゃんイエスさまを、そっと抱き上げ、自分のふかふかしたしっぽでやさしく包んであげました。

 イエスさま(神さま)が喜んでくださること、それは“もの”ではなくて“こころ”です。やさしいこころ、おもいやりのあるこころ、いたわりのこころです。
 クリスマスは、私たちに“こころの大切さ”を教えてくれます。やさしい気持ちで、また、うれしい気持ちで、クリスマスを迎えたいものです。
          (栄光幼稚園長 小鮒 實)

   クリスマスのお話より
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