クリスマスのお話より 本文へジャンプ
絵本・ぷれぜんとあったよ!
葉月きらら (作/絵)
サンパウロ出版 199511/1初版発行 850円

さむい さむい ふゆ
もうすぐ うれしい クリスマス
もりの なかまが あつまって
なにやら おしゃべりが はじまりました

「ねえ クリスマスって どんな ひ?」
「ええっ… しらないの! プレゼントを もらう ひだよ」
「ケーキを 食べる ひさ」

「ちがう ちがう! それよりも もっと だいじな ひだよ」
ものしりの フックじいさんが いいました。

「クリスマスはね イエスさまが おうまれになる ひ」

「イエスさまって だあれ」
「みんなが なかよく へいわに くらすために うまれてくる かみさまの こどもだよ」
「へえ あって みたいなあ」
「ぼくたちも あえるの?」
「そうだねえ それじゃあ イエスさまへの プレゼントをもって クリスマス・イブに ここへ あつまることに しょう なにか いいことが おこるかもしれないよ」

そして…
きょうは クリスマス・イブの ひ
やくそくの じかんに プレゼントを かかえて みんなが あつまって きましたよ

牛「ぼくは しぼりたての ぎゅうにゅう! あたたかくて とても おいしいよ」
熊「ぼくは さかな! すごく おおきいだろう きょうは とびっきりの たいりょうさ」
鶏「みてくださいな わたくしのは きんのたまご! ぴかぴかでしょ」
羊「わたしは てあみの セーターです いっしょうけんめい あみました」

それぞれ じまんの ものや たいせつな ものを もってきたのに ひとりだけ うつむいて かなしそうに しているこが いました
さいきん このもりに やってきたばかりの やどなしキツネの クンクンです

「どうしよう ぼくも イエスさまに あいたいのに なにも あげるものが ないんだ
イエスさまに あいたいのに どうしよう…」

「ええっ! プレゼント ないの」
「みんなで やくそく したのに!」

そのとき フックじいさんが いいました
「おやおや みんな どうしたんだい? 
みんなが なかよく くらすために イエスさまが おうまれに なるんだろう

ともだちを なかま はずれにしたら イエスさまが よろこんで くださるかな?」
みんなは はっと しました

「そうだよ いじわるしては いけないんだよ クンクン ごめんね」
「ごめんね クンクン プレゼントが なくても しんぱい することなんか ないさ
イエスさまは きっと よろこんで あってくれるよ」
「みんなと いっしょに いこうよ」
「そうだよ いこう いこう」
「イエスさまの おうまれになった ところは きっと あのほしが しっているに ちがいない あのほしに ついて いこう」

いつのまにか おおきな ほしが みんなの うえを てらして イエスさまの ところまで あんない してくれました
「ほら あれが イエスさまのいる うまごやだよ」

イエスさまは おかあさんの マリアさまに みまもられて ほしくさの うえで ねむって いらっしゃいました
「イエスさま おたんじょうび おめでとう」
みんなは つぎつぎに プレゼントを わたしました

プレゼントを もってこなかった クンクンは はずかしかったけど おもいきって イエスさまに あいさつしました
「あのー ぼく イエスさまに あいたくて みんなと いっしょに きたんだ とっても あいたかったよ」

イエスさまは そまつな ぬのを きて とても さむそうでした
そのとき クンクンは 「あっ!」と なにかを おもいついたように イエスさまを そっと だきあげて…… じぶんの ふかふかの しっぽで イエスさまを やさしく つつんで あげました

「さむくて こごえそうな よるは いつも ぼくが そばにいて あげるね」
あかちゃんの イエスさまは とても うれしそうに にっこり ほほえみました

「ありがとう たいせつな ものを ありがとう
 あいに きてくれて ありがとう」

イエスさまは クンクンの しっぽに くるまって ほっかほか
みんなも いつのまにか ほっかほかです
そとは しずかな ほしの よる
ほんとの ほんとの クリスマス

   クリスマスのお話より
 クリスマスのお話