クリスマスのお話より 本文へジャンプ
鐘はなぜ鳴ったか(紙芝居「ふしぎなかね)
原作:レイモンド・M・オールデン
「ひかりのこ」(2009年12月)

 レイモンド・M・オールデンの「鐘はなぜ鳴ったか」という本があります。日本では、絵本「クリスマスのかね」、紙芝居「ふしぎなかね」「クリスマスのかねのおと」などで知られています。
 
 ある町に、大きな教会があり、高い高い塔に“クリスマスの鐘”と呼ばれている鐘がありました。この鐘は、すばらしい“ささげもの”をすると鳴る(神様が鳴らしてくださる)のだそうですが、長い間、誰もその音色を聞いた者がいません。

 あるクリスマス・イブの日、今年こそはと多くの人たちが“ささげもの”を持って来ました。お金持ちは、すばらしい宝石をささげました。黄金をいっぱい持ってきた人もいました。小説家は自分の書いた本をささげ、王様は自分の冠をとってささげました。でも、クリスマスの鐘は鳴りませんでした。

 みんなが“今年も鳴らなかった”とあきらめかけていたとき、かすかに、そして次第にはっきりと、高い高い塔の上から、鐘の音が響いてきました。それはそれは美しい、うっとりとするような音色でした。

 一体誰がこの鐘を鳴らしたのでしょうか。人々は一斉に祭壇の方を見ました。そこには一人の小さな男の子が、一枚の銀貨をささげ、祈っていました。

 クリスマスの鐘は、なぜ鳴ったのでしょうか。実は、男の子には兄がいて、町から離れた貧しい村から、二人で教会にやって来たのです。でも、町の門の所に来たとき、そこに倒れている女の人を発見します。

 兄は、倒れている人を見捨ててはおけないと、自分が働いて貯めたなけなしの銀貨一枚を弟に渡し、自分の代わりにこの銀貨を誰にも見られないようにそっと祭壇にささげるよう言います。男の子がささげた銀貨は、この銀貨だったのです。

 クリスマスの鐘はなぜ鳴ったのか。もうお分かりでしょう。神様は、単に高価なささげものを喜ぶお方ではありません。真心のこもったささげものを喜んでくださるのです。(量より質、見かけより心) (マルコ12:41-44参照)

 また、神様は隠れたことを見て報いてくださるお方ですから(マタイ6:1-3)、男の子が誰にも見られないように、そっとささげたささげものを、神様は喜ばれたのかも知れません。

 また、自分も行きたかったのに、倒れている人を見捨ててはおけなかった兄のやさしい行為を、神様はお喜びになったのかも知れません。(ルカ15:25f.、マタイ25:31f.など)

 イエス様のお誕生をお祝いするクリスマス。私たちも、神様に喜ばれる歩みが少しでも出来るといいですね。
               (栄光幼稚園長 小鮒 實)

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