絵と大手拓次の詩による花の散策展と没後40年有島生馬展(2014年10月11日 安中市)

写真:「花の散策展」と「有島生馬展」ポスター 写真:「絵と大手拓次の詩による花の散策展」作品 その1 写真:「絵と大手拓次の詩による花の散策展」作品 その2 写真「没後40年有島生馬展」 その1 写真「没後40年有島生馬展」作品 その2

 10月11日(土)に、安中市松井田町行田の妙義山麓美術館で行われている「絵と大手拓次の詩による花の散策展」と「妙義を訪れた画家没後40年有島生馬展」に行ってきました。両企画展とも19日(日)までの開催です。

こころのなかに 薔薇ありて
薔薇をかざれど うらさびし
つめたきものの ながれけり (詩・大手拓次)

 「薔薇の詩人」とも言われる、安中市磯部出身の詩人・大手拓次の企画展は、安中市の大手拓次研究会(代表・真下宏子)が編集した詩画集『大手拓次詩集』(詩・大手拓次、絵・日本はがき芸術作家出品者)の内容を公開したものです。拓次の詩一編ごとに、詩の世界観に合った、バラを含む多様な花などの挿話があわせられています。約170点もの作品が壮観に感動的に並んでいて、素晴らしいの一言です。

 没後40年が経過した有島生馬(有島武郎の弟、里見とん(とんは弓に享)の兄でもある)の企画展は、花を中心に、水墨画と日本画、絵と漢詩等を組み合わせた作品が17点展示されています。有島生馬は、1903年〜04年に群馬県を旅した際に、妙義山に登り『妙義山裏山』(信州新町美術館所蔵)という素晴らしい絵を残しているそうです。

 最後に稲川庫太郎館長が妙義山と縁のある作家さんの企画展の開催を一生涯の理念として、「文人の紹介を通して妙義山の魅力と歴史を伝えたい」と情熱的に語ってくださいました。

【妙義山麓美術館】
 安中市出身の画家・稲川庫太郎館長が、平成3年10月に地域の文化振興の拠点として設立しました。
 妙義山を訪れた和洋の芸術家の作品など、稲川館長がジャンルにこだわらない、独自企画展を年間を通じて開催しています。同館主催のはがき絵コンテストは、全国から多くの作品が寄せられることで有名です。

 安中市の磯部詩碑公園には、大手拓次の『陶器の鴉(からす)』の詩碑があります。(画像一番下)

陶器製のあをい鴉、
なめらかな母韻を包んでおそひくる青からす、
うまれたままの暖かさでお前はよろよろする。…


写真:妙義山麓美術館からの眺め 写真:磯部詩碑公園の大手拓次碑

 また大手拓次について、以下のような説明がありました。

【大手拓次】(1887〜1934)
 明治20年、碓氷郡磯部に生まれる。早大英文科卒。
 詩誌『朱欒』(ザンボア)に『藍色の蟇』『慰安』を発表し、その後、『ARS』『近代風景』など北原白秋の詩誌を中心に作品を発表する。怪奇豊麗な幻夢と暗うつな香気を漂わす詩風で、犀星・朔太郎とともに、白秋門下の三羽ガラスと言われた。初期筆名:吉川惣一郎。

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