2003年春 - 奥秩父・両神山[1/2]

1年 荒井 公 Arai Isao

はじめに

我々一年生にとって初の山行である。当然のことながら初めての事ばかりで驚きの連続であった。

0日目

2003年5月2日
部室=池袋=西武秩父駅(泊)
メンバー:C.L.三井(4), 中山(4), 荒井(1), 鈴木(1)

 新品の道具を揃えて講義の後に部室を出発する。今日の目的地は西武秩父駅である。

 途中で乗り換えた飯能駅あたりで空気が変わったのを感じた。町全体が出す熱量が都市部より少ない(*1)ためであろうか、池袋辺りとは違い空気がひんやりと湿っている感じがした。こんな些細なことでも私にとっては新鮮であった。

(*1)東京都環境局の推算によると東京都における総消費エネルギーは2400TJ/day。

 さて、私の妙な感慨はさておき西武秩父駅に到着する。

 計画書を書く段階でうすうす気付いてはいたが、やはりこの夜は駅付近で雑魚寝をすることになった。このことを高校の知り合いにメールすると『有り得ん』(*2)と返ってきた。当然のことである。シュラフに包まれればそれなりに落ち着くが、慣れないことなのであまりよく眠れなかった。

(*2)あらざるべきことを繰り返し行なうことによって、羞恥心がマヒし、恥を恥と思わなくなるようにすることをワンゲルではトレーニングと呼ぶ。

1日目

2003年5月3日
日向大谷バス停…七滝沢…清滝小屋(泊)
奥秩父・両神山の位置
コースタイム1日目
日向大谷バス停9:50
七滝沢850m10:40
10:55
七滝沢1100m11:55
12:35
清滝小屋14:05
19:00就寝

 朝日も上がったので5時頃には目が覚めた。ダラダラと前日に準備したパンを食べる。バスを乗り継いで、登山口のある日向大谷に向かう。ゴールデンウィークということもあり我々以外にも登山客が多かった。

日向大谷バス停にて
日向大谷バス停にて。
ポーズをとっているのが三井、後ろ左から荒井、鈴木。
はじめの一本
七滝沢ぞいの道に入ってはじめの一本をとる。
左側手前から荒井、鈴木、右側が中山。

 出発の写真も撮ったので登りはじめる。最初はメインの初級者用ルートと同じ道を行くので傾斜も緩やかで下りもあり、のんびりと歩けた。すぐに分岐にさしかかる。右は七滝沢に沿った健脚者向けのコース、左は薄川に沿った初心者コースである。個人的希望ではやはり初めての山という事もあり、薄川沿いのコースを行きたかったのだが、上級生が既に登ったことがあるルートでつまらないということで七滝沢のコースに行くことになった(*3)

(*3)中山が高校のときの山岳部で行ったから。このときとほとんど同じ行程で行った。ちなみにそのときは私が入学して最初の山でやっぱりしんどかった。

 健脚者向けとはいえ、最初のほうは緩やかな登りなのでしばらくはそれほど辛くはなかった。少し行くとベンチとテーブルがあり休憩ができるような場所があった。そこで一本立てているときに渡りを見渡せば、新緑の季節であり山は若々しい緑に包まれていた。しかしこの後の一本がこの日一番きつかったような気がする。沢の左岸から右岸に渡った直後から緩やかな登りは急登の連続に変わった。せいぜい200mアップ程度なのだが、私も鈴木もいっぱいいっぱいであった。人も来ない様子なのでその急登の途中と見られる登山道で大休止を取った。ここで昼食ということで即席で作ったサンドイッチを食べる。しかし、こういったものを昼に食べたのはこの山行の時だけであった。

(*4)以前はパンとハムとレタスとジャムを共同食料に買って、昼飯をしていたのだが、日持ちが悪いのと煩雑なのとで、現在では行動食が主流である。

新緑
新緑が美しい。天気もよかった。
急登
七滝沢コースの急登。

 その後、再び歩き出すが3分もせずに先ほどのようなベンチとテーブルが設置されていた。結果論ではあるが、もう少し歩けばよかったという空気がパーティー内に漂った。

 そのあとはたらたら登りが続き、昼も過ぎ陽が少し柔らかくなってくる頃になるとトラバースになり、小屋から山頂へ向かう道と合流して小屋に向かって下りていく。せっかく登ったのにまた下りるなんてもったいないとは思うが、程なくして清滝小屋にたどり着いた。

 小屋にたどり着いたら早速テントを張る。このあと永谷さんから渡されたさしいれの下駄を履くが、はっきりいって傾斜のある場所で履くものじゃないと確信した(*5)。そしてどこに隠し持っていたのか三井さんがメロンを取り出す。季節のものじゃないから少し甘みが弱かったが4等分にして全員でおいしく食した。

(*5)毎年、春合宿にはむちゃくちゃな差し入れがOBから与えられる。下駄はその一つ。

白糸の滝と三井
白糸の滝と三井。
清滝小屋にて
メシづくりを指導する。清滝小屋にて。

 そのあとは普通に夕飯のカレーをつくって缶チュウハイをお供に食べ、テントの中に引きこもった。4テンに4人、ギリギリとはいえさすがに狭い。寝返りがうてないだろうから夜、眠れるかどうか心配になった。そこで登場したのが鬼殺しである(*6)。飲み口はとてもよく私にも飲みやすいのだが、酒に馴染んでないので少し飲んだらきつくなった。さっきのメロンもそうだが、こんな物をよく背負ってくるもんだと感心した。

(*6)例年はワンゲル小屋まで歩くようなコースをとり、小屋で酒盛りをする。その際に登場するのが「鬼ごろし」である。この年は自動車が出せず、ワンゲル小屋と関係ない両神山になった。でも差し入れに鬼ごろしがあったのだ。

commented by Nakayama