2002年秋 - 男体山[1/3]

〜いい旅夢気分in男体山〜

3年 三井 達也 Mitsui Tatsuya

はじめに

 水曜日。いつもと変わらずに部室に顔を出すメンバーとして中山と三井が居る。この二人が暇なのか、それとも他の面子がサボり症なのかは分からないが、お決まりのパターンとして定着している。後からボツボツ車が来て駒沢公園に走り込みに行ったりするのだが、どうにも秋口は退屈な事が多い。特にイベントがあるわけでもなく、講義も始まったばかりで難しい事も無いからだ。そんな怠惰な時期にはよくF.W.(*1)が提案される事が多い。沢は流石に気温、水温が下がってきているので縦走がもっぱらだ。例に習って、こんな会話が部室の中でやり取りされていた。

(*1)F.W.---フリー・ワンデリング Free Wanderingの略。東工大ワンゲルにおいてはトレーニング山行(トレ山)とフリーワンの2つがある。前者は合宿に向けたトレーニングの山、後者は特に合宿などにしばられない、行きたいから行く山。もっとも部員数が少なくなって、2つの境はあいまいになってきている。

 三井「なぁ、中山。暇だからどっか行かないか?紅葉が綺麗で楽しい所が良いな。勿論金のかからないところで(*2)。」

(*2)彼は自分で気がつかないうちに無茶な注文をしていることがある。

 自分で言うのもなんだが、私はいつもこの様に抽象的な希望を中山に提案することが多い。中山は高校から山をやっているだけあって、有名どころからマイナーな山にかけて、一通りの知識を持っているからだ。山に対する情熱が人一倍あるので、自分の行きたい山域、お勧めの山域というものを多数抱えていて、アドヴァイスを求めると直ぐに色々とリストアップしてくれるのだ。そんな便利帖のような彼は一家に一台ならぬ一サークルに一人、まるで高度経済成長期の三種の神器の如く扱われている。

 中山「そうだね。この時期で近場、紅葉がピークといえば日光かな。男体山ならまだ行った事がないし、女峰山にかけて縦走すれば日光は一通り行った事になるしなぁ。」

 かなり台詞を端折っているがこんな感じである。本当は沢に行こうとか色々有ったのだが、寒そうなんで縦走にしたのだ。なんだかんだで計画を練り、怠け者の私は男体山の後は観光、中山は二日目に北側から女峰へ向かうという別行動をとる事にした。

0日目

2002年10月11日
東武浅草駅=東武日光駅(泊)
メンバー:三井(3), 中山(3)

 そんなこんなで日光へ向かう二人組み。昨年の秋に一人で日光白根山に来た時は雨が降っていた記憶があるのだが、今回はどうやら晴れのようだ。F.W.に来て雨が降ろうものなら敗退も辞さない程やる気が無くなるので、嬉しい限りである。今回酒を持ってくるのを忘れたので眠る前に色々とこの街を徘徊したのだが、コンビニから自動販売機に至るまで、この町では夜に酒を手に入れることが出来ない(*3)。悔しい思いを胸に駅に戻り、あんまり眠くもないのだが、いつまでも話をしていたらステ寝をしているほかのパーティの怒られるので、さっさとシュラフにくるまってふて寝する事にした。

(*3)このとき、彼は一人ででも飲み屋に入って一杯飲もうかと真剣に悩んでいた。

commented by Nakayama